症状と治療のお話し : 身体のことあれこれ

病名から どこのツボを使うかが決まるわけではありません

◆先日 ある女性から こんな問い合わせがありました。
○月×日にメニエールだと診断され、薬を飲み聴力は回復しているものの、低音の耳鳴や耳のつまり感が完全に消えず悩んでいます。こちらの鍼灸院を見つけたのですが、具体的にどのような治療なのか教えていただけますでしょうか。(お灸or鍼。耳に直接なのか別のツボなのか)鍼灸院へ行ったことがなく、不安なため、事前に伺いたく思い連絡させていただきました。

◆回答しました。
お問い合わせありがとうございます。
患者さんを診断してから治療するため、西洋医学的な病名で治療のやり方が決まっている訳ではありません。ご理解ください。オータ゛ーメードの治療です。
診断は中医学、東洋医学の考え方から行ないます。できるだけ早期の治療開始が効果的です。

◆患者さんを診ないとわからないのです
患者さんの年齢もわからないし、どの程度 聴力が落ちて、その後回復したのかもわかりません。メニエールと診断されていても、実際 どんな状態なのかも不明です。突発性難聴、急性低音障害型感音難聴(ALHL)、メニエール病、耳管開放症と耳鼻科を変えるたびに病名の変わる患者さんもいらっしゃいました。適応障害か軽いうつ病ではないかと思われる患者さんもいらっしゃいます。
耳鼻科の診断は、私にはあくまで参考に過ぎません。中医学、東洋医学的にみてどのような身体の状態なのか、証(しょう)が大切なのです。そうはいってもHPには西洋医学の病名で分類して紹介しています。そのほうが患者さんに理解しやすいからです。実際の治療は証(しょう)にもとづいています。そして肝欝気滞(かんうつきたい)というような中医学的な診断の言葉は、肝臓が悪いのかと誤解されたりするので使いません。学術用語も使いません。正確さよりも伝わることを大切にしています。
耳の周囲のツボを使うこともあれば、使わないこともあります。季節や天候によっても変わります。最初は手足のツボだけを使い、何回か治療した後に耳周囲のツボも使う場合もあるし、その逆もあります。テレビやネットで「○○には このツボが効く」と言われることもありますが、そう単純なものではありません。ですから上記の女性には「オータ゛ーメードの治療です」と回答するしかないのです。HPの写真でもある程度は伝わるでしょう。鍼も灸も両方使うことが多いです。ただ痕の残るような灸の治療はしていませんので、そこはご安心ください。2024年11月

鍼の感覚、鍼の太さ

患者さんによって鍼への感受性は違います。私は患者さんに合った鍼をするように心がけています。細い鍼しか使わない治療家もいれば、太いガン!とくるような鍼しか使わない治療家もいます。刺さないで触れるだけの鍼、接触鍼というのですが、接触鍼のみの治療家もいらっしゃいます。
私は接触鍼から太い鍼まで使い分けます。患者さんに合わせて決めています。最初は中程度の太さの鍼を使い、様子を見ながら細くしたり太くしたりしていきます。35年前に開業した当初は中国流の太い鍼と中程度の太さの鍼を使っていたのですが、研究会活動や学会の中でいろんな治療家のやり方を勉強させていただき今のやり方にいきつきました。

じつは同じ患者さんでも最適の太さが変わってくる場合もあります。治療していく中で、気の巡りが良くなっていきます。鍼の感覚をより強く感じるようになる場合があります。そういう時は鍼を細くします。
大切なのは対話です。「こんなふうによくなった。」というのはもちろん聞かせていただきたいのですが「こんなふうに変化した。ちょっと不快だ。」というのも聞かせてください。対話しながら治療をより最適なものに変えていくのが私のやり方です。
鍼は症状と患者さんの個性によって、その場で効くものもありますし、翌日に効くものもあります。翌々日という場合もまれにあります。2024年11月

9歳の女児のアトピー治療

9歳の女児のアトピー性皮膚炎の治療のお話です。
幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされていました。よくなった時期もあったようですが8歳の時から アトピー性皮膚炎が再発しました。今回は全身ではなく、両手の皮膚炎です。
夏に悪化し 10月に来院されました。
約一か月 8回の治療で きれいになくなり治療を終了しました。
 
アンケートはお母さんに書いていただきました。
 
「非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。」とされた上でコメントをいただきました。
 
少し痛い治療もあったようですが、日に日に良くなっていき 本当に有難く思っております。治療前に説明もていねいにしていただいたので不安なくお世話になれました。ありがとうございました。コメント以上。自筆のアンケートは以下からどうぞ。
http://yuisuita.sblo.jp/archives/20211212-1.html
 
◆考察
小児には 刺さない鍼 小児鍼を使う時もあるのですが この時は 刺す鍼を使いました。非常に細い鍼で痛みはほとんどありません。
「少し痛い治療もあったようですが」と書かれているのは当院の独特の治療、「接触火鍼」のことです。鍼先を火で焼いて、チョンと皮膚に触る治療法です。痕にはなりません。ちくっとしますが、それほど痛いものではありません。かゆみがとれジクジクした肌が乾いていきます。女児も目に見えて変化していくので、納得していました。
ただし刺激の感受性は人によって大きく違います。「これぐらい我慢できますか」といつも患者さんと対話しながら治療しています。同じ患者さんでも変化します。たいていは良くなっていくと、刺激を強く感じるようになります。そうなると鍼を細くしたりして適切な刺激に調整していきます。
弱い刺激にこだわる先生もいらっしゃいますが、私は違います。私がこだわるのは あくまで治ることです。2021年12月

学校を休みがちな子どもさん 「お腹が痛くなる」過敏性腸症候群

学校を休みがちな子どもさんというと起立性調節障害(OD)をよく治しているのですが、今回は「お腹が痛くなる」過敏性腸症候群のお話です。起立性調節障害(OD)については下記をご覧下さい。
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その10代の中学男子は○月にお母さんといっしょに来院されました。1年前からお腹が痛くなってトイレにいきたくなることがたびたびあり、学校も休みがちです。なんとか学校に行くことができても朝からお腹が痛くなります。お昼ぐらいまで続き、お昼頃にトイレに行き、排便の後にやっと腹痛がなくなるといった日々が続いています。医師からは過敏性腸症候群と診断されています。週2回の鍼灸治療を開始しました。

後から聞いたのですが、所属するバスケット部の顧問をしている体育教師と折り合いが悪く、体育の授業のある日は学校を休んでいました。
半月ほどすると痛むのば週のうち2回ほどに減りました。1ヶ月少しで腹痛のない日々が続くようになりました。約2ヶ月で腹痛がなくなり治療を終わりました。学校へ毎日 元気に通えるようになりました。
「学校へ行こうとするとお腹が痛くなる」という症状はストレスとか教師や生徒さんたちとの関係性などが注目されますが、身体と心の両方から治していく鍼灸ももう少し選択肢に入れていただきたいと希望しています。2019年8月

※個人情報保護のため少しだけお話の設定を変えている場合があります。

多彩な症状を訴えるが 比較的 早期に治る患者さん 気の流れだけや熱だけが原因の異常は早く治ることが多い

50代後半の女性患者さんのお話です。
自律神経の乱れによる疾患が多く、調子が悪くなったら結(ゆい)にいらっしゃいます。1時間半くらい通院にかかるところにお住まいのため 当初は近くの鍼灸院に行かれるのですが、治らないときは当院にいらっしゃいます。

☆胸の違和感は3回でなくなりました

○○年1月に来院されました。胸が「ころんころん」となる感じがする。胸に違和感があるという訴えです。
10月頃から2ヶ月間 食欲がなくなり、同時に乗り物酔いしやすくなりました。日によって身体に力が入らないことがあります。
この時は1週間に3回治療して治りました。3回目に以下のアンケートをいただきました。

◆アンケート回答

よい効果があった。少し苦痛はあるが ずいぶん楽になった。総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は3であるという回答があり以下のようにコメントされました。

体のしんどさがずいぶんとれてきました。(院長から)もう1回の通院で良いのではと言われましたがもう少し 10日に一回ぐらい来させていただきたいです。元気になれば 月1ぐらいでお願いしたいです。アンケート以上

実際はこれで治療を終わり、次に来院されたのは1年後の9月でした。

☆暑くなると体温も上がってしまい、身体がしんどい

8月初めに西日を20分くらい浴びてから、体温が1度 平熱より高い状態が続くようになった。近くの鍼灸院に4回ほど行ったら、暑い時には体温が高く涼しい時は平熱にもどるといった状態になったが、そこからなかなか治らないので当院を思い出したとのことでした。自律神経の異常です。庭を掃くとかちょっとした作業で身体がすごくしんどいという訴えでした。

今度は瀉熱(しゃねつ)という過剰な熱をとる治療をしたところ1週間に2回の治療で治りました。暑い時も大丈夫になり作業もこなせるようになりました。
じつはこの女性は5年ほど前から手のひらが熱く感じるようになり、入浴するのが苦痛となりシャワーだけの生活を続けていらっしゃいます。寝つきもよくないようです。
もう少し継続的に治療をさせていただければ、そういった状態も治せますよと提案しましたが、そこまでは望まれないようです。

◆考察

当初の1月は身体の胸やおなか側を上から下へ流れる経絡がうまく通じなくなり、胸の違和感が出るようになったものです。この時 食道に炎症等があればお医者さまからは「逆流性食道炎」と診断されたりします。気の流れを通し整えるのは適切に治療すれば、比較的早期にできます。流れる気、エネルギーが減少した気虚(ききょ)がひどい方は補気(ほき)というエネルギーを養っていく時間が必要ですが、気を通すだけならすぐにできます。

9月は身体の熱がうまく発散されなくなっています。汗をかきすぎて身体の津液(しんえき、身体の正常な水分)が不足し、身体を適切に冷やすことができなくなった状態です。
夏の終わりによくある症状で、瀉熱で熱をとるのは簡単です。
本当は瀉熱に加え 津液不足をなくし、入浴できないような身体の不調をなくす補陰(ほいん)という治療をしばらくすれば寝つきもよくなり 入浴もできるようになります。9月の2回の治療でも補陰していましたが、2回では身体の状態をしっかり変えるところまではいきません。
患者さん本人としては 訳のわからない大変な症状にみえるかも知れませんが、中医学では分析し見通しを立てることができます。適切に治療すれば簡単に治るものも多いのです。2018年10月

日によって痛む場所がかわる30代の男性 4回で治りました

30代の男性が 「身体中が全部 痛い」といって来院されました。よくよく聞くと「日によって痛いところがかわっていく」とのことです。
なかなか寝付くことができず、朝の5時には目が覚めてしまいます。下痢気味が続いています。
2回 治療したところ身体中がいろいろ痛むのはなくなりました。4回治療したところで眠れるようになり、下痢も治ったのでアンケートをいただいて治療を終わりました。治療開始から約20日間でした。

