◆先日 ある女性から こんな問い合わせがありました。
○月×日にメニエールだと診断され、薬を飲み聴力は回復しているものの、低音の耳鳴や耳のつまり感が完全に消えず悩んでいます。こちらの鍼灸院を見つけたのですが、具体的にどのような治療なのか教えていただけますでしょうか。(お灸or鍼。耳に直接なのか別のツボなのか)鍼灸院へ行ったことがなく、不安なため、事前に伺いたく思い連絡させていただきました。
◆回答しました。
お問い合わせありがとうございます。
患者さんを診断してから治療するため、西洋医学的な病名で治療のやり方が決まっている訳ではありません。ご理解ください。オータ゛ーメードの治療です。
診断は中医学、東洋医学の考え方から行ないます。できるだけ早期の治療開始が効果的です。
◆患者さんを診ないとわからないのです
患者さんの年齢もわからないし、どの程度 聴力が落ちて、その後回復したのかもわかりません。メニエールと診断されていても、実際 どんな状態なのかも不明です。突発性難聴、急性低音障害型感音難聴(ALHL)、メニエール病、耳管開放症と耳鼻科を変えるたびに病名の変わる患者さんもいらっしゃいました。適応障害か軽いうつ病ではないかと思われる患者さんもいらっしゃいます。
耳鼻科の診断は、私にはあくまで参考に過ぎません。中医学、東洋医学的にみてどのような身体の状態なのか、証(しょう)が大切なのです。そうはいってもHPには西洋医学の病名で分類して紹介しています。そのほうが患者さんに理解しやすいからです。実際の治療は証(しょう)にもとづいています。そして肝欝気滞(かんうつきたい)というような中医学的な診断の言葉は、肝臓が悪いのかと誤解されたりするので使いません。学術用語も使いません。正確さよりも伝わることを大切にしています。
耳の周囲のツボを使うこともあれば、使わないこともあります。季節や天候によっても変わります。最初は手足のツボだけを使い、何回か治療した後に耳周囲のツボも使う場合もあるし、その逆もあります。テレビやネットで「○○には このツボが効く」と言われることもありますが、そう単純なものではありません。ですから上記の女性には「オータ゛ーメードの治療です」と回答するしかないのです。HPの写真でもある程度は伝わるでしょう。鍼も灸も両方使うことが多いです。ただ痕の残るような灸の治療はしていませんので、そこはご安心ください。2024年11月
患者さんによって鍼への感受性は違います。私は患者さんに合った鍼をするように心がけています。細い鍼しか使わない治療家もいれば、太いガン!とくるような鍼しか使わない治療家もいます。刺さないで触れるだけの鍼、接触鍼というのですが、接触鍼のみの治療家もいらっしゃいます。
私は接触鍼から太い鍼まで使い分けます。患者さんに合わせて決めています。最初は中程度の太さの鍼を使い、様子を見ながら細くしたり太くしたりしていきます。35年前に開業した当初は中国流の太い鍼と中程度の太さの鍼を使っていたのですが、研究会活動や学会の中でいろんな治療家のやり方を勉強させていただき今のやり方にいきつきました。
じつは同じ患者さんでも最適の太さが変わってくる場合もあります。治療していく中で、気の巡りが良くなっていきます。鍼の感覚をより強く感じるようになる場合があります。そういう時は鍼を細くします。
大切なのは対話です。「こんなふうによくなった。」というのはもちろん聞かせていただきたいのですが「こんなふうに変化した。ちょっと不快だ。」というのも聞かせてください。対話しながら治療をより最適なものに変えていくのが私のやり方です。
鍼は症状と患者さんの個性によって、その場で効くものもありますし、翌日に効くものもあります。翌々日という場合もまれにあります。2024年11月
50代後半の女性患者さんのお話です。
自律神経の乱れによる疾患が多く、調子が悪くなったら結(ゆい)にいらっしゃいます。1時間半くらい通院にかかるところにお住まいのため 当初は近くの鍼灸院に行かれるのですが、治らないときは当院にいらっしゃいます。
☆胸の違和感は3回でなくなりました
○○年1月に来院されました。胸が「ころんころん」となる感じがする。胸に違和感があるという訴えです。
10月頃から2ヶ月間 食欲がなくなり、同時に乗り物酔いしやすくなりました。日によって身体に力が入らないことがあります。
この時は1週間に3回治療して治りました。3回目に以下のアンケートをいただきました。
◆アンケート回答
よい効果があった。少し苦痛はあるが ずいぶん楽になった。総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は3であるという回答があり以下のようにコメントされました。
体のしんどさがずいぶんとれてきました。(院長から)もう1回の通院で良いのではと言われましたがもう少し 10日に一回ぐらい来させていただきたいです。元気になれば 月1ぐらいでお願いしたいです。アンケート以上
実際はこれで治療を終わり、次に来院されたのは1年後の9月でした。
☆暑くなると体温も上がってしまい、身体がしんどい
8月初めに西日を20分くらい浴びてから、体温が1度 平熱より高い状態が続くようになった。近くの鍼灸院に4回ほど行ったら、暑い時には体温が高く涼しい時は平熱にもどるといった状態になったが、そこからなかなか治らないので当院を思い出したとのことでした。自律神経の異常です。庭を掃くとかちょっとした作業で身体がすごくしんどいという訴えでした。
今度は瀉熱(しゃねつ)という過剰な熱をとる治療をしたところ1週間に2回の治療で治りました。暑い時も大丈夫になり作業もこなせるようになりました。
じつはこの女性は5年ほど前から手のひらが熱く感じるようになり、入浴するのが苦痛となりシャワーだけの生活を続けていらっしゃいます。寝つきもよくないようです。
もう少し継続的に治療をさせていただければ、そういった状態も治せますよと提案しましたが、そこまでは望まれないようです。
◆考察
当初の1月は身体の胸やおなか側を上から下へ流れる経絡がうまく通じなくなり、胸の違和感が出るようになったものです。この時 食道に炎症等があればお医者さまからは「逆流性食道炎」と診断されたりします。気の流れを通し整えるのは適切に治療すれば、比較的早期にできます。流れる気、エネルギーが減少した気虚(ききょ)がひどい方は補気(ほき)というエネルギーを養っていく時間が必要ですが、気を通すだけならすぐにできます。
9月は身体の熱がうまく発散されなくなっています。汗をかきすぎて身体の津液(しんえき、身体の正常な水分)が不足し、身体を適切に冷やすことができなくなった状態です。
夏の終わりによくある症状で、瀉熱で熱をとるのは簡単です。
本当は瀉熱に加え 津液不足をなくし、入浴できないような身体の不調をなくす補陰(ほいん)という治療をしばらくすれば寝つきもよくなり 入浴もできるようになります。9月の2回の治療でも補陰していましたが、2回では身体の状態をしっかり変えるところまではいきません。
患者さん本人としては 訳のわからない大変な症状にみえるかも知れませんが、中医学では分析し見通しを立てることができます。適切に治療すれば簡単に治るものも多いのです。2018年10月
世の中には疲れやすい方と疲れにくい方がいます。そして疲れにくい方の中には、本当に疲れにくい方と疲れに気づきにくい方がいます。本当に疲れにくい元気な方はいいのですが、疲れに気づきにくい方の疲労の蓄積が大問題です。うつ病になりやすいタイプのひとつです。
◆疲れに気づきにくい方の自己診断法
疲労感を少ししか感じていない状態が前提です。
1.仕事をしていると疲労感を感じない。休日も外出してばかりいる。じつは休日に自宅にいると身体がだるく感じる。外に出ると楽になる。
2.最近 イライラしていると感じることがある。むしゃくしゃすることが多い。
3.早朝に目が覚めることがある。寝つきが悪いことがある。
4.原因不明の微熱がでたりしたことがある。吹き出物が多い。
5.冷たいものがのみたくなる。のどがかわきやすい。
6.声がかれたり、のどに違和感を感じたり、鼻がつまったりしやすい。
以上のうちの2~3つあてはまる方は要注意です。疲労感を感じにくく体調を崩した患者さんの傾向を私が伝統的中医学の視点から書き出してみました。
人の身体には陰(いん)と陽(よう)があります。陰陽ともにまあまあ調和とれている状態が健康です。陰陽は西医の自律神経に近い考え方です。陰が減るとバランスが崩れ、身体が異常な興奮状態になり疲れを自覚しにくくなります。1は自宅で興奮が収まると、疲労感がわかる状態。2は興奮が怒りに転化している状態。3と4と5と6は陰がへって身体に妙な熱がこもっている状態です。とくに6は免疫系がおかしくなっている可能性があります。
元気なのではなく疲労を感じるセンサーが弱くなっているのです。
意識的に睡眠時間を確保するようにしてください。7割ほど疲れたと感じたときはすでに120%疲労している状態です。早めに休養をとってください。冷たいもののとりすぎは身体をひやします。氷を口に含んで口内をさましてください。
◆鍼灸治療に来ていただければ、疲労を回復し、なおかつ疲れを自覚しにくい状態を正常にもどすことができます。
島田(仮名)さんは30代初めの青年です。数年前は全般性不安障害、パニック障害と診断され当院に治療に来られていました。当時の鍼灸治療の一番の目的は不安で乗れない新幹線に乗れるようになることで、それはうまくいき治療は終了しました。
今回は4ヶ月前から夜、眠れず、昼間 起きていられないという症状がひどくなったと来院されました。睡眠導入剤も効きません。昼間起きているよう努力はするのですが、たまらず寝ることもよくあるようです。こま切れの質の悪い睡眠の典型です。
2ヶ月前からは身体中に湿疹が出るようになり、夜はかゆみがひどくなりよけいに眠れない。概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)ともみえるような症状ですが、この場合は気分障害からくるものなのでしょう。島田さんは今回は気分障害と診断されているようです。気分障害とはうつ病や双極性障害を含む広い概念です。
数年前のような不安感はなくなったとのことですが、抗うつ剤は飲み続けていて、疲れやすさ、手足のしびれ感の訴えもあります。
1ヶ月に5回治療したところ、夜はすぐに眠れるようになり、昼は起きていられるようになりました。2回ほど治療したところでかゆみが引き始め、3週間後には湿疹はきれいに消えました。眠れなくなると、だんだんと身体を落ち着かせる陰(いん)という成分が減少し、皮膚のかゆみになり、やがて湿疹になることがあります。こういう時、伝統的中医学では睡眠と湿疹を一連のものと考えて治療します。みなさんも睡眠時間が極端に少なかった時、妙に興奮した経験はありませんか。身体を落ち着かせる陰(いん)が減っているからです。
