腰椎ヘルニア なってしまえばなかなか大変
3月終わりある知人から自宅に電話が入った。
「職場で会議用のテーブルを片付けていたら 腰が痛くなった。そのままにしていたら2日後 ひどく痛みはじめた。病院に行ったら腰椎椎間板ヘルニアといわれた。手術をすすめられているが、どうしようか」というもの。
電話だけでは くわしいことはわからない。
「すぐ手術というのはどうかな」ととりあえず答えた。
手術すれば治るのか?
腰の骨は積み木のように重なっていて、その間に椎間板というゼリー状のクッションがはいっている。
椎間板が破れたり 膨らんだりして近くを通る神経を刺激してしまうのが腰椎椎間板ヘルニア。 腰椎椎間板ヘルニアは すぐに手術をしないことの方が多い(程度がひどく 例えば神経の圧迫の具合から おしっこが出なくなったりする場合は すぐに緊急手術ということになったりするらしいが)整形外科の分野でも椎間板ヘルニアは まずは保存的に治療されることが多く、通常、保存的治療60%、手術療法40%と言われている。
ある病院のHPでは、手術療法は一般的には長期の入院とリハビリ期間を必要とし、肉体的時間的社会的経済的損失が大きい。しかも椎間板ヘルニアの手術療法と保存的療法では1年以内の短期成績においては、手術療法が勝るものの、4年の長期成績ではあまり差がないと率直に書かれていた。
この病院のHPの主張は、腰に椎間板ヘルニアの手術跡のある患者さんの腰痛の治療をいつもやっている私の実感とも一致する。手術すれば 根本から治るのではと患者さんは期待してしまうが けっこう腰痛は再発するんだな。
保存的療法とは 神経ブロック注射や腰を牽引したり 電気をかけたり暖めたりするやり方。針灸もじつに効果的な保存療法だ。
最近は レーザーを使った手術の方法もあるようで、あるタイプの椎間板ヘルニアには効くみたいで、日帰り手術も可能。ただし保険はきかないから 安いところでも 20万円以上はかかるらしい。先ほどの病院のHPでもレーザー手術を紹介していた。
結局 さきほどの知人は 結(ゆい)で治療をはじめ 4月中旬の今は 鎮痛剤の座薬を入れないでも 生活できるまでに回復している。無理をしなければ痛みをほとんど感じないで1日をすごせるそうだ。
そうはいっても椎間板ヘルニアは ぎっくり腰を治すようには簡単にはいかない。
腰椎椎間板ヘルニアはなってしまえばなかなか大変なのだ。
腰のトラブルは病的な老化の進行
腰椎ヘルニアは ぎっくり腰をくりかえしているうちになることが多い。また ぎっくり腰同様 発症する前には腰が重いとか 背中が重いとか、身体がだるい重いといった疲労感を感じている場合が多い。要するに無理に無理を重ねておこってくるのだ。
どうすれば予防できるのか、「腰痛体操」のたぐいの情報は ちまたに氾濫しているから ここでとりあげることもないだろう。
「無理をしないで身体を休めたらどうですか。仕事をしすぎないように」とまずは言いたい。
伝統的中国医学では 腰にトラブルがあれば 多かれ少なかれ、病的に老化が 進行している状態ととらえる。実際 腰のほかにも 目がかすんだり 膝に力がはいらなくなったりするような老人と似たような状態になることが多い。おしっこが近くなる人もいる。過労は病的に老化を早めるものだ。過労が腰にでているのだ。
伝統的中国医学による針灸治療の真骨頂は 病的に進行してしまった老化状態を治すことにある。だから腰がおもだるいとか 最近 ぎっくり腰をよくおこすけれどどうしたんだろうといった段階のうちに治療を始めたほうがいい。いっしょに出ている老化症状も治すことができるし、ぎっくり腰も椎間板ヘルニアも予防できる。疲れがとれる。生き生きと過ごせるのだ。痛みが出てからでないと対処できない 西洋医学のやり方とは基本が違う。
運動は大切だが
腰が痛いから 鎮痛剤を飲んで様子をみるというのもひとつの選択だが、様子をみる間 ゆっくり休養して過労をさけるということをしなければ、矛盾を先送りして 次の大きな破局を準備しているようなものなのだ。腰椎ヘルニア なってしまえばなかなか大変なのだ。
一日 12 時間くらいデスクワークで働いていて、「運動不足だから、運動しなければ」という人にはこう答えることにしている。「運動して身体が爽快になり 一晩寝たら 疲労が回復するようなら運動してください。反対によけい疲れるような時は ゆっくり休んでください。運動も義務のように考えたら かえってストレスになりますよ」と。
腰椎椎間板ヘルニアを予防する策はじつは「何もしないこと」「何もしないで ゆっくりのんびり身体を休めること」「何もしない自分を許すこと」なのだ。