◆アンケート回答

非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない、総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0であるという回答があり以下のようにコメントされました。

身体中が痛かったのが2回の治療でよくなりました。治療の回数を重ねてるうちに、眠れない症状も改善されていくのが実感できました。ありがとうございます。

◆自筆のコメントはこちらから
http://yuisuita.sblo.jp/article/184423587.html

◆考察

痛みが移動するのは、中医学でいう気滞(きたい)の典型的症状です。気の流れる道 経絡(けいらく)を通してあげれば治ります。不眠や下痢も気の滞りからおこります。患者さん本人にとっては訳のわからない不安に思われる症状かも知れませんが、普通に比較的 簡単に治る状態です。2018年10月

「頭の後ろが重い」「集中できない、仕事に身が入らない」「吐き気がある」「眠れない」

40代の男性が「頭の後ろが重い」「集中できない、仕事に身が入らない」という訴えで来院されました。風邪をひき ひどい咳と鼻水に苦しみました。風邪はなんとか治ったものの「頭の後ろが重い」という症状が数週間 続いています。咳は治りましたが、吐き気はまだあるそうです。なかなか眠れません。
 
じつは2年前にも頭痛と立ちくらみで来院されたことがある患者さんで、この時は1ヶ月 6回の治療で完治していました。今回も約20日間 5回の治療で完治しました。実際は2週間4回で治ったのですが、1週間 様子をみて再発のないことを確認し、再発防止の治療をして終わりました。
 
肺の気は粛降(しゅくこう)、身体の上から下にうまく降りてこそ正常なのですが、風邪の後に肺の気が弱ったためにうまく下に降りなくなり、吐き気が残ったようです。さまざまな経絡(けいらく) 臓腑(ぞうふ)の異常がおこり頭の後ろが重くなり、集中できなくなり、不眠にもなりました。
身体が弱ったことからくるさまざまの不調を治すのは、鍼灸の得意です。「頭の後ろが重い」「集中できない、仕事に身が入らない」「吐き気がある」「眠れない」といった訴えはまとめて不定愁訴とよばれたりするのですが、伝統的中医学はそれぞれに理由を考え、状態を正確に診断して証(しょう)と呼ばれる身体の現状把握をします。それから弁証(べんしょう)と呼ばれる推論を経て、治測(ちそく)という治療方針をたて経穴(つぼ)を選び、そこに鍼や灸をしていきます。
患者さんからは「これは何に効くツボですか」といわれ「肺に効きます」とか答えていますが、じつはわかりやすくするために単純化して回答しています。実際は複数のツボをいっしょに使うことで複合作用、相乗効果を狙うのがプロのやり方です。
 
◆アンケート回答
 
鍼灸治療後の効果について
回答 非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0である。
 
IMG_0933-thumbnail2.jpgコメント
内科のお医者さんに「何やろうねぇ?」と言われ不信感をいだき、以前 こちらを利用してよくなったことを思い出し、今回もワラをもつかむ思いで来ました。本当にどうしようもなく、仕事にもならなかったので感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。コメント以上
 

正しい姿勢やめたら肩こりがなおった

ご高齢のお母さんが 前かがみになっていると「しゃんとして!」という娘さんがいらっしゃいます。お母さんを思ってのお声かけなんでしょうが、いわゆる「正しい姿勢」は無理にするものではありません。例えば 前かがみの高齢の女性に鍼灸治療すると、陽気がめぐり 筋肉に力がつき おのずと背筋が伸び 前かがみはなくなります。
自然としゃんとして、背筋が伸びるのはいいのですが、意識して背筋を伸ばそうとすると、よけいな力がかかり、かえって肩や背中がこります。
「正しい姿勢」を意識的に努力されているのは、みなさん「きっちりしている人」いわゆる交感神経優位のがんばりやさんが多いのです。長年の臨床から断言できます。のんびり屋さんは「正しい姿勢」なんかどこふく風です。
「肩の力を抜いて楽にしてください」「正しい姿勢になろうと努力しないでください」この間 数人の患者さんにお願いしてみると、みなさん「肩がこらなくなった」「首の痛みがとれた」という結果になりました。緊張し続けると細かなところを通る血流も悪くなります。正しい姿勢をやめたら肩こりが楽になります。2017年8月

暑い夜に眠れないもうひとつの理由

暑い日が続きます。暑いから眠りにくいのは 仕方がないのでしょうか。暑い夜には適切にエアコンを使う、氷枕で頭を冷やす等の方法がありますが、意外と見過ごされているのが昼間の過ごし方です。

☆暑い夜に眠れないもうひとつの理由

治療がうまくいって お薬なしでも眠れるようになっていた70代の女性患者さんが、暑さが続き始めてから再び不眠になりました。郊外にお住みで夜はそこそこ涼しくなる地域です。暑いから眠れないということはないとおっしゃいます。
「昼間はどうお過ごしですか、活動量は減っていませんか」と質問すると「昼間は暑くて何もする気がおきない、時にはウトウトと眠ってしまう」との返事が返ってきました。「エアコンをつけていつも通り家事をしてください。いつも通りに動いてください」とお願いしました。昼間しっかり活動すれば、夜は眠くなります。逆に昼間の活動性が低下したり長めに昼寝すれば夜は眠れなくなります。当たり前の話ですが意外に気づかれません。
昼間に1人で過ごすことが多い方々の中に、節約のためにエアコンを使わない方がいらっしゃいます。エアコンなしでもばりばり動ける方は問題ないのですが、暑いと動けなくなる方は エアコンを使って動くようにしてください。電気代がもったいないといっても、あなたが不調になるほうがもったいないのです。2017年7月

女子高生の起立性調節障害(OD)、睡眠相後退症候群がきれいに治りました

○○年○月に来院された時は朝の9時に就寝して午後5時か6時に起きるといった状態でした。鼻もつまります。朝 起きられないので学校もしばらく前から休まれています。昼夜逆転で一日一食の生活です。起立性調節障害(OD)と睡眠相後退症候群と診断されていました。

一度治療すると 頭がはっきりして夜9時に就寝して午前3時に起きるといった状態になりました。昼間に起きていられるようになったので三食食べられるようにもなりました。
寝付く時間がだんだん遅くなるという状態になることもありましたが、なんとか持ち直しています。
遠方からの通院のためと なんとか起きられるようになったこともあり、最初の1ヵ月は週一回でしたが、その後は2週間に一度の通院となりました。起きていてもボーとしていたのが、ちゃんと動けるようになり、夜もぐっすり眠れるように変わってきました。少し作業するとすぐに疲れていたのもなくなりました。

治療開始4ヶ月後からは外で活発に動けるようになり、8ヶ月16回の治療で終わりました。
行けなくなっていた高校に戻るのではなく、心機一転 希望する分野の学校に入りなおすことになりました。最後の治療の時は ひっきりなしにしゃべりかけられました。こんなにしゃべる少女だったのか、嬉しい驚きでした。2017/06

◆アンケート回答
非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がないという回答があり以下のようにコメントされました。

以前は夜 寝られなかったり、朝起きられなかったりと生活のリズムが定まらず、日中も常にダルさを感じていることが多かったのですが今ではしっかり睡眠をとれるようになりました。日中も自分の趣味をはじめいろいろな活動に積極的に取り組めるようになりました。○○という目標を持ち前へ進もうと思えたのも治療によって元気になれたからでした。本当にありがとうございます。コメント以上

◆自筆のコメントは以下からどうぞ
http://yuisuita.sblo.jp/article/180123175.html

◆起立性調節障害(OD)とは小学校高学年から高校生にみられる以下のような症状の病気です。
朝に起きられない 立ちくらみ 全身倦怠感 食欲不振 立っていると気分が悪くなる 失神発作 動悸 頭痛 夜になかなか寝つけない イライラ感・集中力低下
詳しくは 起立性調節障害サポートグループのHPをごらんください。
http://inphs-od.com/symptom/menu_01/

◆睡眠相後退症候群とは
睡眠時間帯が後ろにずれてしまう睡眠障害です。

※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

会議中にお腹が痛くなる 過敏性腸症候群(IBS)が治った

40代後半のサラリーマンの方が約2週間 4回の治療でよくなったお話です。まずメールをいただきました。

☆会議でおなかが痛くなる 過敏性腸症候群(IBS)が治った

◆患者さんからのメール
症状ですが過敏性腸症候群(ガス型)が2年ほど続いています。大腸検査でも異常はなく心療内科ではトランコロンという腸けいれんを抑える薬をもらい一時的にはよくなりますが対症療法で、薬を止めると再発します。
5年程前から中間管理職で職場のストレスによる、不眠や頭痛などの自律神経の異常を感じており、適度な運動は行っていますが過敏性腸症候群がなかなか自力で改善できないため受診を希望しています。よろしくお願いします。メール以上

一番 困るのはお腹がはることでした。会議中にお腹がはってすぐにトイレに行きたくなるのをなんとかして欲しいという訴えでした。肩こりもあります。
一度治療すると眠りが深くなり、お腹のはりもほとんど感じなくなりました。
2度目の治療の後は肩こりも意識しなくなりました。
約2週間 4回治療したところで、アンケートを書いていただきました。

アンケートでは
◆非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。

◆治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0である。
という回答をいただき以下のようなコメントもいただきました。

◆コメント
ここ4~5年は仕事のオーバーワークで自律神経と腸が弱っていると感じ受診しました。特に過敏性腸症候群(ガス型)は生活が安定した後もしつこく残っていました。
治療後は腸はもちろん頭もスッキリしてよく眠れるようになりました。治療中に教えていただいた「お腹(腰)を温める」とか「お酒の飲み方」なども参考に試した点も相乗効果があったと思います。
一過性の飲み薬では治らなかったところが楽になって大変ありがたいです。
コメント以上

◆解説
過敏性腸症候群とは 日本消化器病学会のホームページによると以下のように書かれています。

腹痛や腹部不快感などの下腹部を中心とした腹部症状、また便秘あるいは下痢などの便通異常を症状としますが、その症状の原因となる器質的障害を認めない腸管の機能性疾患です。しかしその症状は深刻でQOL(生活の質)を低下させることも少なくなく、20〜40歳代に多いことから学業や就業に支障をきたすため近年重要視されています。またストレス社会の先進国に多く、一種の文明病とも考えられています。以上
http://www.jsge.or.jp/cgi-bin/yohgo/index.cgi?type=50on&pk=D47

症状を改善させるのに長くかかるといわれていますが、身体と脳を一緒に治していく鍼灸治療では意外と早く治せることもあります。今回の患者さんも働き過ぎを少し改善し、適度な運動もしているのになかなか治らないからと来院され、早く治りました。
2016年12月

◆自筆アンケートは以下から
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※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

刺入する小児鍼?