◆アンケートでは「非常によい効果があった、ほとんど完全になおり苦痛がない」を選択。以下のようなコメントをいただきました。
当初の気分障害での体のだるさ、日中起きていられない、夜の睡眠障害、体全体の湿疹に悩まされてきました。2回ほどの治療で夜もぐっすり寝つけるようになり、4ヶ月間毎日飲んでいた睡眠導入剤も全くいらなくなりました。それに伴って約一週間ほどで湿疹もほとんどひいていきました。同じく体のだるさも、一週間ほどでかなりなくなり、昼からも動けるようになりました。コメント以上
まだ風邪やインフルエンザが流行っているようです。今回は風邪の発熱の後にひどく背中が痛んだ患者さんが治ったお話です。2014年4月17日掲載。
☆風邪の後の背中の痛みが1週間で消えました
村田さん(仮名)は40代後半の女性です。一週間前に風邪をひいて発熱、背中が痛くなりました。発熱はしばらくしておさまったものの背中の痛みはとれません。仰向けに寝て背中を圧迫すると痛いとのこと。横向けになってもらい、側臥位で治療しました。1日おきに2回治療したところ当初の痛みを10とすると3~4という状態に落ち着きました。その後もう一度治療すると10とすると0.5というところまで激減、治療開始から1週間がたっていました。4回で背中の痛みはなくなり治療を終了しました。この段階でアンケートをいただきました。
村田さんは持病の喘息もありその後も時々、治療を続けています。背中の痛みの治療中も息苦しさもありそちらもいっしょに治療していました。鍼灸は慢性的なものだけでなく急性の症状にも良く効きます。風邪の後に咳が続くような時もよくききます。
/acupuncture/cold/
◆鍼灸治療の効果を
1.非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。と回答され「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0.3である。」と回答されています。
◆コメント欄には以下のように書かれていました。
大変 痛みがとれ楽になりました。
夜も眠れ助かります。ありがとうございました。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
五十嵐(仮名)さんは十代後半の学生さん、中学2年の頃から生理が始まったのですが、1年に1~2回しかきません。3ヶ月治療したところ定期的に生理がくるようになりました。
アトピー性皮膚炎も小学校高学年からあり、頚や肩もこり、足がつりやすいそうです。こちらの方も肌がきれいになり、かゆみもなくなりました。「頚、肩のこり」が最初になくなり、次に足がつらなくなり、アトピー性皮膚炎がきれいになった後に生理がくるようになりました。五十嵐さんは中医学でいうと血虚(けっきょ)のタイプ、少しだけ気虚(ききょ)もありました。
中医学では「頚、肩のこり」「足がつる」「アトピー性皮膚炎」「無月経」を別の病気とは考えません。「頚、肩のこり」は気虚(ききょ)のために気のめぐりが悪くなったために起こっています。
足がつるのは筋肉にうまく気血(きけつ)が回っていないため、アトピー性皮膚炎は血虚のため皮膚の状態が悪くなったためです。血虚の肌はアトピーとは限りませんが、カサカサしてかゆみが出やすくなります。
無月経は血虚で栄養状態が悪くなっているためです。無月経という病気を治すというよりは、身体を元気にしていく中で自然と回復していくイメージです。
アンケートには「生理が毎月来るようになってとてもうれしいです。」と書かれていました。無月経の治療はホルモン療法、低用量ピルだけではないのです。鍼灸は本当に身体を治していきます。
※五十嵐さんの場合は血虚でしたが、無月経の原因は血虚ばかりではありません。
森田(仮名)さんは50代の女性、デスクワークが多くパソコンと向かい合う毎日です。右の背中と胸が痛いという主訴で来院されました。8ヶ月前から続いています。頭痛、目の奥の痛みもあります。いくつもの医院、病院を回りましたが結局、原因不明。痛みだけでなく首や肩もこります。5週間8回治療して痛みはほぼなくなり、この段階でアンケートをいただきました。
◆アンケート回答
よい効果があった。少し苦痛はあるがずいぶん楽になった。治療前の苦痛を10とすれば今は1である。
◆コメント
原因不明の痛みで何科に行ってもわからず、諦めていましたがこちらに伺い本当に楽になりました。針治療はしたことがなかったので怖いイメージがありましたがもっと早く来ればよかったと思います。ありがとうございました。
森田さんは中医学的にみれば肝欝気滞(かんうつきたい)という状態、気のめぐりがひどく悪くなっていました。じつはこの後、1ヶ月くらい治療をお休みしたところ、少しだけ右胸の痛みがぶり返したのですが、1回ですぐになくなりました。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
概日リズム睡眠障害という言葉を聞いたことがありますか。睡眠のリズムが乱れた状態のこと。当院では「夜 寝つきが悪く朝はなかなか起きられない、午前中はぼおっとしてしまう」といった概日リズム睡眠障害の中でも 睡眠相後退症候群と呼ばれる状態をよく治療しています。
「夜、寝つきがわるく午前3時ごろになってしまいます。朝はなかなかおきられません、午前中はつかいものになりません。なにより身体がだるくてやる気がでないのがつらいんです」といった患者さんがよくいらっしゃいます。以前 足首の捻挫で治療し、HPで紹介した女性もそんな方でした。詳しくは以下をごらんください。
◆足首を治すために身体も治す、動きながら治す。フラメンコを踊れるようになった患者さん
/acupuncture/knee-ankle/
睡眠相後退症候群(DSPS)は督脉(とくみゃく)、任脉(にんみゃく)という身体の中心線を流れる気の流れがうまくいかなくなった状態と考え、治療します。督脉通陽法というやり方を主に使います。身体の陰と陽のバランスを調整する治療法とも呼ばれています。数回で効果を実感できます。上述の女性からは以下のようなコメントをいただいています。
的確な治療ありがとうございました。最近は以前のような極端な夜更かしはなくなり、1日のスタートも早くなりました。捻挫でいった針灸院ですが、これをきっかけに体調がよくなり、災い転じて福になったと思っております。
じつはこの女性、「肩がこっていない日はない。」「昼間はぼおっとしてなかなか仕事にかかれない。そのためついつい夜更かしして仕事を片付けてしまう。」といった状態だったのですが、肩こりもとれ、朝にちゃんと起床しすぐに仕事にとりかかれるようになりました。睡眠相後退症候群(DSPS)を治すのは高照度光療法やメラトニンだけではありません。針灸はつらい身体症状もいろいろ治しながら、早く的確に治していきます。 2014年2月6日掲載
結のHPの関連記事もお読みください。
生物時計、規則正しく暮らすことが、養生の基本
/acupuncture/cat_body/entry_880/
生物時計とうつ病
/acupuncture/cat_body/entry_879/
詳しく知りたい人は厚生労働省のHPをご覧下さい。
概日リズム睡眠障害
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-007.html
睡眠相後退症候群
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-028.html
結(ゆい)通信No.439 2014/1/5より
「なんだか昼間が眠くて仕方がない」という品川(仮名)さん。30代の男性です。膝が痛いということで来院されました。膝は1回の治療で治ったのですが「ほかにおつらいところはありませんか」と聞くと、冒頭の言葉が返ってきました。
奥さんによると、眠っている時に呼吸がとまることが多く、いびきもひどいそうです。睡眠中に10秒以上の呼吸停止が5回以上繰り返す状態が睡眠時無呼吸症候群と呼ばれますが、この可能性大です。夜の眠りの質が悪いために、昼間に眠くなることが多いといわれています。
品川さんはほどほどに健康な方。睡眠時無呼吸症候群になりやすいといわれている肥満ではありません。毎日自転車に乗って、外回りの営業を続けていらっしゃいます。脳を活性化して元気になる針灸治療を2回ほどしたところ、「昼間に眠くなるのはなくなった」とのこと。「呼吸がとまることはなくなった、すやすやと安らかに眠っている」と奥さんも安心のご様子。
睡眠時無呼吸症候群の一般的な治療は入院して検査の後、睡眠時にCPAPという鼻マスクをつけて空気を送り込んだり、特別なマウスピースをオーダーメイドでつくって装着したりとなかなか大変です。
鼻マスクは防毒マスクに似た形です。つけて寝るのはなかなか大変そう。西医の治療は要するに空気をとり込みやすくすることで、無呼吸状態を治そうとするものです。一方、私の針灸治療は昼間の活動性を増す治療をすることで、夜も深く眠れる状態をつくろうというもの。昼間元気に働き、夜はコテンと寝てもらう状態にします。眠りの質を改善することが、無呼吸を改善することにつながるようです。針灸治療は通院するだけの簡便なもの。睡眠時無呼吸症候群の疑いありと思われたら一度、針灸治療をお試しください。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
篠原(仮名)さんは40代の女性です。首と肩が1ヶ月ほど痛いということで来院されました。首は「中にボールが入っている感じがする。」とのこと。右肩が痛く、上がりにくい。空腹時には胃が痛む、夜中に何度もおしっこに起きてしまうという症状も。
1回目で右肩はその場で上がるようになりました。2回治療すると、首の症状もとれました。一番、感謝されたのが胃痛がなくなったこと。ずいぶん長く苦しんでいらっしゃいました。
じつは篠原さんは胃痛については最初、言われませんでした。あきらめていたからです。
長年、胃痛に苦しまれているみなさん、針灸も是非お試しください。
暑い環境で働く方々の一部に、夜も身体が熱くなり、強い冷房の中で過ごす人がいらっしゃいます。とくに男性に多く見られます。なぜなのでしょう。実際に私が治療することが多いのは、体調を崩した奥さん方、冷えて気のめぐりが悪くなった患者さんに、夜の冷房を弱めるようにお願いすると「私は寒いのですが、夫が暑がるので。」と言われることがよくあります。
