そのケガ、冷やすか暖めるか!
炎症を「防御反応」といいかえてみよう

メルマガ78と133から

90日の風呂なし生活

2006年8月中旬、ある中年男性がいらっしゃいました。
6月下旬に階段で転倒して腰を打撲して以来、腰が痛いのが治らない。職場近くの整骨院にかかっていたが一向によくならないので結(ゆい)に来た。
そこでは「絶対に暖めるな」と指導されているので、お風呂も入らず、シャワーを浴びる生活を続けているとおっしゃいます。
まずはゆっくりお風呂に入ってくださいとお願いしました。針灸はちょっとこわいという患者さん本人の希望もあって、針灸はしないで、一般的な整骨院の治療をして患部を温めました。それだけでも、翌日いらっしゃるとずいぶん楽になっていました。
お盆休みの後、再度いらっしゃいました。
今度は針灸をご希望です。週末のゴルフが気になっていらっしゃるようでした。針灸の後 腰痛はきれいに消失、腰を気にせずにゴルフコースを回れました。

8月下旬には完治しました。 炎症というと「冷やすもの」と思い込んでいる人は多いようです。打撲=炎症=「絶対に暖めるな」という図式です。一般の方の思い込みは仕方がないけれど、治療家の思い込みは患者さんの苦痛を長引かせてしまいます。約90日の風呂なし生活も大変だったでしょう。

炎症を「防御反応」といいかえてみよう

打撲の程度にもよりますが、普通は冷やすのは最初のうちだけです。 ある現象に名前をつけると名前の意味が 勝手に一人歩きしてしまうことがあります。
「炎症」は炎=ほのお だから「冷やすもの」という具合です。炎症というのは、病気やケガで身体の細胞が破壊された時に、異物を排除したり、死んだ細胞などを取り除いたりして治そうとする身体の「防御反応」です。血液の中の白血球が異物を排除したりして治すのに 都合のよい状態にするために赤く腫れ、熱をもって痛むのです。血流も盛んになります。赤く腫れて熱をもつのが炎=ほのおに似ているので「炎症」となったわけです。炎症は大切な「防御反応」です。
そうはいっても耐えられないような痛みもつらいので、最初は適当に冷やして「防御反応」をほどほどに制御します。炎症を冷やしたり 暖めたりするのは「防御反応」を制御したり促進したりする意味があります。赤く腫れ、熱をもつのも、治すには必要なことなのです。打撲がいつまでも治らないのは、「防御反応」がとまり自然治癒力が衰えているからです。暖めるのは自然治癒力を活性化させるためです。
針灸は、痛みを和らげながら必要な「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。打撲したら、すぐに針をしてくださいとお勧めしています。

鎮痛剤が「防御反応」を止める

歯医者さんで、歯を抜いた後なんかに「痛み止めのお薬はできるだけ飲まないでくださいね」と指導されるのは、鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまう働きを持っているからです。
痛まなくなるのはいいけれど、治らなくなるのは困るから鎮痛剤はほんの少し、最初だけ短期間だけというわけです。 鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまうのと違い 針灸は、痛みを和らげながら「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。時には熱をもって痛む膝にお灸をすることもあります。「防御反応」を注意深く、痛みを出さないように促進させていく治療テクニックです。膝の炎症が治り、膝の熱もとれていきます。もちろん痛みもなくなります。

☆ 実際はケースバイケース☆

炎症を冷やす=「防御反応」を止めるという訳でもありません。少しだけ冷やすと反射的に暖かくなる場合もあるのはご存知でしょう。冷やしたり温めたりして血行をよくし、「防御反応」を促進するやり方はよく知られていますね。

炎症を冷やしたほうがいいのか暖めたほうがいいのかは、実際はケースバイケースです。 炎症の状態によって変わってきます。個人差、年齢差もあります。少し時間のたった炎症は、たいてい暖めて「防御反応」を促進させてあげたほうがよくなります。

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