小児鍼は本来、刺入しない鍼です。
乳幼児の夜鳴き・かんむしの治療として知られていますが、いろんな疾患に効きます。
夜尿症、下痢・便秘、食欲がない、風邪、アトピー性皮膚炎、小児喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などなど。
特殊な鍼で身体をなでるようにして施術します。

でも私は年齢と症状によっては刺入することもあります。
とくに1歳くらいまでの乳幼児は鍼をこわがらないし、
保護者の方に抱いてもらっていれば身体を動かすこともありません。


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写真は20年以上前に私の息子に鍼をしたところです。

全身に赤い発疹が出ていましたが、すうっと引いていきました。
息子の病気はほとんど私が鍼をして治していたので、
小児科のお世話になることはほぼありませんでした。

小児鍼は1240円~2270円です。ほかに初診料1500円です。

肩関節周囲炎の激痛が4回で治った

2~4月はよく肩が痛み始めます。肩関節周囲炎、四十肩、五十肩になることが多い季節です。

☆肩関節周囲炎の激痛が4回で治った

2月に40代の女性がいらっしゃいました。患者さん本人は「ひどい肩こり」という自己診断をされています。5日前からひどい肩こりになり、夜も痛みやだるさで眠れなくなった状態が続いているとのこと。とくに左肩がつらいそうです。
肩関節周囲炎の初期にみられる症状です。夜も眠れない痛みが一ヶ月ぐらい続く人もいらっしゃいます。

肩関節周囲炎というと「肩が上がらなくなる」「動かなくなる」という症状を思い浮かべる方が多いのですが、あれは症状が進行した状態の話。肩を動かすと痛いので、肩を動かさないようにしていると、肩の筋肉やじん帯はこわばり動かなくなっていきます。骨折等で関節にギプスをしばらくつけた後にギプスをはずしても関節はすぐには動きません。それと同じです。長く動かさないでいると筋肉も落ちてしまうので、やっかいです。
痛みはすぐにとれるのですが、筋肉を回復させる治療に時間がかかります。

今回はすぐに来院されたので、治療する方としては簡単でした。最初に治療した夜は久しぶりにぐっすり眠れたそうです。約10日間で4回の治療をして終わりました。

アンケートでは
◆非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。
◆治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0である。
という回答をいただき以下のようなコメントもいただきました。

◆コメント
初めてのハリとお灸でしたが、お灸の香でもいやされる事ができて、ハリではコリとダルさがなくなり、良かったです。

◆自筆アンケートは以下から
http://yuisuita.sblo.jp/archives/20160407-1.html

※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。 2016年4月

いろいろある『身体表現性障害』の痛みや違和感

「原因の多くは心理的ストレス…腰痛は“気”で治す病だった」という記事が日刊ゲンダイDIGITAL 2016年3月23日に掲載されています。
私も2009年発行の著書「灸法実践マニュアル」の中で「腰痛を伴う心身症」という項目を設けて同様の考えを書いています。「全ての慢性腰痛は心身症である」と。

☆いろいろある『身体表現性障害』の痛みや違和感

著書で取り上げた福島県立医科大学医学部整形外科の先生方も同様の見解で、この記事でも取り上げられています。一部を下記に要約します(要約部分には◆をつけます。私の見解には☆をつけます。)

◆老若男女、多くの人を苦しめている腰痛。そのうちの85%は痛みの原因が分からず、診断がつけられない。どこで診てもらっても、何をしても消えない痛みには、「心」が関係している可能性があることが、近年の研究で分かってきた。
福島県立医科大学医学部整形外科学講座の大谷晃司教授によると
「1つはストレスによって、痛みをコントロールする脳のメカニズムがうまく働かなくなっている場合です。実際よりも痛く感じたり、痛みのもとは消えているのにまだ痛いと神経回路が錯覚したりします。もう1つは、ストレスが体の痛みとして出る場合。仮病ではなく、本人は本当に腰が痛いと感じています。この状態を専門用語で『身体表現性障害』といいます」

☆藤井が日々の臨床の中で、感じていることと同じです。『身体表現性障害』は腰痛に限りません。首の痛み、肩の痛み、顔の痛みといろいろ多彩です。痛みだけでなく違和感とかもやもやとかいろんな形で表現されます。鍼灸のうつ病や双極性障害、パニック障害の治療法を応用しながら治していくと、きれいに治ります。何よりも患者さんを安心させる治療家の姿勢が大切です。
じつは医者や治療家から「治りにくい」「難治性腰痛」とか、治りにくそうな病名、例えば「変形性脊椎症」「腰椎すべり症」とか言われると『身体表現性障害』はますますひどくなります。病名が正しければそれでいいのでしょうか。何か配慮がほしいところです。

福島県立医科大学では抗うつ剤を使うので、「私はうつ病ではない!」という患者さんの心理的抵抗がおこるかもしれませんが、鍼灸では鍼を使うだけなので心理的抵抗はおこりません。

◆いまできること――具体的には「動く」ことだ。最近の医学の常識では、急性・慢性にかかわらず、動いた方が腰痛の治りは早くなるという。
福島県立医科大学医学部整形外科学講座の大谷晃司教授によると
「痛いからじっとしているのではなく、痛くても動けるなら動く。これによって、乱れた脳のメカニズムが正常に整う可能性がありますし、腰回りの筋肉がほぐれて血行が良くなり、結果的に痛みの原因が改善されることも期待できます。そうした運動療法と並行して、患者さんに合わせて痛みを軽くする薬や抗うつ薬などによる治療を行っていきます」

☆結(ゆい)ではまずあらかたの痛みを鍼灸で治してから、動いてもらいます。数回であらかたの痛みはとれます。
痛みで長く安静にしてきたのですから、筋力は弱っています。楽になって動き回ると、衰えていた筋肉が痛みます。患者さんは不安になって「大丈夫ですか?」と聞かれるのですが、私はニコッと笑って「大丈夫です、これは回復に向かう途中に出る痛みですからいい痛みです。そのまま無理のない程度に動いてください」と励まします。再発した痛みも1~2回の鍼灸治療でなくなります。そのうち筋力も回復してきて、たくさん動いても大丈夫になります。腰痛のせいで掃除ができていなかったお家が多いので、家の中がピカピカになります。

◆原因の多くは心理的ストレス…腰痛は“気”で治す病だった
日刊ゲンダイDIGITAL 2016年3月23日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/177800?utm_content=buffer36bba&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer
 

不都合な真実、お酒は体温を下げます、あたたかく感じるのは錯覚です

お酒を飲むと身体があたたかくなる感じがします。手足の先もポカポカしてきます。末梢の皮膚血管をひろげるからですが、実際はここから熱が逃げて体温が低下しています。普通は体温が下がると、寒く感じるのですが、アルコールが体温調節中枢に直接作用して、適切な働きを妨げているため寒さを感じにくくしています。

忘年会でお酒を飲みすぎ、暑くなってコートを脱ぎ、薄着で寒い戸外を歩いたら、翌朝 風邪をひいていたというのはよくある話。体温が低下して免疫力も下がり、風邪にかかりやすくなっていたからです。
大量のアルコール摂取は体温調節中枢をマヒさせるという研究もあります。この場合、寒いところでは体温が下がり、熱いところでは体温が上がります。

お酒を飲むと身体があたたかくなる感じは錯覚です。薄着で寒い戸外を歩かないようお気をつけください。適量を楽しんでください。

☆飲みすぎ食べすぎは湿邪(しつじゃ)を増やし「ぎっくり腰」や「寝違い」に

飲みすぎ食べすぎは、身体の中で代謝しきれない悪い水分=湿邪(しつじゃ)を増やします。湿邪が経絡(けいらく)、気の流れる道をふさぐと、こったり痛んだりしやすくなります。忘年会の翌日、身体が重くなるのはこのためです。薄着で寒い戸外を歩くと寒邪(かんじゃ)がよけいに経絡をつまらせます。ひどい場合は「ぎっくり腰」や「寝違い」にもなります。風邪をひくだけではないのです。どうかお気をつけください。
結(ゆい)通信No.499 ///////// 2015/12/24より

こわいところには鍼をしません。幻肢痛(げんしつう)ファントムペインも治す鍼灸。

☆こわい場所には鍼をしません

結(ゆい)鍼灸院の藤井です。私は患者さんがこわがる場所には鍼をしないことにしています。例えば頭に鍼をされるのがこわい患者さんがいらっしゃいます。

「頭は一番、安全なところなんですよ。頭がい骨というヘルメットのような骨に頭は守られています。鍼はヘルメットの上の皮にするだけです。頭がい骨は硬いので鍼は通りません。それにヘルメットにそって横に鍼をするだけです。」

こういうとたいていの患者さんは、頭に鍼をするのを許してくれます。でも中にはそれでもいやだという方もいらっしゃいます。たいていは別の鍼灸院で頭に鍼をした後、めまいが出た経験のある方です。やり方を工夫すれば、頭に鍼をしてもめまいは出ないのですが、いやがる方に無理強いするようなことはしません。
首がひどくこるのだけれど首、後頭部に鍼をするのはこわいという方もいらっしゃいます。これもなんとかなります。遠慮なくおっしゃってください。言いづらい方はメールかメモをください。

先日は耳が水の中にいるようで、いやな感じがするといって来院された20代の女性がいらっしゃいました。手足も冷え、肩もこります。「年かな」「10代のころはこんなことはなかった」と何度もおっしゃいます。「年は関係ありません」といって治療開始。背中を使う督脈通陽法という私の得意の治療法をしました。背中に棒灸や灸頭鍼をします。
二回ほど治療したら手足も暖かくなり、肩こりもなくなりました。耳も不快感を感じていない時の方が長くなってきました。混んだ電車に乗ると気分が悪くなっていたのがなくなり、バーゲンに行けると喜んでいらっしゃいました。軽いパニック障害のような症状があったようです。何より疲れなくなったそうです。

いつも通り治療をしようとすると、背中を使わない治療はできないかと相談されました。背中側に他人に回られるのがどうも苦手とのこと。治療のために我慢してこられたのですが、ここまでよくなってくれば他のやり方でもなんとかなるのではとお考えになったようです。背中側から鍼をしたり温灸をしたりする治療はやめにすることにしました。
慣れないハイヒールを履いてから脚と腰が痛いという訴えだったのですが、背中や腰に鍼をすることなくちゃんとその場で痛みをとりました。
鍼灸はいろんなやり方があります。患部を使わないでも治療はできます。お尻を見られるのが嫌だからと、痔のことを隠される女性もいらっしゃいますが大丈夫です。お尻に鍼をしなくても治療はできます。