夜、身体が熱くなるのは昼間に働いて汗を大量にかいたためと中医学では考えます。もちろん汗をかくのは熱中症にならないために大切なこと。ただ汗といっしょに身体の津液(しんえき)も出て行きます。津液とは身体を潤し栄養するに大切な液体、脾胃、消化器系でつくられます。大量に発汗して津液をつくるほうが追いつかなくなると身体が熱くなりがちです。暑いと食欲も減り気味、食べ物が消化吸収されてできる津液は食べないといよいよ減ってきます。
身体が熱くなると、眠れなくなったり何回も目が覚めたりします。朝早過ぎる時間に目が覚めたりします。寝汗もひどくなります
。
口や鼻がかわき、声がかれてきます。目が落ちくぼみます。イライラして落ち着きがなくなります。
こういう状態を陰虚(いんきょ)といいます。陰虚は男性に多い状態です。陰と陽のうち身体を落ち着かせ滋養する陰が失われた状態です。針灸では補陰(ほいん)、陰を増やすつぼを使って治します。
どうすればいいのでしょう。
まずはきちんと食べること。津液のもとをつくるのは食べ物です。辛いものや甘いものをとりすぎないこと、お酒も控えめに。これらはよけいに身体を熱くします。眠りにくくても睡眠時間を多めにとることが大切です。 身体の熱くなる症状は針灸で治ります。不眠で疲労をためこまないためにもお試しください。
30代前半の青年、竹田(仮名)くんはお母さんに連れられて来院されました。自閉症で知的障害があり、作業所に通っています。
ベットに横になると首をそらすような動作が始まりました。お母さんによると一晩中、首を動かしていてほとんど眠らない状態。3~4年前から首の発作が始まったが2時間ぐらいでおさまって眠っていた。ここ一ヶ月前からひどくなったとのこと。
身体を落ち着かせる経絡(気の流れ)がうまく流れていないようです。
任脈と陰きょう脈の経穴2つほどに鍼をすると、首の動きが落ち着いてきて、やがて止まりました。3~4年続いていた首の発作は2回の治療できれいになくなりました。
お母さん「この子はほとんど食べないんですよ。だからこんなに痩せてしまって。最近とくに食べないんです。」
私「暑くなると消化器系の弱い人は食が細ります。竹田くんは脾気虚(ひききょ)といい消化器系が弱い状態です。自閉症だから食べないのではなく、脾気虚だから一度に多く食べることができないのです。脾気虚を治すことはできます。」
お母さん「作業所へ30分ほど歩いて通っています。途中で時々止まってしまうんです。しばらくしてから歩き出すのですけれど。」
私「これだけ痩せていれば歩行途中に休憩したくもなるでしょう。ましてや炎天下です。脾気虚を治して元気になれば、休憩は減るはずです。なんでも自閉症のためと考えないでください。」
こうして竹田くんの脾気虚を治す治療が始まりました。2回ほど治療するとずいぶん食べられるようになってきました。途中で止まらず、すたすた歩くことも多くなってきました。
自閉症を治すのでなく竹田青年を治しています。竹田青年は自分の症状を客観的に説明することが苦手。それでも中医学的診断とお母さんの説明から大体のことはわかります。
針灸は病気ではなく人を治します。
追記
竹田くんはその後、筋力もつき痩せすぎも治りました。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
邵中医師から興味深い話を聞きました。80年代の北京での被曝者への治療の話です。今後の皆様の健康を保つ治療の参考にしていくつもりです。
北京のある場所に核開発に従事する過程で被曝した研究者、技術者とその家族、子どもたちが住んでいました。彼らは国家の英雄として優遇されていました。治療を受けていた病院のひとつが通県中医院(中医学での治療が中心の病院)。
第五研究院という被曝を研究する機関も併設されていました。1984~86年に邵中医師は通県中医院に勤務し治療にあたりました。白血病やがんなど放射線障害としてよく知られている病気の他に多発していたのが関節リューマチ。
関節リューマチは自分の免疫が主に手足の関節を攻撃し、関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病です。
放射線は免疫不全をおこしますから、関節リューマチの多発は納得できる話です。
私は放射線医療の専門家ではないので、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリで関節リューマチが注目されたどうかどうかはわかりません。ただ関節リューマチはただちに生死に直結しないのでカウントされなかった可能性はあると推測されます。
通県中医院では被曝者とその子どもたちへの関節リューマチ治療が頻繁に行われ、鍼灸と漢方薬が使われました。フクシマでの膠原病や関節リューマチの発生動向も今後の調査が必要と思われます。
余談ですが故毛沢東主席は原水爆の開発は推進したが、原発(中国では核発電)については反対したと聞きました
血圧がなかなか下がらないという方はぜひお読みください。
80代の高齢の女性が頭痛と耳鳴りがなんとかならないかと来院されました。降圧剤を飲んでいても朝になると収縮期血圧が180mmHgまで上がってしまうという状態が1年間続いています。頭痛のために物事に集中できない。痛み止めも飲み続けているが、腰痛がつらく肩こりもひどいとのこと。10年間、夫の介護を続けていらっしゃいます。
一度治療すると、身体全体が軽くなったとおっしゃいます。朝の高血圧に変化はありませんが、頭痛も幾分軽くなったとのこと。2週間4回治療して頭痛、耳鳴りがきれいになくなり、朝の高血圧も下がりました。腰痛も軽くなり痛み止めをやめることができました。
大阪城の周りを歩く催しにも参加され、修了証を嬉しそうに見せてくださいました。肩もこらなくなったので趣味の編み物をそろそろ再開されるそうです。もともとお年のわりには元気な方です。気の流れを整えてあげるとぐいぐいと治っていかれました。年だから治らないとあきらめることはありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
専門家、学生の方へのお知らせ
鍼灸ジャーナル Vol.17(2010年11月号)に私と『鍼灸治療内経気象学入門』(緑書房)の著者 橋本先生の対談が掲載されます。
「鍼灸臨床における気象医学の必要性 その土地の気候風土を意識して日々の臨床に生かす」というテーマで話し合っています。是非、お読みください。
11月の関西中医鍼灸研究会のお知らせ 事前申し込みは不要です。
早川会員 陽きょう脈 陰きょう脈の講義
木下会員 陽きょう脈 陰きょう脈等奇経を用いた臨床報告
《日時》 11月13日(土) 18:00~21:00
《場所》 大阪市立総合生涯学習センター 第4研修室
(大阪駅前第2ビル5F)
関西中医鍼灸研究会については以下をご覧ください。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm
肛門付近の血管がうっ血してふくれあがるのが痔核、いぼ痔です。出血し、時には痛みます。肛門付近の血の流れが悪くなっておこるのですが、針を肛門のすぐ近くにうつ場合はほとんどありません。手足や頭のツボを使うことが多いのです。
ひどく痛む時でも意外と簡単に痛みがとれます。
恥ずかしがる人が多いのですが「ちょっと痔が、悪くなって」とささやいていただければ治療できます。ほとんどの場合、患部をみることはありません。
先日治療した40代の男性は2週間に3回の治療で痛みがなくなりました。
痔は肛門周囲の血流が悪くなっておこる病気です。針灸は血流改善に抜群の効果を発揮します。
鍼灸は普通に考えられているより守備範囲の広いものです。今回は涙嚢炎(るいのうえん)のお話です。
涙は目を潤すために涙腺(せん)から分泌され、いつも鼻の奥に流れています。
この目と鼻をつなぐ涙の通り道がさまざまな原因によって詰まり涙が鼻に流れず涙嚢にたまって炎症を起こす病気を涙嚢炎(るいのうえん)といいます。黄色い膿(うみ)が出てきます。眼科では手術をすすめられます。
中年以降の女性に多く見られる病気で、結に来院されたのも50代の女性でした。
右目から黄色い目やに(膿)が出てきてうっとおしいという訴えでした。眼科で涙嚢炎と診断されて手術を勧められているが、なんとかならないものだろうかというお話。
一ヶ月半治療し、ほぼ症状はなくなりました。
治療後しばらくしてアンケートを送ったところ「涙嚢炎で顔、特に目の周りに針をする事に抵抗はありましたが、それ以上に黄色の目やにが苦痛でした。でも今は出ても涙が出る程度でとても助かっています。
ありがとうございました。」という回答をいただきました。鍼灸は意外なものにも効きます。遠慮なくご相談ください。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
立春が過ぎました。
春はうきうきする反面、気分が不安定になりやすい季節です。女性の患者さんの中には、たまにリストカットの痕がある患者さんがいらっしゃいます。左の腕の内側にすうっと何筋かの痕があります。よく見ないとわからない薄いものや、はっきりとケロイド状、みみずばれのようになっているものまで患者さんによっていろいろです。
リストカット(手首自傷症候群)は若い女性に多い行為です。結(ゆい)にはパニック障害やうつ病、神経症などを治療するためにいらっしゃいます。まだ新鮮な傷をお持ちの患者さんに私はよく次のようにいいます。
「あなたがリストカットをする場所は東洋医学、中医学でいうと心経(しんけい)、心包経(しんぽうけい)という精神に関係する経絡(けいらく)、気の流れる道のあるところです。鍼灸では心経(しんけい)、心包経(しんぽうけい)のつぼに鍼をしたり、指先の井穴というつぼから一滴の血をだしたりして不安を鎮める治療法もあります。だからあなたがイライラしたりもやもやしたり、不安に思っている時にリストカットして落ち着く気持ちも理解できます。治療に通じるものがあるのですが、リストカットは失うものが多すぎます。場合によっては死の危険もあるし、出血しすぎると体調も崩します。なにより社会生活を送っていく上で、偏見にさらされ、いろいろと不利になります。だからリストカットしたくなったら指先をもんでください。心経、心包経をはじめとする手の経絡の気の流れをよくして、気持ちを落ち着ける作用があります」と。
一見、とんでもない行為にも理由があることが多いのです。リストカットは気持ちを鎮めるための、しかし危険極まりない行為です。リストカットする女性の保護者、恋人、友人の方は左手の指先をもんであげてください。爪を上下からと左右からと、ちょっと痛いくらいにもんでください。肘から先を丁寧にマッサージしてあげることも効果的です。信頼できる鍼灸院で治療を受けてください。
