半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.191~194 2008/05/6~14より
現代医学の世界でも腰痛の見方は
大きく変わりました。腰痛と心身症
腰痛の見方は大きく変わった!
現代医学の分野で腰痛についての考え方が大きくかわりつつあります。2008年1
月の関西中医鍼灸研究会で早川敏弘会員(天津中医薬大学準教授)が
報告してく
れました。
一般の方向けに要約すると、
◆現在は「腰痛」「腰椎椎間板ヘルニア」の概念が大きくかわりつつある。
◆腰痛の原因として心理・社会的要因の要素が大きく注目されている。ストレス
による心身症として腰痛を考えることが多くなっている。
◆腰椎椎間板ヘルニアがあってもそれが痛みの原因とは限らない。
ストレスによる心身症だけでなく、梨状筋(りじょうきん)症候群など、筋肉・
関節のトラブルが腰痛や下肢の痛みの原因である可能性が高い。(梨状筋とはお
尻にある筋肉の呼び名です)
といったことになります。腰椎椎間板ヘルニアでも特殊な場合をのぞき、医師が 手術を積極的に勧めることはまずなくなりました。
画像だけでは痛みの原因はわからない
「腰椎(腰の骨)に明らかな異常がなくても痛みは生じます」と福島県立医科大
学医学部整形外科の紺野愼一准教授は新聞記事等で発言されています。
紺野准教授によると
外来の腰痛患者の約7割はMRIなどで検査しても異常が見つからない。異常が
見つかった約3割についても「そこが痛みの原因であるとも限らないのです。画
像だけでは痛みの原因はわからない。これが新しい常識です」とのこと。
日本整形外科学会の腰椎椎間板ヘルニアについてのパンフレットにも「MRI画像で椎間板が膨らみだしていても、症状がなければ多くの場合問題はありません」
と明記されています。
紺野准教授は患者さんの腰痛に心身症の要素が大きいとなると、精神科、心療内
科と連携して治療されています。日本の整形外科の腰痛治療の新しい流れです。
※ 専門家、鍼灸学校学生の方は、福島県立医科大学教授の菊池臣一先生の『腰 痛をめぐる常識の嘘』(金原出版)を読まれることをお勧めします。菊池先生は腰 痛の世界的権威であるカナダのイアン・マックナブ教授に師事。日本整形外科学 会の会長を務めた経験もあります。象牙の塔にこもっている方ではありません。 「この本の内容はある意味では一臨床家の腰痛研究の足跡かもしれません」と序 文にあります。臨床での疑問を大切にされている姿勢には好感がもてます。お父 様はなんと「ほねつぎ」、柔整師でした。
治らないという呪縛(じゅばく)
しかし、新しい考え方はまだまだ大きな流れにはなっていません。患者さんはMRIの画像を見せられ、不十分な説明を受け「ヘルニアが神経を圧迫している」
「治りにくい」と意気消沈してしまうことも多いのです。レントゲンの写真で
「骨の間が狭まっている」といわれて「もう治らない」と絶望してしまう方もい
らっしゃいます。医師の側にそんなことを言ったつもりはないでしょうが、治ら
ないと言われたと受け取ってしまう場合が多いのです。実際は治るのに、「治ら
ない」「治りにくい」と思い込んでしまいます。治らないと思い込むと、治りに
くくなってしまいます。
「変形性脊椎症」「椎間板ヘルニア」「脊椎すべり症」本当はすべて治ります。
変形は治らなくても、日常生活に支障がない程度には治るのです。
医師、柔整師や鍼灸師、治療家の中にも「これは治りにくい」と不用意に発言し
てしまう先生が、ほんの一部ですがいらっしゃいます。本当に難しく治りにくい
ものは仕方がありませんが、「この程度で治りにくいといわれたの!」とこちら
が驚くような例も結構あります。私の治療は患者さんを励ますことから始まりま
す。
じつはすぐに治った腰
松野 武さんは 30代の男性。工場で働いていらっしゃいます。職場のリーダー
で若い人たちを指導されています。
身体が疲れやすく、腰痛があります。背中が全部はるそうです。
ある製品を持ち上げる仕事が日常的にあるのですが、さっとうまく持ち上げるこ