☆幻肢痛(げんしつう)ファントムペインも治す鍼灸

病気や事故等で手足を切断した場合、切断した筈の手や足が痛むという症状があります。幻肢痛とかファントムペインといいます。原因不明とされていますが、鍼灸は幻肢痛を治療することもできます。幻肢痛の方はぜひ鍼灸をお試しください。

しゃっくりの治療と自分でできる治療法

しゃくりは横隔膜が痙攣(けいれん)しておこります。短時間ならとにかく数日続く場合もあり、これはしんどい。鍼灸がよく効くという事実は意外と知られていません。

◆自分でできる 逆さ飲み

コップにいれた水を手前からではなく、向こう側から飲みます。体を前かがみにしてすするように飲みます。
同じ逆さ飲みでももう少し手のこんだやり方もあります。どんぶりに水を入れ、箸を交差させて十字の形をつくります。4等分されたどんぶりの飲み口からそれぞれに体を前かがみにしてすするように飲みます。軽症のしゃっくりはたいていはその場で収まります。

◆鍼灸治療は

逆さ飲みで効かなかった時は、しゃっくりに効くつぼに鍼をするとたいていはその場で収まります。
問題はしゃっくりがしょっちゅう再発する方、いわば重症の方は逆さ飲みではなかなか収まりません。
重症は 高齢や虚弱な方に多いようです。胃の不調が治らないため、上逆(じょうぎゃく)してしまうのです。胃は食べ物を腸に送るのが仕事、これを粛降(しゅっこう)というのですが、うまく下に降りないのが上逆です。ゲップや吐き気も上逆の一種です。

胃がきちんと働くように治療すると、しゃっくりがおこらなくなります。
先日は、身体に力が入らない、うまく動けないという70代の男性を治療しました。脳梗塞のため以前から片麻痺はあったのですが、起きられなくなったというのです。歩けていたのが歩けなくなりました。デイサービスの施設に行ってもすぐに転倒してしまうので、車椅子に一日座らされている状態。このままでは寝たきりになってしまうというので家族に連れられて来院されました。
1ヵ月程治療してすっかりよくなったところで、家族から「そういえば最近 頻発していたしゃっくりが全然おこらなくなった」とお聞きしました。弱った身体を治す中で胃の働きも回復したからです。しゃっくりが頻発する方は鍼灸治療をお試しください。体調もよくなりますよ。

※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

頭がぼおっとしていたのが治った アトピー性皮膚炎のかゆみもとれた

尾形(仮名)さんは20代後半の主婦です。足が冷えて仕方がない。肩もひどくこる。夜は眠りが浅い、昼間は頭がぼおっとするとの訴え。2年前からぼおっとするのがひどくなりました。半年前から身体もかゆくなりはじめ、肩にひどいアトピー性皮膚炎があり、胸にもポツポツとあります。しゃんとしようとカフェイン入飲料を飲むと、今度は胸がドキドキする始末。甘いものが食べたくて仕方がないそうです。

1度治療したところ劇的によくなりました。かゆみがなくなり、肩こりもなくなりました。頭もぼおっとしなくなったので、カフェインに頼る必要もなくなりました。よく眠れます。2週間後に再度来院されたのですが、肩にあったアトピー性皮膚炎がきれいに消えていました。首から胸の付近がよくかゆくなるのでステロイド軟こうを塗っていたのですが、塗らなくなったそうです。ステロイドをやめてもかゆみは出ません。甘いものもとくに欲しいとは思わなくなったそうです。足も以前ほどは冷えなくなりました。便秘はないと言われていましたが、大便の量が増えていました。

甘いものを食べたくなるのは中医学では脾気虚(ひききょ)といい、消化器系が弱っている時に起こると考えています。一度の治療で脾気虚が大分改善されたのでしょう。
脾気虚になると身体の余分な水分、湿邪(しつじゃ)をうまく外に出せなくなります。湿邪が経絡、気の流れる道をふさげば、肩こりや痛みになります。湿邪がある条件のもとで熱をもつと湿熱となり、かゆみやアトピー性皮膚炎になります。

脾気虚も気虚(ききょ)の一種で頭にうまく気が回らなくなると、昼間は頭がぼおっとして夜は眠れなくなります。

尾形さんの治療はもう少しかかるかなと考えていたのですが、うれしい誤算でした。湿邪がわるさをしているので、湿度の高い梅雨や夏は状態が悪化する可能性はあります。その時はまた1~2回治療すればいいでしょう。
もちろん定期的に治療して、どんどん健康になる、予防するという選択肢もあるのですが、その辺は 患者さんの選択に任せています。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【1】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント
とても楽になりました。また時間がある時に伺います。お灸がとても良かったです。冷えもかなりよくなりました。

※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。2015/5/31

 

元気な60代後半がよみがえる方法 足の痛みも くしゃみ鼻水も

鍵元(仮名)さんは60代後半の行動派な男性です。山歩きやスポーツが趣味の方。
12月後半に来院されました。2週間前から左のふくらはぎが急に痛くなり、歩くと痛いという訴えです。これは1回の治療で痛みがとれました。
2回目の治療の時は、くしゃみと鼻づまりをなんとかならないかと相談されました。例年は3月頃に短期間 くしゃみ鼻づまりになるけれど、今年は12月初め頃から悩まされているとのこと。

鍵元さんは確かに元気な60代後半なのですが、ふくらはぎの痛みで運動量がへり、肺の気がうまくめぐらなくなったことが原因と思われました。運動は気をめぐらせる作用があるのです。率直に言って(本人には言ってませんが)お年から、肺の気が弱ってきた面もあるかもしれません。でも鍼灸は「年だから仕方がない」ということはありません。2回の鍼灸治療でくしゃみ鼻水はすっかりなくなりました。

※運動は気をめぐらせますが、同時に気を消耗させます。元気な人は気をめぐらせて体調がよくなりますが、身体の弱い人、疲れすぎている人はよけいに疲れてしまうこともあります。運動は万能ではありません。

治療終了後にアンケートをいただきました。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【0】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント
非常によかったです。気持ちよく治療受けることができました。

会社に行くとおなかが痛くなるという症状がとれたら肩こりもなくなりました。

中村さん(仮名)は30代の女性、PMS(月経前症候群)の治療をご希望で来院されたのですが、いつも肩がこる、会社に行くとおなかが痛くなる、ふらっとするという症状をおもちです。ふらっとするのは貧血のため仕方がないと自分ではおっしゃいます。
自分で原因を断定し、自分で納得されている患者さんは結構いらっしゃいます。

ふつうに治療するとたしかに身体は楽になるのですが、しばらくするとまた肩がこってきます。そこで思考鍼をしてみました。
思考鍼とは理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)をなくす鍼灸のやり方です。あるツボに鍼をして一定の刺激をしている時に、恐怖の対象や過去の衝撃をうけた出来事を思い出してもらうやり方です。出社した自分の姿を鍼をしながら想像してもらいました。
おなかが痛くなりましたが、別のつぼに鍼をして腹痛をとりました。今度は出社を想像しても腹痛は出なくなりました。

しばらくして来院されたので症状をお聞きすると、会社に行くとおなかが痛くなる、ふらっとするという症状はなくなりついでに「いつも肩がこる」と言われていた肩こりもなくなっていました。おなかが痛くなるのは過度の緊張のためです。いつも緊張していると肩がこるのも当たり前です。思考鍼が過度に緊張する状態をリセットしてくれたのです。

治療終了後にアンケートをいただきました。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【2】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント
朝 会社に行く時のめまい、貧血、胃の痛みが大分よくなりました。体調もじょじょによくなっていると思います。肩こりも楽になりました。

膣カンジタが早く治る方法

腟カンジダとは、腟内にふつうにいるカンジダという真菌が増えすぎることで起こる腟炎です。
腟内は、乳酸菌によって酸性に保たれているため、他の菌が繁殖しにくい環境です。けれど抗生物質の使用などにより、ふつうにいるいろんな菌のバランスが崩れたり、疲労などで免疫力が低下した時に、カンジダ菌が増えすぎてしまいます。かゆみがあり、どろっとした感じのおりものがでたりします(今回はかゆみはなかったのですが)

島崎(仮名)さんは30代前半の女性です。ある病気で高熱を出し1週間ほど入院、その後も体調がすぐれず2ヶ月がたったところで、腟カンジダと診断されました。「なかなか治りにくいと聞いているので鍼灸でなんとかならないか」と相談されました。
週に1回、免疫力をあげる鍼灸治療をする一方、自宅で毎日、棒灸治療をしてもらいました。患部(腟)に棒灸を5~10分かけてもらいます。島崎さんはお風呂場で棒灸を使ったそうです。膣は会陰(えいん)というつぼです。全身とくに下半身を暖め気血の流れをよくする作用があります。棒灸の成分はよもぎを乾燥させたもので真菌に対し殺菌作用があるともいわれています。

※棒灸は1本162円でお分けしています。

一ヶ月弱で治り、下記のアンケートをいただきました。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【0】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント

自覚症状ではありませんでしたが、子宮がん検診の際に陽性と判明したため、膣座薬を処方されました。計10日間投薬をしないといけないのですが、2.3日おきに通院しなくてはならず、治りにくい病気と医師からも聴かされていたので、しばらく通わなければと憂鬱でした。別件で結さんで治療していただいていたので、相談したところお灸と併用すると治りが早いとのことで、週1回の鍼灸院と自宅でのお灸療法をして、おかげさまで再検査では陰性でした。
自宅でお灸は難しそうだと思っていましたが、棒状のお灸の先に火をつけ患部に5分ほどあてておくだけですし、匂いもお風呂に入れば問題がなく、温かくて気持ち良かったです。ありがとうございました。

腓骨神経麻痺と腓骨神経痛 激しい痛みが治った

立花さん(仮名)は40代後半の女性、右足首を曲げることができなくなりました。足がだらんとたれ下がったままです。もう一ヵ月半になります。整形外科で治療を受けていますが全然治りません。腓骨神経麻痺という診断ですが、なにより辛いのが腓骨神経痛とよばれる足首から膝にかけての痛み、とくに夜は痛みで眠れないとのこと。ものがあたると痛いので布団もかけられないそうです。整形外科で治療してても変化がない、痛みがひどくなってきた気がするということで来院されました。一度の治療で右足首は少し曲がるようになり、痛みも少し改善。2週間6回の治療で痛みはなくなり、右足首の動きも元に戻りました。

