風邪に抗生物質「無効」やっと指針

結(ゆい)通信No.61 2003/12/09より

12月8日付け朝日新聞夕刊の一面に<風邪に抗生物質「無効」やっと指針>という記事が載りました。
http://www.asahi.com/science/update/1208/002.html 一部抜粋すると

「風邪に抗生物質は効くと思いますか? 答えは「ノー」だ。ところが、ただの風邪に抗生物質を出している医師は少なくない。こういった乱用が、どんな抗生物質にも抵抗力を持ってしまう耐性菌の出現を招き、深刻な院内感染を引き起こすと指摘されている。しかし、最近まで学会や国も注意を促してこなかった。なぜ放置されてきたのだろう。」

「厚生省は96年、院内感染の問題を受けて抗生物質の診療手引を作成。だが、風邪の項目に「対症療法と二次細菌感染の予防が主体」として、使うべき抗生物質の名前を列挙している。

01年には日本感染症学会などに新たな手引の作成を委託した。が、ここにも抗生物質のリストが残った。手引をまとめた東京慈恵会医科大の柴孝也教授は「細菌性の風邪もあるので、一律に抗生物質を使うなとは書けなかった」と説明する。ようやく、来年5月に出す改訂版に「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」との文章が入る。
以上

ほっとしました。
朝日の記事は耐性菌の出現を問題にしています。それも重大なことですが、毎日 生身の患者さんを治療する私としては抗生物質の使用が減ることで風邪や気管支炎の針灸治療がやりやすくなることに、ほっとしたのです。どういうことか。2002年1月10日に発行した結(ゆい)通信1号から一部抜粋してみます。

☆不思議な国の不思議なかぜの治し方☆

◆風邪ひいて おなかの調子がおかしい? ◆

朝の通勤電車に乗るとせきの音が聞こえてくる。1月頃は風邪をひく人が増えてくる。 この季節になると 結(ゆい)には 風邪ひいて おなかの調子がおかしいという人がちらほら来院される。風邪のウイルスが胃腸にきて胃炎 腸炎をおこすというパターンはしばしばみられ、こういうのは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。

別のパターンもある。風邪だと思い 医者へ行き 薬をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合だ。たいてい抗生物質を処方されている。胃腸薬もいっしょにもらっているが これが効かないから 当院で「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」と訴えることになる。

抗生物質は 細菌も身体の有益な雑菌も全部 殺してしまう。トマホークミサイルのようにピンポイント攻撃ができるわけではない。B52のような無差別じゅうたん爆撃だ。人間の体は さまざまな微生物 雑菌の巣のようなもの。全体のバランスで平和な暮らしを営んでいる。これを無差別じゅうたん爆撃されたらたまったものではない。「どうも胃が重い」「胃が痛い」ということになる。

ところで 抗生物質をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合も たいていは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。やっかいなのは抗生物質をまた飲むと、「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」が再発することがままあること。

一介の鍼灸師が医者の出した抗生物質に文句をつけるのは大変だ。下手すると患者さんとお医者様の信頼関係にひびを入れかねない。抗生物質の副作用よりいきつけの医者との信頼関係にひびが入るほうが、患者さんにデメリットが大きいと思うのだ。結(ゆい)との信頼関係にひびをいれてしまうこともあるかもしれない。だからたいていは何もいわない。副作用を黙々と治療する。そしてインターネットのかたすみに駄文を書く。

以上

どうですか、私がほっとした理由が理解していただけたでしょうか。副作用ばかりの抗生物質はいらないとはっきり患者さんに言いやすくなりました。風邪や気管支炎の針灸治療がやりやすくなりました。

読者の皆さんも 風邪でお医者さんから薬をいただくとき、どんな薬かはっきり質問するようにしてくださいね。厚生省関係の抗生物質の診療手引が改訂されても、昔からのやり方を変えないお医者さんはいらっしゃるでしょうから。

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