とにかく生き残りましょう。私は手にリストカットの痕を持ちながらたくましく生きている中年の女性を何人も知っています。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
はじめに
ベストセラーを連発している石原結實医師の著作を読んでみたら、私の考えていることと共通点が多くて驚きました。体温を上げると健康になるという考え方は私と同じです。
日本人の平均体温は36.5度といわれていますが、最近は低体温の人が増えています。
石原結實医師によると「体温が1度下がると免疫力は30%以上低下し、一度上がると5~6倍強化される」「体温が1度下がると代謝は12%も落ちる」とのこと。
体温を上げると健康になる。中医学で表現すると、「陽の気がめぐれば、たいていの不調はよくなります」ということです。疲れにくくなります。みなさんも一度、自分の体温をはかってみてください。体温は一日のうちで変化しますから、何日間か同じ時間帯に何度かはかってみてください。きちんと36度をこえていますか。
お風呂に入ろう
体温を上げる一番、簡単な方法はシャワーでなくてお風呂に入ること。私は朝と夜、2回入浴するようにしています。陽の気をめぐらせ、代謝を高めます。
自宅で親の介護をしている60代の女性患者さんの体温も上がりました。最初に来院された時は、肩がこり、月に1回は片頭痛に苦しむといった状態でした。花粉症もあります。治療すると片頭痛も花粉症も治りました。肩こりも出にくくなりました。月に数回、ちょっとした不調を治しながら、健康維持の治療を続けています。1年近く治療していると昨年12月に体温が上がっていることに気づいたと教えていただきました。35度だったのが36.4度になっているとのこと。
免疫力があがったためか風邪もひきにくくなったそうです。
体温の変動
1日の体温は変化しています。一般に夜になると低くなり、昼間の活動中は高くなります。眠っている夜の2時~3時に一番下がり、朝にかけて上昇していきます。夕方6時ごろに一番高くなり、ゆっくりと下がっていきます。体温が下がると眠くなり、上がると頭がはっきりして活動的になります。夜、眠かったのにお風呂に入ったら目が冴えてしまったという経験のある方は多いはずです。
寝つきが悪いと訴える患者さんが、いつも眠る直前にお風呂に入る習慣だったというのはよくある話です。低体温の女性の患者さんに時々みられる生活パターンには以下のようなものがあります。
1. 仕事から帰宅すると疲れて身体が動かないので、とにかく寝てしまう。
2. 2時間ほど寝て、なんとか家事を始める。食事をして食事の後片付けを済まし、お風呂に入る。お風呂から上がってすぐに寝ようとしても眠れないため、夜更かしをしてしまう。
3. 睡眠不足と低体温から寝起きが悪く、午前中はぼおっとして過ごす。
こういう女性には帰宅直後は眠るのではなく、とにかくお風呂に入って体温を上げてみてくださいとお願いしています。うまくいく場合もあります。もちろん結(ゆい)で治療すれば低体温が改善され、仕事から帰ってもすぐに家事ができるようになるのですが。
入浴は眠る直前ではなく、2時間ぐらい前に済ませておき、体温が下がってきて眠気がくるとともに眠るのが理想的です。眠る直前に入る時はぬるめ(37~40度)にしてください。ぬるめの方がリラックスして眠りやすくなるためです。
仕事から帰宅すると疲れて身体が動かないために、お酒に頼るという方もいらっしゃいますが、下手するとキッチンドリンカーになってしまう危険性があります。気をつけてください。
朝がつらい場合
朝は首や肩が痛い、手がこわばる、腰が痛いけれど昼間になると改善してくるという方も、低体温が関係しています。腰や肩をもんだり、鍼をしたりするだけで治りがいまいちの場合は、お灸もしてくれる治療院をさがしてください。
昨年末に30代の男性が来院されました。「近くの鍼灸院にかかっているが首や腰の痛みやこりがちっともよくならない。昔、故郷の鍼灸院で鍼やお灸を受けたときはよくなったのに、そこは鍼しかしない。結(ゆい)はお灸もしてくれると聞いたので来ました」とのこと。
2回ほど鍼灸治療して年明けに様子を聞くと「すっかりよくなりました」とのこと。「半年、他に通ってもぱっとしなかったのが、2回で治るなんて、やっぱりお灸はいいですね」とおっしゃっていました。鍼に加え、温灸や生姜パックで陽気を補ったのが効いたようです。あとの残る熱いお灸ではなくやわらかい温灸で治療しました。
朝がつらい方は朝風呂に入るのもお勧めです。身体が温まって、胃腸もよく動くようになり、下痢や便秘もよくなります。
朝から冷たい牛乳やジュースを飲むのはやめて、温かい飲み物や汁物をとるようにしてください。生物時計のリズムを保つのも大切なので、いつも決まった時間に寝て、決まった時間に起きるようにしてください。
温熱療法というがんの治療法
がんの治療法に温熱療法というやり方があります。
国立がんセンターのHPには以下のように書かれています。
温熱療法は、がん細胞が正常細胞と比べて熱に弱いという性質を利用した、がんの治療法です。顔に発生した肉腫が丹毒(たんどく)による発熱で消失したことや、自然治癒したがんのうちおおよそ1/3で発熱していたという報告等、がんが治ることと発熱の間には、何らかの関連がありそうだと昔からいわれていました。
本格的な研究がはじまったのは、1960年代になってからです。現時点では研究段階の治療で、まだ標準治療とはいえません。この治療法の対象となるのは、通常の治療法では治すことが難しい局所進行がんや再発がんです。
がんに対する効果は41℃以上で得られますが、42.5℃以上で特に強くなることが知られています。
以上
温熱療法は標準治療とはなっていませんが、がん細胞が正常細胞と比べて熱に弱いという事実は興味深いものです。石原結實医師によるとがん細胞は35度でいちばん増殖するとのこと。低体温を治すことはがん予防につながりそうです。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
ある朝、起きたら顔の半分が動かなくなっているというのが、顔面神経麻痺です。
顔面神経麻痺は脳梗塞や脳卒中、脳内出血、脳腫瘍などからおこることもあるのですが、ここではそれ以外の顔面神経麻痺について話します。帯状疱疹ウイルスが原因のものはハント症候群と呼ばれます。原因不明のものも多く、こちらはベル麻痺と呼ばれています。
お医者さんはステロイドを使って治していきます。たいていはよくなるのですが、 時に後遺症が残ることがあります。麻痺が3ヶ月以内に治癒した時には後遺症はほとんど出ないといわれているので、早く治すことが大切です。私はお薬と併用で、針灸治療することをお勧めしています。顔面神経麻痺はWHO(世界保健機構)も針灸の適応と認めている病気なのですが、世間で針灸が効くという認識が少ないためか、最初から針灸院を訪れる患者さんは多くはありません。病院の治療が終わり、お医者さんは「後は自然に治るのを待つしかない」というけれど、顔に違和感や若干の麻痺が残っている。なんとかならないだろうかといって針灸院へ来院されるケースがほとんどです。でも実際は、針灸治療の開始は早ければ早いほどいいのです。
0X年3月に30代の男性が来院されました。数年前にうつ病の治療で通院されていた方。うつ病のほうはすっかりよくなっていたのですが、突然、顔の右半分が動かなくなり結(ゆい)に来院されました。病院の方にも行き、治療を開始したところです。最初の数回はぴくりとも動かない状態でしたが、だんだんとよくなり1ヵ月半のうちに12回ほど治療して治りました。
最初からお薬と併用で、針灸治療することで後遺症もなく、早く治ることが期待できます。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
帯状疱疹は痛いものですが、たいていは、皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなります。しかし痛みだけが後遺症として残ることがあり、これが帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。
高齢者では、帯状疱疹の治癒後に痛みが残る事が多く、帯状疱疹後、長期にわたって痛みを訴える患者の70%は60歳以上です。
針灸は帯状疱疹後神経痛によく効きます。先日治療した60代前半の男性の痛みもきれいにとれました。最初に以下のようなメールを娘さんからいただきました。(一部省略)
父は2年前帯状疱疹ヘルペスにかかり、背中一面に相当ひどいやけどのような症状が出て治療が遅くなったため帯状疱疹後神経痛に悩まされています。痛みが残って2年近くになりますが、全く痛みが取れない状態で、毎日痛みをこらえている父を見ると本当になんとかしてあげたいという気持ちが消えません。
これまで、ただ我慢しているだけでなく、あらゆるブロック注射・麻酔などの西洋的なものを試してきましたが1時間ほど効果があるだけで結局すぐに元に戻ってしまいます。
鍼も父も考えたようなのですが、違う疾患で近くの鍼に長く通っていて、効果が得られなかったと言っていろんなことが疑心暗鬼になっているようです。
ペインクリニックの先生に「もう神経がボロボロだから麻酔や、神経ブロックでは治らない」と言われてしまいました。
もう八方塞がりな状態なのですが、まだあきらめたくありません。どうかお返事いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
メールは以上
6月初めから7月中旬まで9回の針灸治療をすると痛みはきれいにとれました。少し歩くと左脚がしびれて歩けなくなるという脊中管狭窄症のような症状もいっしょに治りました。車に乗ったときシートベルトがあたると痛いという状態だったのが3回目の治療ぐらいからとれていきました。まだ現役でしっかり働いていらっしゃる患者さんです。初診の時、「あなたの身体はしっかりしている、これなら治りますよ」と素直に私の感じたままを言うと、半信半疑ながらもちょっと嬉しそうにしていらっしゃいました。針灸といってもいろいろあります。お近くの針灸院で普通に針をして治らなかったとしてもあきらめることはありません。今回は火針という特殊なやり方も使いました。自宅でも毎日、台座灸というセンネン灸のようなお灸をしてもらいました。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
帯状疱疹って何?