ただまだ不安がある、とくに車の運転の時にとっさにブレーキを踏めるか不安があるということで、今度は週一回治療することにして様子をみました。積極的に歩くこともお願いしました。一ヵ月半も動かなかったので筋肉は弱っているからです。
じつは以前から下痢が続いている体調で、こういう人は普通よりも筋肉が弱りやすいのです。下痢を治し胃腸を整えていきました。

立花さん「そのうち治るだろうと思っていたが、痛みがひどくなってきたので、こわいけど鍼にきました。」
私「神経麻痺は筋肉も弱ってしまいます。早めに治せば筋肉が弱ることもありません。」
立花さんは鍼の刺激、いわゆるひびきの感覚もこわがる方でソフトにソフトに治療を続けました。
約2ヶ月で治療終了、下痢をする体質も治っていました。

腓骨神経麻痺の一般的な説明は 日本整形外科学会のHPからどうぞ
https://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html

理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)、強迫性障害や不安障害を治す鍼

理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)をなくす鍼灸のやり方があることをご存知ですか。今回はちょっとした症状をみんな「ガンかもしれない」と恐れてしまう女性のお話です。

ガンなどの病気を異常に恐れる症状は疾病障害と呼ばれ、不安障害の一種です。不安障害としてはパニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)がよく知られています。

鍼灸は理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)を治すことができます。うまくいけば1回で今回の女性のように治ります。
あるツボに鍼をして私が一定の刺激をしている時に、恐怖の対象や過去の衝撃をうけた出来事を思い出してもらいます。電車に乗るのが苦手な人は「電車に乗っている自分」をイメージしてもらいます。それまでは思い出すだけで「いやな気持ち」や不安になっていたのがなんとも思わなくなれば成功です。

今回の女性は便秘がちのおなかを重く感じるたびに、ガンを恐れ、不安になっていました。鍼に刺激をしながら、おなかにガンができている状態をイメージしてもらいました。このやり方はイメージしてもらうことが大切なところです。
そうしたら「あれ?こわくない」と一言。数日後に頂いたのが以下のメールです。

☆ガン恐怖の消えた患者さんからのメール

先日、「恐怖心を抑える鍼」の治療をしていただいたところ、いつの間にか身体の症状を気にしなくなっていました。
そのおかげか、夜もきちんと眠れるようになって眩暈(めまい)もしなくなりました。
お通じは決して良好ではないのですが、「=がん」と結び付けなくなっています。
思考回路が上手く修正されたようです。

私は元々がん家系で祖父を肝臓がんで亡くしていて、父も胃を早期発見で3分の1摘出しています。
父は再発も転移もなく今も健在ですが、祖父が亡くなる時の苦しみ様は壮絶なものでした。
当時10代の私は、初めて目の当たりにした人の死が病への恐怖心として刷り込まれ、トラウマになっているのだと考えています。
高齢だったとはいえ、人はこんなにも苦しみながら死ななければならないのか……と。
特に近年はTVをつければ健康番組が危険な病を警告して、CMは保険会社が「万が一」に備えるように頻繁に呼びかけてきます。
それらを目にするたびに薄暗い気持ちになっていました。最近はもう極力目に入れないように心掛けていますが……。
心療内科で処方される安定剤を飲んでも対症法にしかならず、根本的な考え方は変わらなかったです。

しかし、先日の鍼治療を受けてからは頭の中で霧がすっと晴れたような清々しい気分でいられます。
がんという病気自体は気になるけれど、恐怖心まではいかない……。
まさに先生が仰っていたとおりです。治療の効果を報告すると共に病への恐怖心を抱くようになった経緯をお伝えしてみました。

以上 患者さんからのメール

じつは彼女は別の症状で来院されていて、ガン恐怖をうちあけられたのはしばらくたってからでした。自分の気持ちのデリケートな部分を告白するのは勇気のいることです。
理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)を抱えている方は、何かの身体症状を抱えている方が多いようです。まずは身体症状で治療を受けてください。そして私が信用できると判断されたときは、メールでもいいですからうちあけてください。彼女もメールでガン恐怖を告白してくれました。

以上をフェイスブックに掲載したら、ある元患者さんで鍼灸師の女性から以下のコメントをいただきました。フェイスブックには専門家向けに今回使った顔にあるツボの名前を載せています。

☆元患者さんからのコメント

ありがとうございます。ちょうど、20代女性で身体に不調を抱えるうえ、急に襲ってくる不安感に苛まれている方がいらっしゃいまして、精神的な不安感を鍼灸で取り除くようなことは出来ないものか、考えておりました。かくいう、私も、藤井先生に震災後東京から避難してきた妊婦として治療を受け、つわりの症状軽減とともに精神的な不安感を取り除いて頂いたことを思い出しました。あのとき確か顔や頭部にも鍼をしていただいたような気が致します。

コメント以上 この方は東日本大震災とともにおこったフクシマ原発事故の放射能から関西に避難されていました。つわりを治し、気持ちを落ち着ける鍼をしました。

※疾病障害は正確には強迫性障害の一種に分類されています。強迫性障害は不安障害の一種とされています。治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。今回は患者さんのメールの一部も変えました。ご了承ください。

ちょっとした症状をみんな「ガンかもしれない」と恐れてしまう女性の患者さんから再度メールをいただきました。2014/10/24

☆ガン恐怖が治った患者さんからのメール

あれからも異様な恐怖心に襲われることもなく、平穏に生活できています。
「思考鍼」と「運動鍼」は似た治療法という記事も興味深く拝読しました。
脳の情報を書き換えるという、他の治療ではなかなか見られないアプローチですね。

「理由なき恐怖心や心的外傷(トラウマ)、強迫性障害や不安障害を治す鍼」のお話には多くの反響があったとの事。
インターネットを見ていてもたびたび思うのですが、「病気(ガン)が怖い」という人は案外多いようです。
テレビでも病気を扱う番組は多いですが、「早期発見、早期治療!」と言いながら助かった例よりも亡くなった例ばかりが目立つので、特に私はトラウマに加えて「ガン=死」と刷り込まれてきたように思います。
そんな脳に書き込まれた情報を修正して上書き保存してくれたのが、先日の「恐怖心を取り除く鍼」(思考鍼)でした。
このような不安や恐怖心は、心療内科を受診しても簡単な問診と機械的に安定剤が処方されるだけで根本解決にならず、更に踏み込んだカウンセリングや認知行動療法は受けようにも敷居が高く料金も割高です。
これはもう、ガンという病気が世の中から消えない限りは私の恐怖心も消えないだろうと半分あきらめていました。
改めてお礼申し上げます。以上

☆軽症の患者さんからも思考鍼の希望が

思考鍼は今までは重症とおもわれる患者さんに試してきました。ところがNo.474を読んだ患者さんから「私もやって」という声が上がっています。
先日も職場に行くと緊張してしまうという男性に思考鍼をしました。その時は苦手な上司がいると聞いていました。イメージするとちょっと吐き気が出てきて、やがて消えました。後で聞くと職場に行っても「何も感じなくなった」とのこと。じつは苦手な上司だけでなく、そりが合わない同僚もいっしょにイメージしていたそうです。2人に対して特別な感情を抱くことはなくなったとのことです。

当たり前と言えば当たり前ですが、軽症でもしっかり効くようです。

 

15年前からの頭痛が治りました、膝の痛みの治療がきっかけで

白井(仮名)さんは50代の女性です。数日前から右膝の内側が痛くなったと来院されました。膝は一度で楽になり、日常生活に支障はなくなりました。痛みが急にひどくなる前から長く歩くと膝が痛むという症状があったのですが、これも4回ほどの治療でなくなりました。
じつは白井さんにはもっと深刻な悩みがありました。15年来の頭痛です。膝が一度で楽になった後に相談されました。
ここ1年ほどは家族関係でストレスも多く胃痛もおこるようになりました。頭痛が出ると1日寝込んでしまうことが多いそうです。
約1.5ヶ月7回治療したところでほぼ頭痛も胃痛もなくなりアンケートをいただきました。

◆アンケートには「よい効果があった。少し苦痛はあるがずいぶん楽になった。」「治療前の苦痛を10とすれば今は1」と回答いただきました。

◆コメント
長年の頭痛でこれが普通だと思っていたのが先生の治療で頭痛のない生活がこんなに頭がすっきりしていると気付かされました。長い間モヤがかかっていたような感じだったのがすっかり晴れて気持ちまで楽になりました。
ひどくなると寝込むこともあったのが今週は一度もありません。1日だけ頭痛がありましたが半日で治ってしまいました。ほんとうにありがとうございました。

この後 2ヶ月 頭痛の再発のないことを確認しています。

急性前立腺炎が治った

急性前立腺炎とは炎症で前立腺が腫れ、近くを通っている尿道を圧迫して、何回もおしっこに行くようになったり、おしっこがうまく出なくなったりする病気です。下腹部も痛み排尿痛もでます。
前立腺炎は意外に多い病気で、全男性の50%位の人が一生のうちに一回はこの病気にかかるといわれています。
 
館山(仮名)さんは40代後半の男性、以前 腰椎椎間板ヘルニアを治した方です。3週間前、血尿が出てあわてて病院に行ったところ急性前立腺炎と診断されました。
薬は飲み続けているのですが、残尿感があり排尿痛もあります。夜は2~3回、小水にたちうまく眠れません。
治療を開始したところ2回で痛みは半減。2週間6回で治療をおわりました。検査で細菌がなくなっていることも確認されました。
 
◆アンケートには「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今は1~2」と回答。コメントはわざわざ印刷してきてくださいました。
 
◆コメント
病院の診察ではこの病気は苦痛、痛みが酷く精神的にもきつくて長期治療が必要との診断でした。5年前にヘルニアでお世話になった結鍼灸院を思い出し電話で相談して治療をお願いしました。その結果2回目で痛みの半分は軽減し4~5回目には殆ど痛みを感じなくなりました。感謝と驚きでいっぱいです。本当にありがとうございました。
 

鍼が苦手な男性も、効くからきます。肩の痛みが消えた。

鍼は苦手だけれど、効くから来るという患者さんもいらっしゃいます。猪俣(仮名)さんもそんな方。お連れ合いから勧められて来院されました。お連れ合いは一度だけ来院されたのですが、肩の痛みが一度で治り、上がらなかった肩が上がるようになっていました。
猪俣(仮名)さんは30代の電気工事の職人さんです。20代の時に野球で右肩を痛めてから、たびたび肩の痛みで苦しんでいらっしゃいます。仕事柄、腕を上にあげて作業することが多いのですが、痛みを我慢しながら仕事を続けていらっしゃいます。
一度の治療で痛みなく腕を上げることができるようになりました。アンケートは2度目の治療の時にいただきました。
 
