むち打ち症はじつはPTSD、心的外傷後ストレス傷害の面が大きい
針灸治療の経験から
2003/05/13
以下はメールマガジン 結(ゆい)通信第34号に若干手をいれたものです。
メールマガジン結(ゆい)通信第34号をお送りします。結(ゆい)通信No.33で追突事故にあったことを書いたところ、何人かの読者の方々からお見舞いのメールをいただきました。ありがとうございます。メルマガにも書いたように、本当に軽微な追突事故で、しかも一ヶ月ほど前の話で、私は大丈夫です。
ある読者の方からは「怖かったですね。ほんとに大丈夫ですか?」というメールをいただきました。私の場合は「渋滞で、止まっていると突然、車が、ガクンとひと揺れ。」という程度だったので恐怖感はなかったのですが、これがもう少し強い衝撃だったら恐怖を感じたのだろうなと思っています。
むち打ち症はじつはPTSD、心的外傷後ストレス傷害の面が結構大きいと思っています。
PTSD、心的外傷後ストレス傷害って何?
PTSDは、突然の衝撃的出来事を経験することによって生じる、精神障害のこと。日本トラウマティック・ストレス学会(JSTSS)によると、交通事故によるPTSDをはじめとする精神的後遺症に関する研究が開始されたのは、1990年前後と最近のことのようです。
PTSDは心の病いといわれていますが、脳の活動の変調、各種ホルモンや神経伝達物質の分泌異常といったことがおきることがわかっています。
むち打ち症と針灸
むち打ち症に針灸治療が高い効果をあげることができるのは、針灸が自律神経失調症に高い効果をあげることができるのと同じ面があると思っています。針灸では、PTSDという考え方が世の中に知られる契機となった阪神大震災のはるか以前から、むち打ち症をたんなる首の障害、頚椎捻挫と捉えず、全身の調整をして治していました。このことが結果としてストレス傷害によって変調をきたした各種ホルモンや神経伝達物質の分泌異常、脳の活動の変調を調整していたと考えられます。
まわりの無理解から二次被害を受ける
臨床の中でこじれたむち打ち症の患者さんを診ることが 時々あります。整形外科などでの長い治療の後、治らないからと針灸にいらっしゃるのです。これらの患者さんは例外なく加害者や相手の保険会社の方との間で、いやな経験をされています。
私のところで最初から治療を始めて長引いた経験はありませんが、一般的には治療が長引けば長引くほど加害者や相手の保険会社の方との間は険悪になっていきます。患者さんのかかえる苦しみに関する無理解や病気への疑いの攻撃にさらされ、精神的に二次被害をこうむっているのです。そのために治りにくいのです。
二次被害とは最初の被害体験だけでなく、その被害のためにさらに別の対象、ここでは加害者や相手の保険会社の方から傷つけられる体験をすることです。
追突事故は仕方のないことですが、むち打ち症はじつはPTSD、心的外傷後ストレス傷害の面が結構大きいことを、事故処理にあたる保険会社の方がしっかり認識していただきたいと望んでいます。事故は防ぎにくいかもしれませんが、被害者に精神的に二次被害を与えることはPTSD、心的外傷後ストレス傷害の認識さえあれば防げるのですから。