帯状疱疹は子供の頃にかかった水痘(みずぼうそう)のウィルスが何十年も神経細胞のなかで眠っていた後に突然暴れだして起こる病気で、子供の頃に水疱瘡になった事がある人はみんな身体の中にこのウィルスをもっています。このウィルスが神経を通って皮膚に出てくるときに神経痛に似た痛みがあります。水痘のできる範囲も神経の分布領域と一致し、体の片側だけで帯状の配列をとります。
発症は4~5日すると痛みのある部分の皮膚が赤くなってきてその中に次々と小さな水痘(水ぶくれ)がたくさん出てきます。水痘は1~2週間増えつづけこれが破れてただれ、潰瘍となりますがやがて乾燥してかさぶたとなり若い人では2週間、お年寄りでも3週間くらいで治るといわれています。皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなるといわれていますが、実際は水痘のうちから針灸治療をはじめたほうがいいでしょう。潰瘍やかさぶたが消えるよりまでの痛みもつらいもの。潰瘍やかさぶたが消えるより先に針灸治療で激烈な痛みがなくなります。
帯状疱疹は感染しないのですか?
帯状疱疹では水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)は病変部のみに存在しているため、水痘の場合と違って唾液中にウィルスが排泄される事はありません。そのため、帯状疱疹は一般に他人に感染しないものと考えられます。ただし、水痘の既住がない人には水痘内のウィルスが感染し、水痘を発症させる可能性はあります。
治療方法は西洋医学の立場からは以下のように紹介されています
軽い場合は鎮痛剤などを内服するだけで自然に治りますが、ウィルスの増殖を止めてしまう抗ウィルス剤が開発されているので早めに病院へ行き治療することが大切です。とくに目の周りの帯状疱疹や痛みの強い場合、麻痺が見られる場合、汎発疹(はんぱつしん:広範囲に水痘ができる場合)などには抗ウィルス剤による治療が必要です。
いずれにせよ抗ウィルス剤は早期に使わないと意味がないので、早めの治療をおすすめします。
とまあ、紹介されているのですが、鍼灸治療は低下している免疫力を回復させつらい痛みを劇的になくすることができます。抗ウィルス剤との併用をおすすめします。
ただ初期の段階で 鍼灸院にこられる患者さんはあまりいらっしゃいません。私がよく診るのは帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)という状態になってからです。
帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)は西洋医学の立場からは以下のように紹介されています
帯状疱疹は非常に痛い病気ですが、皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなります。しかし痛みだけが後遺症として残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。これは良い治療法がなく、引き裂かれるような、えぐられるような、焼けるような痛みがあるといわれ、鎮痛剤もあまり効果がありません。が、うつ病の患者さんに使われる抗うつ剤という薬が効くことがあります。また、トウガラシの有効成分であるカプサイシンの塗り薬や皮膚の血管を拡張させて血流を良くする貼り薬、カイロやお風呂に入って温めるといたみが軽くなることもあります。帯状疱疹後神経痛の時期にはもうウィルスは活動していないので抗ウィルス剤は効きません。 また、高齢者では、帯状疱疹の治癒後ににいたみが残存する事が多く、帯状疱疹後、長期にわたって痛みを訴える患者の70%は60歳以上です。若年者は免疫能力が高齢者にくらべ高いので、このことが帯状疱疹後神経痛に関与していると考えられています。
といわれているのですが、鍼灸はこの帯状疱疹後神経痛に劇的に効きます。
痛みは消えてもかゆみが残ることもあります。針灸は帯状疱疹後神経痛やかゆみにもよく効きます。
1月に治療した例を紹介しましょう。
73歳のおばあさんです。12月に膝の痛みでみえられ、数回治療してよくなった後 来院されなくなったので、念のためにアンケートはがきを出したところ1月中旬に電話がかかってきました。
1月初めから 腰の部分の帯状疱疹にかかり、痛みで夜も眠れないとのこと。医者にはかかっているが鎮痛剤が全然効かないというのです。だまされたと思ってでもいいから、鍼にきなさい絶対 痛みをとってあげるからというと その日のうちに来院されました。
3日間 続けて治療して 痛みはなくなりました。
その後 10日ほどしてまた来院されました。激しい痛みはなくなったのだが、夜になると患部を虫が這うような感じがしてチクチクして眠れないというのです。
一日おきに3回 治療して これもきれいに治りました。
10日もおかず、もっと早く来院さればよかったのにと、内心思いました。かかっている医者に、鍼で激痛がなくなったと報告したところ「鍼が帯状疱疹に効くはずがない」といわれたと後で聞きました。そういったことが影響したのかもしれません。
実際は 鍼灸治療は免疫力を高め、帯状疱疹の痛みを劇的に止めることができます。
帯状疱疹後神経痛を残さないようにするには鍼灸が一番ですが、西洋医学の立場からは以下のように紹介されています。
帯状疱疹後神経痛(PHN)は水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)の再活性化によって引き起こされ発症するが、現時点ではVZVの再活性化を防ぐ事は不可能です。しかし、VZVの増殖に伴って神経に炎症が生じておこる痛みは局所麻酔による神経ブロックや鎮痛薬などを用いて、急性期の痛みを徹底的に押さえる事はできます。
痛みが発生する経路は次の通りで、知覚→交感→運動神経→に過剰な緊張を生み、局所の血流を減少させます。この局所の血流低下は神経組織の性質の変化を援護し"痛みの悪循環"を形成します。つまり帯状疱疹後神経痛を防ぐポイントは局所の血流を減少させない事です。血流を改善する基本は交感神経の緊張を緩め、血管を弛緩させることで、神経ブロックはもちろん、入浴が有効です。
とまあ いわれています。鍼灸は局所の血流を増加させ交感神経の緊張を緩めることができますから、効くのは当たり前といったところでしょうか。
先日、退き際のきれいな社長さんの話を耳にしました。
某上場会社の2代目の社長さん 栗本さん(仮名)です。
栗本さんは10数年ほど前、40代後半でお父さんの後を継いで、社長に就任しました。当初から10年ほどしたら降板すると公言した上での登板でした。
カリスマ的だった創業者の個人商店のような会社を近代的な会社に変え、経営陣を育成。次期社長を親族以外から出す形にして、60代初めで降板されました。
血圧を下げる針 関西は中小企業の街。創業者がいつまでも「俺の会社」という意識で、なかなか経営権を渡さない、そのうち認知症の傾向が現れたりして周りが苦労をするという話を耳にすることが時々あるので、栗本さんのような話を聞くとすがすがしい思いがします。
栗本さんは退陣の後、なかなか下がらなかった血圧がきれいに下がったそうです。
お笑い番組をみても初めて腹の底から笑えた気持ちがしたそうです。
血圧を下げる針
血圧は緊張によって上がります。重圧のある仕事は血圧を必要以上にあげてしまいます。針灸は自律神経を調整することで、患者さんを「降板した栗本さん」のような状態にすることができます。緊張が恒常化して、うまく力を抜けない状態を解消します。
末梢の血液循環を改善し血圧を下げます。細かなところまで血がうまくめぐるようになり、血圧が下がっていきます。「血圧が上がってきた。
このままだと降圧剤を使うように医者からいわれている」「降圧剤を使っているのだけどどうもうまくいかない」というような患者さんの血圧を治療で下げることは何度かしてきました。
血圧の調整に苦しんでいる方は一度 お試しください。
※紹介したお話は個人情報保護の観点から、関係者の年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
人は自分を基準にものを考えます
大阪は中小企業の街です。
私が治療させていただいている方の中にも、中小企業の社長さんやその家族の方がたくさんいらっしゃいます。
中小企業の社長さんはしっかりした身体の持ち主の方が多いようです。人の2倍3倍働いて会社をつくってきた方々。みなさん立派な方ですが、丈夫なだけに見落としてしまうこともあります。それは従業員がみんな社長ほど丈夫とは限らないという点です。
人間は平等ですが、体力は平等ではありません。
人は自分を基準にものを考えます。
元気な社長の体力を基準に考えれば、従業員は「すぐに音を上げる」「なまけている」「やる気がない」ということになってしまいがちです。
12時間しか働けないので、どうにかしてほしいという社長さん
先日、ある患者さんがいらっしゃいました。
40代はじめの女性、小さな会社の社長さんです。
「12時間働くと疲れてしまうので、どうにかしてほしい」
「寝起きもわるい」