◆「よい効果があった少し 苦痛はあるがずいぶん楽になった」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は3である」と回答していただきました。
 
◆コメントには
はりがこわいので、出来れば来たく無いですが、効果があると感じたので、いたくなればまた来たいと思います。
と書かれていました。できるたげ来なくて済むように治療効果が長く続く鍼灸を一生懸命施術させていただきます。
結局 猪俣さんは4回の治療ですべてよくなりました。
鍼をこわがるのは男性の方が多いようです。
 
 

疲れに気づきにくい方の自己診断法

世の中には疲れやすい方と疲れにくい方がいます。そして疲れにくい方の中には、本当に疲れにくい方と疲れに気づきにくい方がいます。本当に疲れにくい元気な方はいいのですが、疲れに気づきにくい方の疲労の蓄積が大問題です。うつ病になりやすいタイプのひとつです。
 

◆疲れに気づきにくい方の自己診断法
 

疲労感を少ししか感じていない状態が前提です。

1.仕事をしていると疲労感を感じない。休日も外出してばかりいる。じつは休日に自宅にいると身体がだるく感じる。外に出ると楽になる。
2.最近 イライラしていると感じることがある。むしゃくしゃすることが多い。
3.早朝に目が覚めることがある。寝つきが悪いことがある。
4.原因不明の微熱がでたりしたことがある。吹き出物が多い。
5.冷たいものがのみたくなる。のどがかわきやすい。
6.声がかれたり、のどに違和感を感じたり、鼻がつまったりしやすい。

以上のうちの2~3つあてはまる方は要注意です。疲労感を感じにくく体調を崩した患者さんの傾向を私が伝統的中医学の視点から書き出してみました。

人の身体には陰(いん)と陽(よう)があります。陰陽ともにまあまあ調和とれている状態が健康です。陰陽は西医の自律神経に近い考え方です。陰が減るとバランスが崩れ、身体が異常な興奮状態になり疲れを自覚しにくくなります。1は自宅で興奮が収まると、疲労感がわかる状態。2は興奮が怒りに転化している状態。3と4と5と6は陰がへって身体に妙な熱がこもっている状態です。とくに6は免疫系がおかしくなっている可能性があります。
元気なのではなく疲労を感じるセンサーが弱くなっているのです。
意識的に睡眠時間を確保するようにしてください。7割ほど疲れたと感じたときはすでに120%疲労している状態です。早めに休養をとってください。冷たいもののとりすぎは身体をひやします。氷を口に含んで口内をさましてください。
 

◆鍼灸治療に来ていただければ、疲労を回復し、なおかつ疲れを自覚しにくい状態を正常にもどすことができます。

 

湿疹と不眠がつながっている? 気分障害または概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)?

島田(仮名)さんは30代初めの青年です。数年前は全般性不安障害、パニック障害と診断され当院に治療に来られていました。当時の鍼灸治療の一番の目的は不安で乗れない新幹線に乗れるようになることで、それはうまくいき治療は終了しました。
 

今回は4ヶ月前から夜、眠れず、昼間 起きていられないという症状がひどくなったと来院されました。睡眠導入剤も効きません。昼間起きているよう努力はするのですが、たまらず寝ることもよくあるようです。こま切れの質の悪い睡眠の典型です。
2ヶ月前からは身体中に湿疹が出るようになり、夜はかゆみがひどくなりよけいに眠れない。概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)ともみえるような症状ですが、この場合は気分障害からくるものなのでしょう。島田さんは今回は気分障害と診断されているようです。気分障害とはうつ病や双極性障害を含む広い概念です。
数年前のような不安感はなくなったとのことですが、抗うつ剤は飲み続けていて、疲れやすさ、手足のしびれ感の訴えもあります。

1ヶ月に5回治療したところ、夜はすぐに眠れるようになり、昼は起きていられるようになりました。2回ほど治療したところでかゆみが引き始め、3週間後には湿疹はきれいに消えました。眠れなくなると、だんだんと身体を落ち着かせる陰(いん)という成分が減少し、皮膚のかゆみになり、やがて湿疹になることがあります。こういう時、伝統的中医学では睡眠と湿疹を一連のものと考えて治療します。みなさんも睡眠時間が極端に少なかった時、妙に興奮した経験はありませんか。身体を落ち着かせる陰(いん)が減っているからです。
 

◆アンケートでは「非常によい効果があった、ほとんど完全になおり苦痛がない」を選択。以下のようなコメントをいただきました。
 

当初の気分障害での体のだるさ、日中起きていられない、夜の睡眠障害、体全体の湿疹に悩まされてきました。2回ほどの治療で夜もぐっすり寝つけるようになり、4ヶ月間毎日飲んでいた睡眠導入剤も全くいらなくなりました。それに伴って約一週間ほどで湿疹もほとんどひいていきました。同じく体のだるさも、一週間ほどでかなりなくなり、昼からも動けるようになりました。コメント以上

風邪の後の背中の痛みが1週間で消えました。喘息も改善。

まだ風邪やインフルエンザが流行っているようです。今回は風邪の発熱の後にひどく背中が痛んだ患者さんが治ったお話です。2014年4月17日掲載。
 

☆風邪の後の背中の痛みが1週間で消えました
 

村田さん(仮名)は40代後半の女性です。一週間前に風邪をひいて発熱、背中が痛くなりました。発熱はしばらくしておさまったものの背中の痛みはとれません。仰向けに寝て背中を圧迫すると痛いとのこと。横向けになってもらい、側臥位で治療しました。1日おきに2回治療したところ当初の痛みを10とすると3~4という状態に落ち着きました。その後もう一度治療すると10とすると0.5というところまで激減、治療開始から1週間がたっていました。4回で背中の痛みはなくなり治療を終了しました。この段階でアンケートをいただきました。
村田さんは持病の喘息もありその後も時々、治療を続けています。背中の痛みの治療中も息苦しさもありそちらもいっしょに治療していました。鍼灸は慢性的なものだけでなく急性の症状にも良く効きます。風邪の後に咳が続くような時もよくききます。
/acupuncture/cold/
 

◆鍼灸治療の効果を
1.非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。と回答され「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0.3である。」と回答されています。
 

◆コメント欄には以下のように書かれていました。

大変 痛みがとれ楽になりました。
夜も眠れ助かります。ありがとうございました。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

無月経が3ヶ月で治りました、ついでにアトピー性皮膚炎もよくなりました

五十嵐(仮名)さんは十代後半の学生さん、中学2年の頃から生理が始まったのですが、1年に1~2回しかきません。3ヶ月治療したところ定期的に生理がくるようになりました。
アトピー性皮膚炎も小学校高学年からあり、頚や肩もこり、足がつりやすいそうです。こちらの方も肌がきれいになり、かゆみもなくなりました。「頚、肩のこり」が最初になくなり、次に足がつらなくなり、アトピー性皮膚炎がきれいになった後に生理がくるようになりました。五十嵐さんは中医学でいうと血虚(けっきょ)のタイプ、少しだけ気虚(ききょ)もありました。
中医学では「頚、肩のこり」「足がつる」「アトピー性皮膚炎」「無月経」を別の病気とは考えません。「頚、肩のこり」は気虚(ききょ)のために気のめぐりが悪くなったために起こっています。
足がつるのは筋肉にうまく気血(きけつ)が回っていないため、アトピー性皮膚炎は血虚のため皮膚の状態が悪くなったためです。血虚の肌はアトピーとは限りませんが、カサカサしてかゆみが出やすくなります。
無月経は血虚で栄養状態が悪くなっているためです。無月経という病気を治すというよりは、身体を元気にしていく中で自然と回復していくイメージです。
アンケートには「生理が毎月来るようになってとてもうれしいです。」と書かれていました。無月経の治療はホルモン療法、低用量ピルだけではないのです。鍼灸は本当に身体を治していきます。
 

※五十嵐さんの場合は血虚でしたが、無月経の原因は血虚ばかりではありません。

原因不明の右胸の痛み、頭痛、目の奥の痛みもきれいになくなりました

森田(仮名)さんは50代の女性、デスクワークが多くパソコンと向かい合う毎日です。右の背中と胸が痛いという主訴で来院されました。8ヶ月前から続いています。頭痛、目の奥の痛みもあります。いくつもの医院、病院を回りましたが結局、原因不明。痛みだけでなく首や肩もこります。5週間8回治療して痛みはほぼなくなり、この段階でアンケートをいただきました。
 

◆アンケート回答

よい効果があった。少し苦痛はあるがずいぶん楽になった。治療前の苦痛を10とすれば今は1である。

◆コメント

原因不明の痛みで何科に行ってもわからず、諦めていましたがこちらに伺い本当に楽になりました。針治療はしたことがなかったので怖いイメージがありましたがもっと早く来ればよかったと思います。ありがとうございました。
 

森田さんは中医学的にみれば肝欝気滞(かんうつきたい)という状態、気のめぐりがひどく悪くなっていました。じつはこの後、1ヶ月くらい治療をお休みしたところ、少しだけ右胸の痛みがぶり返したのですが、1回ですぐになくなりました。
 

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)には針灸、とくに督脉通陽法が一番効きます


概日リズム睡眠障害という言葉を聞いたことがありますか。睡眠のリズムが乱れた状態のこと。当院では「夜 寝つきが悪く朝はなかなか起きられない、午前中はぼおっとしてしまう」といった概日リズム睡眠障害の中でも 睡眠相後退症候群と呼ばれる状態をよく治療しています。

「夜、寝つきがわるく午前3時ごろになってしまいます。朝はなかなかおきられません、午前中はつかいものになりません。なにより身体がだるくてやる気がでないのがつらいんです」といった患者さんがよくいらっしゃいます。以前 足首の捻挫で治療し、HPで紹介した女性もそんな方でした。詳しくは以下をごらんください。
 

◆足首を治すために身体も治す、動きながら治す。フラメンコを踊れるようになった患者さん
/acupuncture/knee-ankle/

睡眠相後退症候群(DSPS)は督脉(とくみゃく)、任脉(にんみゃく)という身体の中心線を流れる気の流れがうまくいかなくなった状態と考え、治療します。督脉通陽法というやり方を主に使います。身体の陰と陽のバランスを調整する治療法とも呼ばれています。数回で効果を実感できます。上述の女性からは以下のようなコメントをいただいています。
 

的確な治療ありがとうございました。最近は以前のような極端な夜更かしはなくなり、1日のスタートも早くなりました。捻挫でいった針灸院ですが、これをきっかけに体調がよくなり、災い転じて福になったと思っております。
 