とができません。いつも手間取っています。若い人にしめしがつかないと嘆かれ
ます。
ある製品を普通に持ち上げられるようにすることが重要だと考えました。松野さ
んは製品を持ち上げようとして毎日、自信喪失しているのですから。仕事で一番
多い作業が普通にできるようになること、製品を持ち上げることから自信が回復
していきます。
松野さんは「この腰は治りにくいので、時間はかかるとおもうのですが」とおっ しゃいます。近くの整骨院に通院されていたのですが、この腰は治りにくいと繰 り返し言われたそうです。「骨盤がゆがんでいるそうです。腰の骨が曲がってい るそうです」と整骨院で言われたままに説明してくださいます。 実際に診断してみると、腰はたいして悪くはありません。筋肉は十分ついている し、立派な体格の方です。「大丈夫、あなたは元気だ」と励まし、針灸治療した ら、その場である製品と同じくらいの重さの砂袋を普通に持ち上げられるように なりました。きつねにつままれたような顔で驚いていらっしゃいました。
車に乗るとまだ腰は痛みますが、工場の仕事では痛まなくなりました。じつは松野さんは数年間うつ病に苦しんだ方。一年前から薬なしでも生活できるようになったのですが、疲れやすく人の名前もうまく覚えられない、なんとかならないかと来院されたのです。松野さん自身、腰はほとんどあきらめていらっしゃいましたが、こちらは治しやすいと判断しました。まず腰から治して自信をつけていただこうと考えたのです。
小さな息子さんも、腰痛が怖くて抱けない状態でしたが、「大丈夫抱いてください。ひどくなったら結(ゆい)で治します」と励ましました。息子さんを抱く時の喜びの感情は気のめぐりをよくします。心配して抱くと悪くなりますが、喜んで抱くとたいていは大丈夫です。
2008年1月下旬~3月に治療しました。2月の治療の時には、ものの色が前より鮮やかに感じるようになったと印象的なことをおっしゃいました。それまでは周りがベールの向こうにあるような感じがして現実感がなかったそうです。3月になると日常業務に支障はなくなった。記憶力も回復してきた。仕事の能率も上がっている。身体は疲れにくくなったということで治療を終了しました。昇進が決まり、喜んでいらっしゃいました。
これでお嫁にいけるかしらの腰椎椎間板ヘルニア
山田 茂子さんは20代の会社員です。2007年の秋に腰痛で動けなくなりました。
整形外科で腰椎椎間板ヘルニアと診断された後、他のところで4~5回針灸治療をしたのですが、一向によくなりませんでした。結(ゆい)に来院され
たのは11月の初めの頃です。
上半身が大きく横に傾いています。椎間板ヘルニアの方に時々みられる症状です。「これでお嫁にいけるかしら」と初診の時に心配そうにおっしゃいます。「大丈夫、痛みもなくなるし、身体もまっすぐになります」と励まして治療を開始。
3回ほどの治療で痛みなく歩けるようになりました。11月終わりまで10回ほどの治療すると腰痛はなくなり、姿勢もまっすぐになりました。
12月初旬、好きなロックバンドのコンサートに行きたいとおっしゃいます。数時間、列車に乗るとのこと。「痛みが再発しても、数回で治せると思うから、楽しんでくれば」と送り出しました。結局オールスタンディングのコンサートを2日続けて楽しまれました。追っかけです。ロックですから当然、観客も飛び跳ねます。飛び跳ねて衝撃を加えるのは椎間板ヘルニアの腰には、あまりよくないとされているのですが山田さんにはなんともなかったようです。喜びの感情は気のめぐりをよくします。2日続けてコンサートに行った事実に「たいしたもんだ」と感心すると「私、やるときゃやる
んです!」と自信ありげに一言。「これでお嫁にいけるかしら」と最初につぶやかれた時とは別人のようでした。
※ 治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの名前を仮名としているほか、年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。