「疲れやすく集中力も続かない」
とおっしゃいます。2年前までは15時間以上働き、終電で帰る日々が続いてもなんともなかったとのこと。
脳を活性化する治療を中心に針灸治療をしてみると、1回で成果がでました。
1週間後に来院されると、
「朝起きるのに30分以上かかっていたのがすぐに起きられるようになった」
「食事がおいしい」
とのこと。終電まで働いてもなんともなかったそうです。今も一週間に一度くらいのペースで脳を活性化する治療を続けています。
恵まれた体力をお持ちの社長さん、調子を崩してからは自分ほどには働けないスタッフの気持ちがわかるようになったそうです。いよいよ優秀な経営者になられることでしょう。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの名前を仮名としているほか、年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。
今回は冷えのぼせの方の対処法です。もちろん針灸は冷えのぼせによく効きます。
アイスノン
冷え対策にお風呂にゆっくり入るように指導しても、冷えのぼせの方はたいてい「ほてるから」と嫌がります。
湯船に入ってもごく短時間、シャワーだけという方もいらっしゃいます。
アイスノンで頭を冷やしながら入ったらどうですか、と提案しています。
足湯、ただし何かしながら
アイスノンも嫌がる方がいらっしゃいます。
そもそも冷えのぼせの方の一部は、ぼおーとするのが苦手の方が多いようです。お風呂でぼおーとしているのがもったいないと考えてしまうのです。
じつは冷えのぼせという状態が精神を気ぜわしくさせています。こういう方には部屋での足湯がお勧めです。テレビをみたり、本を読んだり、何かしながらやってください。
本当はぽわんとしながら、ゆったり足湯するのがお勧めですが、できないことを求めても仕方ありません。そのうちゆったりしてきます。
足の裏をたたく
木槌でもかなづちでもかまいません。足の裏を軽くたたいて刺激してください。
足湯と組み合わせるともっと効果的です。
レッグウォーマーを使う
足は冷たいけれど靴下をはくのは嫌という方も、冷えのぼせの方の中にいらっしゃいます。じつは足裏が少しだけ熱をもっているためです。
足の甲や足首は冷えています。レッグウォーマーや靴下の先を切って、足首だけ暖めるようにするといいです。
こういうちょっと不思議な冷えのタイプの治療法も針灸にはあります。
ホットカーペット、足温器を使う
ほてるからといって寒いのを我慢し、その我慢が緊張を誘い、交感神経優位の状態となっている方がいらっしゃいます。
血流も気のめぐりも悪くなります。肩もこります。
ホットカーペットや足温器を使ってください。
電磁波のことを考えると、本当は足だけを暖める足温器がお勧めです。電磁波は少し離すだけで弱まります。脳や生殖器に近いところ、つまり腰や頭を電磁波の発生源に長いこと密着させるのはあまりお勧めできません。
一番のお勧めはお湯で温める床暖房です。
手足が冷える、とくに足先が冷えるという女性は多いですね。
足の冷えを訴える男性も結構いらっしゃいます。
冷えは気滞(きたい)から
冷えの原因はいろいろありますが、気滞(きたい)気がうまく身体を流れなくなるためにおこる冷えも多いようです。西洋医学的には交感神経優位の状態です。
仕事の時にある程度緊張するのは大切ですが、必要以上に緊張させていると、血の流れが悪くなり、手足が冷えます。仕事が終わってもうまくリラックスできない方も多いようです。
交感神経優位の状態が続いてしまうと内臓の動きも低下してしまいます。腸の働きも低下し便秘になりやすくなります。ちょっとしたことでもイライラするようになります。
うまくリラックスすると、血の流れがよくなり、冷えもとれ、内臓も活発に動いてくれます。便秘も解消します。ほがらかになります。
緊張とリラックスの切り替えがうまくいかなくなっている患者さんは「どう力をぬいたらいいかわからない」とよくおっしゃいます。つぼに針をすると、気がめぐり、リラックスしていきます。手足の冷えがとれていきます。
針灸すると、緊張とリラックスの切り替えがうまくいくようになります。
気滞(きたい)の患者さんには足湯をよくすすめるのですが、たんに足を暖めることだけが目的ではありません。
足の周辺のツボを刺激し、気の流れをよくしてリラックスしてもらうためなのです。
慢性的な肩こりといっしょに冷えがなくなる
昨年10月に30代の女性を治療しました。
慢性的な肩こりだったが、最近ひどくなって、右肩を動かすだけで痛くなった。腰も股関節も痛くなってきたという方。手足もひどく冷えます。気滞(きたい)タイプです。
10月に4回ほど治療してすっかりよくなりました。冷えもとれました。次にいらっしゃったのは12月の初め。肩こりがなくなっていたが、近頃になって少し肩がこり始めたから、予防をかねて来たとのこと。
開口一番「今年の冬は暖かいですね」とおっしゃいます。
これには驚きました。めっきり寒くなってきた頃だったからです。
冷えがとれて気がめぐるようになり、以前ほど寒さを感じなくなっていたのです。手足も暖かでした。
気滞(きたい)の方の中には、上実下虚(じょうじつかきょ)俗に言う冷えのぼせの方が多くみられます。冷えのぼせの対処法は冷えのぼせの対処法をご覧ください。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。
今週は寒い一週間でした。
寒さのために体調を崩される患者さんがちらほらいらっしゃいました。どんなふうになるのでしょう。
寒さも自律神経の不調に関係します。ぶるっと寒さを感じると血管は収縮し、熱を外に逃がさないようにします。交感神経優位という状態になります。
身体と精神を緊張させます。
寒い部屋の中で我慢していると、緊張状態が続きリラックスできなくなり、疲れもとれなくなります。
日頃から緊張気味の人、がんばりすぎる傾向にある人が寒い中でがんばっているとよけいに具合悪くなります。
自律神経の働きが乱れ、ホルモン分泌の具合が悪くなる場合もあります。
伝統的中医学では寒が気の流れを滞らせるといいます。
すべて寒さだけが原因というわけではありませんが、寒さが大いに関係していると思われる今週の事例をお話します。
パニック障害があったけれど、すっかり治っていた20代女性の場合
「一度 夜に息苦しさを感じました。こんなこと久しぶり。すっかり治っていた肩も今日はこっています」
いつもは暖かい環境で仕事していた方が、寒い場所であまり動かない作業量の少ない仕事を3日続けた後のことです。
パニック障害が快方に向かっていた30代後半女性の場合
「電車に乗っているのがつらくて何回か降りてしまいました」
緊張を強いるような仕事上のイベントが近づいているという事情もあったのですが、ご自宅の部屋も寒く、12日土曜あたりからの寒波がこたえたようでした。
背中全体が痛くなった70代の女性
「夜中に寒くて眼が覚めてしまった夜がありました」
「そういえば背中全体が痛くなったのは、その夜の翌朝からです」
いつもは首や肩のこりだけの人が、背中全体が痛くなりひどい疲労感に苦しみました。
いずれの場合もご自身では寒さとの関連は気づかれてはいませんでした。
私の方で指摘しました。暖房のやり方等、適切な対処法を話し合いました。仕事のストレスは避けることはむずかしいけれど寒さからくるストレスはその気になれば改善できます。我慢のしすぎは身体をこわします。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。
暑くなると出てくる不調のひとつにかゆみがあります。今回はかゆみのお話です。
針灸は痛みに効くことはよく知られていますが、かゆみに効くことはあまり知られていません。
6月初め、70代の女性が身体がかゆいといって来院されました。
例年、5月になると身体がかゆくなる。いつもは1週間もすると収まるのに今回は続いていて、医者にいっても治らない。かゆみで夜も眠れない。とおっしゃいます。
皮膚にめだった湿疹があるわけでもありません。 西医的には老人性皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)と診断されそうな状態です。
高齢者では皮脂や水分の分泌が低下するため皮膚が乾燥してかゆみを感じることが多いのです。
2~3日おきに3回ほど治療したらかゆみも収まり、夜もぐっすり眠れるようになりました。
かゆみはしつこいものと思われていますが、針灸ではあっさりと治ることも多いのです。
アトピー性皮膚炎のかゆみにもよく効きます。
まずは保湿剤から
皮膚が乾燥しやすいのは老人にかぎりません。
梅雨の時期でもエアコンで皮膚がかわきやすくなったりします(逆にあせもができてかゆくなったりもしますが)皮膚掻痒症のかゆみの対処法はきちんと保湿剤を使うことです。
市販のかゆみ止めをすぐに使う方が多いのですが、いったんかゆみが収まり、もう大丈夫だろうと塗るのをやめたとたん再度 かゆみが襲ってきた。塗ってはやめ、塗ってはやめを繰り返しているうちにかゆみがひどくなってきたという話をよく聞きます。