じつはこの女性、「肩がこっていない日はない。」「昼間はぼおっとしてなかなか仕事にかかれない。そのためついつい夜更かしして仕事を片付けてしまう。」といった状態だったのですが、肩こりもとれ、朝にちゃんと起床しすぐに仕事にとりかかれるようになりました。睡眠相後退症候群(DSPS)を治すのは高照度光療法やメラトニンだけではありません。針灸はつらい身体症状もいろいろ治しながら、早く的確に治していきます。 2014年2月6日掲載 
 

結のHPの関連記事もお読みください。 
生物時計、規則正しく暮らすことが、養生の基本 
/acupuncture/cat_body/entry_880/

生物時計とうつ病 
/acupuncture/cat_body/entry_879/
 

詳しく知りたい人は厚生労働省のHPをご覧下さい。
概日リズム睡眠障害 
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-007.html

睡眠相後退症候群
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-028.html 

睡眠時無呼吸症候群(疑い)が簡単に治った

結(ゆい)通信No.439  2014/1/5より

 
「なんだか昼間が眠くて仕方がない」という品川(仮名)さん。30代の男性です。膝が痛いということで来院されました。膝は1回の治療で治ったのですが「ほかにおつらいところはありませんか」と聞くと、冒頭の言葉が返ってきました。
奥さんによると、眠っている時に呼吸がとまることが多く、いびきもひどいそうです。睡眠中に10秒以上の呼吸停止が5回以上繰り返す状態が睡眠時無呼吸症候群と呼ばれますが、この可能性大です。夜の眠りの質が悪いために、昼間に眠くなることが多いといわれています。
品川さんはほどほどに健康な方。睡眠時無呼吸症候群になりやすいといわれている肥満ではありません。毎日自転車に乗って、外回りの営業を続けていらっしゃいます。脳を活性化して元気になる針灸治療を2回ほどしたところ、「昼間に眠くなるのはなくなった」とのこと。「呼吸がとまることはなくなった、すやすやと安らかに眠っている」と奥さんも安心のご様子。
睡眠時無呼吸症候群の一般的な治療は入院して検査の後、睡眠時にCPAPという鼻マスクをつけて空気を送り込んだり、特別なマウスピースをオーダーメイドでつくって装着したりとなかなか大変です。
鼻マスクは防毒マスクに似た形です。つけて寝るのはなかなか大変そう。西医の治療は要するに空気をとり込みやすくすることで、無呼吸状態を治そうとするものです。一方、私の針灸治療は昼間の活動性を増す治療をすることで、夜も深く眠れる状態をつくろうというもの。昼間元気に働き、夜はコテンと寝てもらう状態にします。眠りの質を改善することが、無呼吸を改善することにつながるようです。針灸治療は通院するだけの簡便なもの。睡眠時無呼吸症候群の疑いありと思われたら一度、針灸治療をお試しください。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
 

胃痛も針灸で治ります(患者さんの声)

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篠原(仮名)さんは40代の女性です。首と肩が1ヶ月ほど痛いということで来院されました。首は「中にボールが入っている感じがする。」とのこと。右肩が痛く、上がりにくい。空腹時には胃が痛む、夜中に何度もおしっこに起きてしまうという症状も。
1回目で右肩はその場で上がるようになりました。2回治療すると、首の症状もとれました。一番、感謝されたのが胃痛がなくなったこと。ずいぶん長く苦しんでいらっしゃいました。

じつは篠原さんは胃痛については最初、言われませんでした。あきらめていたからです。
長年、胃痛に苦しまれているみなさん、針灸も是非お試しください。

長引く咳が治った (患者さんの声)

voice_08_25.jpg 当院では風邪をひいたり、咳が長引いたら来院される患者さんがいらっしゃいます。30代の女性の方で、咳が出て痰も出しづらくて苦しいということで来院されました。以前も風邪をこじらせ、激しい咳で夜も眠れず苦しまれた経験をお持ちです。長引くと喘息が出てくることもあるので心配されていました。結局2回の治療で治り事なきを得ました。

夜尿症が治った (患者さんの声)

voice_05_25.jpg 10歳の男子の夜尿症の治療です。毎日おねしょをしてしまうという症状でした。週に1度針灸治療をして、あとはつぼを指導して自宅で温灸をしてもらいました。針灸治療は3回ほどでしたが、その後も自宅の温灸を続けてもらい結局1ヶ月ほどで治りました。 子どもさんの夜尿症の治療は週一回通院していただき、自宅での温灸を指導するというのが当院の治療のやり方です。治療費は初診料1500円 小児針灸治療費2200円をいただいています。

頑固な便秘が治りました (患者さんの声)

voice_02_25.jpg 山岸千恵子(仮名)さんは40代の女性です。時々下剤を飲まれるのですが、ほおっておくと1週間も便通がない状態とのこと。胃の重い感じや時々襲ってくる腹痛に悩まれていました。約2ヶ月間 8回治療したところ、以上(または以下)のような状態に回復されました。

暑いところで働いたら、夜も身体が熱くなる、不眠になる、対処法は?

結(ゆい)通信No.324 2011/08/28より

暑い環境で働く方々の一部に、夜も身体が熱くなり、強い冷房の中で過ごす人がいらっしゃいます。とくに男性に多く見られます。なぜなのでしょう。実際に私が治療することが多いのは、体調を崩した奥さん方、冷えて気のめぐりが悪くなった患者さんに、夜の冷房を弱めるようにお願いすると「私は寒いのですが、夫が暑がるので。」と言われることがよくあります。

夜、身体が熱くなるのは昼間に働いて汗を大量にかいたためと中医学では考えます。もちろん汗をかくのは熱中症にならないために大切なこと。ただ汗といっしょに身体の津液(しんえき)も出て行きます。津液とは身体を潤し栄養するに大切な液体、脾胃、消化器系でつくられます。大量に発汗して津液をつくるほうが追いつかなくなると身体が熱くなりがちです。暑いと食欲も減り気味、食べ物が消化吸収されてできる津液は食べないといよいよ減ってきます。

身体が熱くなると、眠れなくなったり何回も目が覚めたりします。朝早過ぎる時間に目が覚めたりします。寝汗もひどくなります
。 口や鼻がかわき、声がかれてきます。目が落ちくぼみます。イライラして落ち着きがなくなります。
こういう状態を陰虚(いんきょ)といいます。陰虚は男性に多い状態です。陰と陽のうち身体を落ち着かせ滋養する陰が失われた状態です。針灸では補陰(ほいん)、陰を増やすつぼを使って治します。

どうすればいいのでしょう。
まずはきちんと食べること。津液のもとをつくるのは食べ物です。辛いものや甘いものをとりすぎないこと、お酒も控えめに。これらはよけいに身体を熱くします。眠りにくくても睡眠時間を多めにとることが大切です。 身体の熱くなる症状は針灸で治ります。不眠で疲労をためこまないためにもお試しください。

自閉症の青年の治り方、自閉症ではなく竹田青年を治す針灸

結(ゆい)通信No.322  2011/08/17より。12月に加筆。

30代前半の青年、竹田(仮名)くんはお母さんに連れられて来院されました。自閉症で知的障害があり、作業所に通っています。
ベットに横になると首をそらすような動作が始まりました。お母さんによると一晩中、首を動かしていてほとんど眠らない状態。3~4年前から首の発作が始まったが2時間ぐらいでおさまって眠っていた。ここ一ヶ月前からひどくなったとのこと。

身体を落ち着かせる経絡(気の流れ)がうまく流れていないようです。
任脈と陰きょう脈の経穴2つほどに鍼をすると、首の動きが落ち着いてきて、やがて止まりました。3~4年続いていた首の発作は2回の治療できれいになくなりました。

お母さん「この子はほとんど食べないんですよ。だからこんなに痩せてしまって。最近とくに食べないんです。」 私「暑くなると消化器系の弱い人は食が細ります。竹田くんは脾気虚(ひききょ)といい消化器系が弱い状態です。自閉症だから食べないのではなく、脾気虚だから一度に多く食べることができないのです。脾気虚を治すことはできます。」 お母さん「作業所へ30分ほど歩いて通っています。途中で時々止まってしまうんです。しばらくしてから歩き出すのですけれど。」 私「これだけ痩せていれば歩行途中に休憩したくもなるでしょう。ましてや炎天下です。脾気虚を治して元気になれば、休憩は減るはずです。なんでも自閉症のためと考えないでください。」 こうして竹田くんの脾気虚を治す治療が始まりました。2回ほど治療するとずいぶん食べられるようになってきました。途中で止まらず、すたすた歩くことも多くなってきました。
自閉症を治すのでなく竹田青年を治しています。竹田青年は自分の症状を客観的に説明することが苦手。それでも中医学的診断とお母さんの説明から大体のことはわかります。
針灸は病気ではなく人を治します。


追記
竹田くんはその後、筋力もつき痩せすぎも治りました。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

中国での被曝者への治療

結(ゆい)通信No.315  2011/07/11より

邵中医師から興味深い話を聞きました。80年代の北京での被曝者への治療の話です。今後の皆様の健康を保つ治療の参考にしていくつもりです。

北京のある場所に核開発に従事する過程で被曝した研究者、技術者とその家族、子どもたちが住んでいました。彼らは国家の英雄として優遇されていました。治療を受けていた病院のひとつが通県中医院(中医学での治療が中心の病院)。
第五研究院という被曝を研究する機関も併設されていました。1984~86年に邵中医師は通県中医院に勤務し治療にあたりました。白血病やがんなど放射線障害としてよく知られている病気の他に多発していたのが関節リューマチ。
関節リューマチは自分の免疫が主に手足の関節を攻撃し、関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病です。
放射線は免疫不全をおこしますから、関節リューマチの多発は納得できる話です。

私は放射線医療の専門家ではないので、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリで関節リューマチが注目されたどうかどうかはわかりません。ただ関節リューマチはただちに生死に直結しないのでカウントされなかった可能性はあると推測されます。
通県中医院では被曝者とその子どもたちへの関節リューマチ治療が頻繁に行われ、鍼灸と漢方薬が使われました。フクシマでの膠原病や関節リューマチの発生動向も今後の調査が必要と思われます。