まずは皮膚への水分補給、保湿剤からはじめてみてください。それだけで収まるかゆみも多いのです。
最初からステロイド系の薬を使ってしまうと、薬がきれたとたんかゆみが再発することが多いようです。
食べ物も大切
あせもやアトピーのかゆみも含め、かゆみ一般にいえるのですが、辛いもの、味の濃いものはかゆみがあるときはよくないですね。
お酒も同様です。
伝統的中医学では清と淡の二文字からイメージされる食生活を送るように言われています。
ある患者さんの頭が突然かゆくなった。
よくよく聞くと、いただき物のキムチを一週間食べ続けていたということもありました。
伝統的中医学では海老やカニも控えるようにいわれています。少しの量なら問題ないでしょうが、カニづくしといったものはやめた方がいいでしょう。
生物時計という言葉を聞いたことがありますか。人間には1日24時間をほぼ正確に刻むシステムが備わっています。この時計を狂わせないように大切にして規則正しく暮らすことが、養生への早道です。
伝統的中国医学、中医学では季節によって早寝早起きをすすめたり、早寝してもちょっとだけ遅く起きることをすすめたりと養生法が微妙に変化するのですが、いずれにせよ規則正しく暮らすことが、養生の基本と説いています。
ちなみに秋は「鶏のように、早寝早起きすべき」と説かれています。分子生物学の分野で生物時計の研究がすすみ、規則正しく暮らすことが、養生の基本という昔からの知恵が、科学的に実証されています。
朝の光でしゃきっと
熊本大学発生医学研究センター 粂 和彦(くめかずひこ)助教授 によると「明け方から午前中の時間帯に光が当たると、生物時計をすすませる効果があります。外部=朝7時、生物時計=朝7時だとします。ここで、強い光に10分当たって生物時計を1時間、早めるとすると、外部=朝7時10分、生物時計=朝8時10分となり、なんと、10分で1時間10分、体中の時計が進むことにより、起きてから10分しか経っていないのに、もう体がばりばり動ける状態になります。」というのです。
夕方の光は生物時計を遅らせる働きがあり、昼間の光では影響はありません。つまり朝、普通に起きたほうが、しゃきっとしてすぐに働けるようになるけれど、昼前におきたのではすぐに活動状態に入れないということです。朝の光をあびない状態、昼前に起きて、夕方の光だけをあびると生物時計が遅くなります。当然 眠くなる時間も遅れます。日曜日、昼前に起きて、睡眠時間は足りているはずなのになんだか身体がだるいという経験をお持ちの方は多いはず。生物時計が朝の光で進まないので、寝起きがわるいのです。「睡眠時間は十分なはずなのに、なんとなくダルイ」という読者の方で、遅く起きて、遅く寝るという習慣の方はいらっしゃいませんか。
12時前には寝る
寝る時間、起きる時間がばらばらという場合も当然、生物時間が狂いやすくなります。生物時間が眠る時間まで来ていないのに、無理やり眠ろうとしてもうまくはいきません。逆に眠い時に眠らないで我慢してしまい、眠気がなくなった頃に無理やり眠ろうとして、「眠れない、不眠だ」と訴えられる場合もあります。鍼灸の臨床ではこっちのほうが多いですね。
「朝起きてもぼおっとして、午前中がつらい」「集中力がない」「首や肩がこる」「身体がだるい」「眠れない。寝つきが悪い」という女性を最近、治療しました。2回ほどの治療で、「眠れない。寝つきが悪い」という症状以外は治りました。あらためて聞くと「深夜12時ごろ、猛烈に眠くなるのだけれど、やることがあるからがまんして起きている。午前2時3時に眠ろうとしたら、寝つきが悪い」とおっしゃるのです。「やることを朝に回してもらえませんか。都合に身体をあわせるのでなく、身体に都合をあわせるように工夫していただけませんか」とお願いしたところです。12時前に寝たほうが、寝つきはいいです。
伝統的中国医学、中医学では夜の12時を過ぎると陽の気が起こり始めるといわれています。陰の気が満ちている12時前の方が安らかに眠りにつけます
分子生物学の分野で生物時計の研究がすすみ、規則正しく暮らすことが、養生の基本という昔からの知恵が、科学的に実証されているということを以前、書きました。規則正しく暮らすことは不眠症に関係するだけでなく、じつはうつ病の発症にもかかわっています。
脳の神経伝達物質のひとつセロトニンは、うつ病と関係するといわれています。精神を安定させる作用があり、これが不足するとうつ状態や情緒不安定になります。針灸もつぼを使って神経伝達物質の調整をしていると考えられます(人の複雑なうつ症状をセロトニンだけのせいにするのは無理があると考えていますが)
脳の活性化にとって大切なセロトニンは体が浴びる光線量が多いとたくさん分泌されるようになります。とくに朝日を浴びることは大切です。蛋白質の構成成分である必須アミノ酸、トリプトファンから、セロトニンを経て作られる、物質がメラトニンといい、これが眠気を誘います。夕方になるとセロトニンが変化したメラトニンが分泌されるようになり、真夜中はピークに達します。
セロトニンとメラトニンはいわばポジとネガのような関係。脳を安定させ活性化させる物質と眠気を誘う物質がうまくまわっていくことと、朝の光を浴びて起床し、夜になったら寝るという規則正しい生活は結びついているのです。中医学的には陰陽のバランスのとれた状態です。
私が以前、東京で招かれた青山のドイツ人のマンションが、びっくりするほど薄暗い間接照明だったことを思い出します。一般に欧米人の方が間接照明をよく使うと言われています。日本人も昭和30年代までは電球の明かりの下で、ちゃぶ台を囲み、今よりずっと薄暗い夜を過ごしていました。高度経済成長とともに家庭にこうこうと蛍光灯がともり始めました。今や成熟期に達した日本。夜は少々薄暗くして落ち着いた時を過ごし、心地よい眠りを誘うほうがいいかも知れませんね。
90日の風呂なし生活
2006年8月中旬、ある中年男性がいらっしゃいました
。
6月下旬に階段で転倒して腰を打撲して以来、腰が痛いのが治らない。職場近くの整骨院にかかっていたが一向によくならないので結(ゆい)に来た。
そこでは「絶対に暖めるな」と指導されているので、お風呂も入らず、シャワーを浴びる生活を続けているとおっしゃいます。
まずはゆっくりお風呂に入ってくださいとお願いしました。針灸はちょっとこわいという患者さん本人の希望もあって、針灸はしないで、一般的な整骨院の治療をして患部を温めました。それだけでも、翌日いらっしゃるとずいぶん楽になっていました。
お盆休みの後、再度いらっしゃいました。
今度は針灸をご希望です。週末のゴルフが気になっていらっしゃるようでした。針灸の後 腰痛はきれいに消失、腰を気にせずにゴルフコースを回れました。
8月下旬には完治しました。 炎症というと「冷やすもの」と思い込んでいる人は多いようです。打撲=炎症=「絶対に暖めるな」という図式です。一般の方の思い込みは仕方がないけれど、治療家の思い込みは患者さんの苦痛を長引かせてしまいます。約90日の風呂なし生活も大変だったでしょう。
炎症を「防御反応」といいかえてみよう
打撲の程度にもよりますが、普通は冷やすのは最初のうちだけです。 ある現象に名前をつけると名前の意味が 勝手に一人歩きしてしまうことがあります。
「炎症」は炎=ほのお だから「冷やすもの」という具合です。炎症というのは、病気やケガで身体の細胞が破壊された時に、異物を排除したり、死んだ細胞などを取り除いたりして治そうとする身体の「防御反応」です。血液の中の白血球が異物を排除したりして治すのに 都合のよい状態にするために赤く腫れ、熱をもって痛むのです。血流も盛んになります。赤く腫れて熱をもつのが炎=ほのおに似ているので「炎症」となったわけです。炎症は大切な「防御反応」です。
そうはいっても耐えられないような痛みもつらいので、最初は適当に冷やして「防御反応」をほどほどに制御します。炎症を冷やしたり 暖めたりするのは「防御反応」を制御したり促進したりする意味があります。赤く腫れ、熱をもつのも、治すには必要なことなのです。打撲がいつまでも治らないのは、「防御反応」がとまり自然治癒力が衰えているからです。暖めるのは自然治癒力を活性化させるためです。
針灸は、痛みを和らげながら必要な「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。打撲したら、すぐに針をしてくださいとお勧めしています。
鎮痛剤が「防御反応」を止める
歯医者さんで、歯を抜いた後なんかに「痛み止めのお薬はできるだけ飲まないでくださいね」と指導されるのは、鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまう働きを持っているからです。
痛まなくなるのはいいけれど、治らなくなるのは困るから鎮痛剤はほんの少し、最初だけ短期間だけというわけです。 鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまうのと違い 針灸は、痛みを和らげながら「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。時には熱をもって痛む膝にお灸をすることもあります。「防御反応」を注意深く、痛みを出さないように促進させていく治療テクニックです。膝の炎症が治り、膝の熱もとれていきます。もちろん痛みもなくなります。
☆ 実際はケースバイケース☆
炎症を冷やす=「防御反応」を止めるという訳でもありません。少しだけ冷やすと反射的に暖かくなる場合もあるのはご存知でしょう。冷やしたり温めたりして血行をよくし、「防御反応」を促進するやり方はよく知られていますね。
炎症を冷やしたほうがいいのか暖めたほうがいいのかは、実際はケースバイケースです。 炎症の状態によって変わってきます。個人差、年齢差もあります。少し時間のたった炎症は、たいてい暖めて「防御反応」を促進させてあげたほうがよくなります。
近頃は 元気のない人が増えているようですね。元気がなくなる原因のひとつに働きすぎがあります。働きすぎも、長くなると疲労感だけでなくいろんな症状を起こすようになります。
足腰がだるい。疲れる。物忘れがひどい。べつに腰に負担をかけるような仕事をしなくても腰がだるいと感じるようになります。
「疲れをためると、だんだんとお年寄りみたいになるんですよ。もちろん治療すれば 若返ります。年相応に戻ります。治療して元気になった後、できたらもう少しだけゆっくり仕事ができませんかね」私が時々 腎虚(じんきょ)のみられる患者さんにお願いする言葉です。
疲れをためて お年寄りみたいな症状が出ている状態を腎虚(じんきょ)といいます。身体を滋養する要素、陰(いん)も身体を活発に動かす要素、陽(よう)もそれぞれ減少しています。
身体を活発に動かす要素、陽(よう)が主に減ったときは寒がりになります。
動悸がしたり、すぐに息が切れるようになったりします。やる気がなくなります。SEXする意欲もなくなり、男性はうまく勃起しなくなります。
身体を滋養する要素、陰(いん)が主に減ったときは めまいがしたり耳鳴りがしたりすることが多くなります。眠れなくなります。明け方に身体が熱くなり、目が覚めることもあります。視力も落ちます。いらいらしてきます。SEXする意欲は変わらないか 妙に欲望が強くなるときもありますが、男性の場合は早漏になったりします。ひどいときは普通の時に精液が漏れたりします。女性は月経が止まってしまったり、逆にいつまでも出血が続いたりすることがあります。
腎虚はお年寄りみたいな症状ですから、夜 頻繁におしっこに行きたくなったり、おしっこが終わったと思っても たらたらと漏れてきたりします。
まずはゆっくりと休むことです。陽(よう)が主に減ったときは休んだり、治療を受けたりしようという方に気が向きますが、陰(いん)が主に減ったときは ゆっくり休む方に意識がいきませんから注意が必要です。お近くの針灸院を受診されることをお勧めします。陽(よう)が主に減ったと感じる方は鶏肉、陰(いん)が主に減ったと感じる方は豚肉がいいですよ。ごまを食べるのは両方に効きます。
こんなメール相談がきました(メール掲載にあたっては、当たり前ですがご本人に承諾をいただいております。またプライバシー保護のため、一部内容を変更しています)20代後半の女性からです。
こんにちは 初めてメールします。
気になる症状があるので聞いて頂きたいのですが。
舌とほっぺたと足のむくみと足の血管が痛いのと(静脈瘤?浮いてはいません) <注>後日、「足の血管が痛い」という表現は要するに足が痛く、その付近に静脈が 青く目立つので「血管が痛い」と表現されたことがわかりました。
便秘でお腹が張ってガスが溜まってそのせいで胃が痛くなります。
それから冷え性でニキビ肌荒れも酷いです。
これらは全部セットでついてまわるものなんでしょうか?
針灸で治りますか?
どこが原因でこういう風になってるのかが良く分かりません。
お返事お願いいたします。
中村 律子(仮名)
足のむくみと足の血管が痛いのと(静脈瘤?浮いてはいません) 便秘でお腹が張ってガスが溜まってそのせいで胃が痛くなります。 それから冷え性でニキビ肌荒れも酷いです。 これらは全部セットでついてまわるものなんでしょうか?
というご質問ですが、はい セットでついてまわるものです。
例えば゜肝胃不和(かんいふわ)という状態ではおなかがはり、胃痛があります。 要するに消化器系に異常のある状態です。水の代謝もわるくなります。
水は低いところにたまりますから、足がむくんできたり下腹部が ぽこんと出てきたりします。水がたまると気の流れもとどこおり 痛みが出やすくなります。 からだにたまる余分な水のことを、中医学では湿と呼びます。湿邪 ともいいます。
水は冷やしますから 冷え性になります。 足は冷えていても 身体の上のほうは 熱をもちやすい人もいて、この場合 湿は熱とむすびついて 湿熱になります。湿熱は各種の皮膚病をおこします。 にきびもそのひとつです。 鍼灸は 根本の肝胃不和(かんいふわ)を治し、水の代謝も改善させます。 鍼灸で各種症状は治ります。 身体全体がよくなります。
あなたは肝胃不和(かんいふわ)という状態ではないかと推測しています。
というふうにメールで回答しました。
中村さんは、 治療にいらっしゃることになり2000年6月いっぱい9回の鍼灸治療を行いました。今も健康維持の観点から週に1回から2週間に1回いらっしゃっています。
結局、一ヶ月で足の痛み、胃痛、便秘は治りました。一日中冷房の効きすぎる場所で仕事をするという職場環境なのですが、冷え性も改善しています。にきびは以前よりましにはなっていますが、まだ完治というところまではいっていません。 じつは顎関節症があって口が開けずらかったのですが、これも治りました。
鍼灸治療が身体全体の状態を改善していく治療だということが、この症例からもわかっていただけると思います。
古い友人からこんなメールがきました。
ホームページの開設おめでとうございます。 さっそく飛んでいってみました。
POPな感じで好きですね、こういうページ。
風邪とインフルエンザの解説も役に立ちました。
年齢とともに大きな風邪はひかなくなりました。
たぶん、若い頃のように無理をしなくなったからでしょう。(友人は男性で40代です)
「体調が悪いな」と気が付いたら事前に休養を取るようにしていますから。
しかし、先日(節分の日)、スーパーから買ってきた太巻きを食べたら直後から悪寒がして下痢になりました。
最初は、風邪だと 思っていたのですが、よく考えてみると、これは食中毒なのかもしれません。......しかし、この前ラジオで、今年の風邪は下痢が続くものがあると言っていたので、やっぱり風邪だったのかな。
風邪かもしれませんね。ただ食あたりでも風邪でも 犯人さがしに それほど意味はありません。 原因か゛風邪のウイルスとわかっても、ウイルスに効く薬はないからです(抗生物質はウイルスには効きません) 原因をやっつけるのでなく、結果 つまり下痢に対処する薬やツボへの治療ということになります。 ウイルスか細菌が腸まで行って、炎症(えんしょう)をおこした、つまりは腫れ上がってしまって下痢をしたのでしょう。
炎症(えんしょう)がおきれば 悪寒もします。けがをしても 悪寒する場合があります。
家庭でできる療法としては、こんにゃくを煮て、タオルにくるんで おへそにあててください。
伝統的中国医学では下痢も外からの邪(じゃ)による場合(外邪/がいじゃ/つまりウイルスや細菌の身体に与える影響の仕方によってさらに寒湿/かんしつ/とか湿熱/しつねつ/とかに分類されている)、情志失調(つまりストレス)の場合、脾胃虚弱(ひいきょじゃく)の場合、腎陽虚(じんようきょ)の場合それから以上の複合形態(実際にはこれが一番多い)と細かに分類されていて、それぞれに治療法も微妙に違ってきますが お家では まずおへそをあたためてください。
こんにちわ!御相談します。
4月の末 家族でハイキングにでかけました。
ちょっとした歩きで、大した距離ではありませんが なんだか とっても疲れて だるくてしかたありません。
40歳をすぎたころより 疲れやすく直ぐ身体を横にしたくなります。 今 45歳です。夫はただの怠け者になっただけだと言うのですが 私はそんな事ではないと思うのです。
病院に定期的に内科検診を受けにいってみても、 どこも異常はありません。 45歳でただのなまけものと言われたままでは 納得できないと思っていたところ このHPに行き当たり ぜひ針灸でなんとかできないものかと 御相談させていただきました。よろしくお願いします。
検診でどこにも異常がなくても 疲れやすい人はたくさん いらっしゃいます。
今の検診が 異常をみつけられないだけなのです。
ある時、ある少女の顔色や脈、舌の具合をみて 「これではしんどいでしょう」といったら、つきそって おられたお母さんが、「いままで、どこにも異常がないと 言われつづけた。ここでやっとわかってもらえた。」と 感激されたことがありました。私は中医学の診断法に基ずき オーソドックスに診ただけでしたから、かえって驚いて しまいました。
今の検診が 異常をみつけられない、もう少しつっこんでいえば 近代医学の分野であまり有効な治療法がないだけです。
私は慢性疲労症候群と診断された方の治療もしました。 疲れやすい体質は針灸で改善できます。