余談ですが故毛沢東主席は原水爆の開発は推進したが、原発(中国では核発電)については反対したと聞きました

血圧を下げる針、高齢の方でも大丈夫

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.266 2010/10/21より

血圧がなかなか下がらないという方はぜひお読みください。
80代の高齢の女性が頭痛と耳鳴りがなんとかならないかと来院されました。降圧剤を飲んでいても朝になると収縮期血圧が180mmHgまで上がってしまうという状態が1年間続いています。頭痛のために物事に集中できない。痛み止めも飲み続けているが、腰痛がつらく肩こりもひどいとのこと。10年間、夫の介護を続けていらっしゃいます。
一度治療すると、身体全体が軽くなったとおっしゃいます。朝の高血圧に変化はありませんが、頭痛も幾分軽くなったとのこと。2週間4回治療して頭痛、耳鳴りがきれいになくなり、朝の高血圧も下がりました。腰痛も軽くなり痛み止めをやめることができました。
大阪城の周りを歩く催しにも参加され、修了証を嬉しそうに見せてくださいました。肩もこらなくなったので趣味の編み物をそろそろ再開されるそうです。もともとお年のわりには元気な方です。気の流れを整えてあげるとぐいぐいと治っていかれました。年だから治らないとあきらめることはありません。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。


専門家、学生の方へのお知らせ 鍼灸ジャーナル Vol.17(2010年11月号)に私と『鍼灸治療内経気象学入門』(緑書房)の著者 橋本先生の対談が掲載されます。
「鍼灸臨床における気象医学の必要性 その土地の気候風土を意識して日々の臨床に生かす」というテーマで話し合っています。是非、お読みください。


11月の関西中医鍼灸研究会のお知らせ 事前申し込みは不要です。 早川会員 陽きょう脈 陰きょう脈の講義
木下会員 陽きょう脈 陰きょう脈等奇経を用いた臨床報告
《日時》 11月13日(土) 18:00~21:00
《場所》 大阪市立総合生涯学習センター 第4研修室
     (大阪駅前第2ビル5F)

関西中医鍼灸研究会については以下をご覧ください。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm

いぼ痔、痔核を治す

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.263 2010/9/28より

肛門付近の血管がうっ血してふくれあがるのが痔核、いぼ痔です。出血し、時には痛みます。肛門付近の血の流れが悪くなっておこるのですが、針を肛門のすぐ近くにうつ場合はほとんどありません。手足や頭のツボを使うことが多いのです。
ひどく痛む時でも意外と簡単に痛みがとれます。
恥ずかしがる人が多いのですが「ちょっと痔が、悪くなって」とささやいていただければ治療できます。ほとんどの場合、患部をみることはありません。
先日治療した40代の男性は2週間に3回の治療で痛みがなくなりました。
痔は肛門周囲の血流が悪くなっておこる病気です。針灸は血流改善に抜群の効果を発揮します。

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※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

涙嚢炎(るいのうえん)の治り方

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.259 2010/8/23より

鍼灸は普通に考えられているより守備範囲の広いものです。今回は涙嚢炎(るいのうえん)のお話です。

涙は目を潤すために涙腺(せん)から分泌され、いつも鼻の奥に流れています。
この目と鼻をつなぐ涙の通り道がさまざまな原因によって詰まり涙が鼻に流れず涙嚢にたまって炎症を起こす病気を涙嚢炎(るいのうえん)といいます。黄色い膿(うみ)が出てきます。眼科では手術をすすめられます。
中年以降の女性に多く見られる病気で、結に来院されたのも50代の女性でした。
右目から黄色い目やに(膿)が出てきてうっとおしいという訴えでした。眼科で涙嚢炎と診断されて手術を勧められているが、なんとかならないものだろうかというお話。
一ヶ月半治療し、ほぼ症状はなくなりました。
治療後しばらくしてアンケートを送ったところ「涙嚢炎で顔、特に目の周りに針をする事に抵抗はありましたが、それ以上に黄色の目やにが苦痛でした。でも今は出ても涙が出る程度でとても助かっています。
ありがとうございました。」という回答をいただきました。鍼灸は意外なものにも効きます。遠慮なくご相談ください。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

リストカットしたくなったら指先をもんで!

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.239 2010/2/7より

立春が過ぎました。
春はうきうきする反面、気分が不安定になりやすい季節です。女性の患者さんの中には、たまにリストカットの痕がある患者さんがいらっしゃいます。左の腕の内側にすうっと何筋かの痕があります。よく見ないとわからない薄いものや、はっきりとケロイド状、みみずばれのようになっているものまで患者さんによっていろいろです。
リストカット(手首自傷症候群)は若い女性に多い行為です。結(ゆい)にはパニック障害やうつ病、神経症などを治療するためにいらっしゃいます。まだ新鮮な傷をお持ちの患者さんに私はよく次のようにいいます。
「あなたがリストカットをする場所は東洋医学、中医学でいうと心経(しんけい)、心包経(しんぽうけい)という精神に関係する経絡(けいらく)、気の流れる道のあるところです。鍼灸では心経(しんけい)、心包経(しんぽうけい)のつぼに鍼をしたり、指先の井穴というつぼから一滴の血をだしたりして不安を鎮める治療法もあります。だからあなたがイライラしたりもやもやしたり、不安に思っている時にリストカットして落ち着く気持ちも理解できます。治療に通じるものがあるのですが、リストカットは失うものが多すぎます。場合によっては死の危険もあるし、出血しすぎると体調も崩します。なにより社会生活を送っていく上で、偏見にさらされ、いろいろと不利になります。だからリストカットしたくなったら指先をもんでください。心経、心包経をはじめとする手の経絡の気の流れをよくして、気持ちを落ち着ける作用があります」と。

一見、とんでもない行為にも理由があることが多いのです。リストカットは気持ちを鎮めるための、しかし危険極まりない行為です。リストカットする女性の保護者、恋人、友人の方は左手の指先をもんであげてください。爪を上下からと左右からと、ちょっと痛いくらいにもんでください。肘から先を丁寧にマッサージしてあげることも効果的です。信頼できる鍼灸院で治療を受けてください。
とにかく生き残りましょう。私は手にリストカットの痕を持ちながらたくましく生きている中年の女性を何人も知っています。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

線維筋痛症には鍼灸がよく効きます

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.235  2010/1/20より

はじめに 線維筋痛症には鍼灸がよく効きます線維筋痛症という病名を聞かれたことがありますか。日本線維筋痛症学会によると「原因不明の全身の疼痛、不眠、うつ病のなどの精神神経症状、過敏性大腸炎、膀胱炎などの症状を主症状とする病気」とされています。原因は不明です。重い症状から、比較的軽い症状の方までいろいろです。なんといっても慢性的に続く痛みがつらい病気です。もちろん鍼灸の得意とする分野です。


動き続ける患者さん この前、治療した60代の女性もよくなりました。仕事はなんとかこなしている状態でしたが、朝から全身が痛いという訴えです。仕事は清掃。仕事をしている時は痛みを意識しないですむが、昼休み等、休憩時間になると痛みを感じ始めるとのこと。「痛みを感じたくないために休み時間も動き回っている。休日はじっとしているとずっと痛いから、なにか用事をみつけては動き続けている」とおっしゃいます。痛み始めて3年がたっていました。
鍼灸を1回すると休憩時間に出てくる痛みが、少し和らぎました。ここで患者さんにお願いしました。「休憩時間は何もしないで休んでください。休日もできるだけゆっくり身体を休めてください。最初は痛んでもしばらくすると、痛くなくなるはずです。鍼灸で痛みをとりますから、休養してください。疲労しすぎると、痛みがとれにくくなります」と。


休めるようになったら、よくなってきた 週一回ほど治療しながら1ヶ月をすぎると休憩時間の痛みはなくなりました。2ヶ月たつと全身が痛かったのが、左の腕や肩、胸付近だけに痛みの範囲が狭まってきました。休日も休むように心がけたら、休んだ翌日は痛みも軽くなることが患者さん自身でわかるようになってきました。3ヶ月たつと左の腕や肩、胸付近の痛みも弱くなってきました。休日の痛みはほとんどありません。仕事をすればその後、多少は痛むけれど3年前の痛みはじめる前にもどったようだということで治療を休止しました。
痛むからまぎらわすために動くという患者さんは線維筋痛症に限らずいらっしゃいます。適切な休養や睡眠をとらずに動き続けると、痛みが慢性化し治りにくくなる時もあるのでご注意ください。じつは患者さんが動き続けるのは気持ちが落ち着かなくなり、イライラしてゆっくり休めなくなるという面もあるのです。鍼灸は痛みだけでなく、そういう精神状態もいっしょに治しているのです。
線維筋痛症には是非、鍼灸をお試しください。いろんな痛みに鍼灸はよく効きます。
休日、家にいるとだるくて仕方がないから外出ばかりしているという方も蓄積疲労にお気をつけください。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

体温を上げると健康になる。低体温を治そう!

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.230~232より 2010年1月

はじめに ベストセラーを連発している石原結實医師の著作を読んでみたら、私の考えていることと共通点が多くて驚きました。体温を上げると健康になるという考え方は私と同じです。
日本人の平均体温は36.5度といわれていますが、最近は低体温の人が増えています。
石原結實医師によると「体温が1度下がると免疫力は30%以上低下し、一度上がると5~6倍強化される」「体温が1度下がると代謝は12%も落ちる」とのこと。
体温を上げると健康になる。中医学で表現すると、「陽の気がめぐれば、たいていの不調はよくなります」ということです。疲れにくくなります。みなさんも一度、自分の体温をはかってみてください。体温は一日のうちで変化しますから、何日間か同じ時間帯に何度かはかってみてください。きちんと36度をこえていますか。


お風呂に入ろう 体温を上げる一番、簡単な方法はシャワーでなくてお風呂に入ること。私は朝と夜、2回入浴するようにしています。陽の気をめぐらせ、代謝を高めます。

自宅で親の介護をしている60代の女性患者さんの体温も上がりました。最初に来院された時は、肩がこり、月に1回は片頭痛に苦しむといった状態でした。花粉症もあります。治療すると片頭痛も花粉症も治りました。肩こりも出にくくなりました。月に数回、ちょっとした不調を治しながら、健康維持の治療を続けています。1年近く治療していると昨年12月に体温が上がっていることに気づいたと教えていただきました。35度だったのが36.4度になっているとのこと。
免疫力があがったためか風邪もひきにくくなったそうです。


体温の変動 1日の体温は変化しています。一般に夜になると低くなり、昼間の活動中は高くなります。眠っている夜の2時~3時に一番下がり、朝にかけて上昇していきます。夕方6時ごろに一番高くなり、ゆっくりと下がっていきます。体温が下がると眠くなり、上がると頭がはっきりして活動的になります。夜、眠かったのにお風呂に入ったら目が冴えてしまったという経験のある方は多いはずです。
寝つきが悪いと訴える患者さんが、いつも眠る直前にお風呂に入る習慣だったというのはよくある話です。低体温の女性の患者さんに時々みられる生活パターンには以下のようなものがあります。
1. 仕事から帰宅すると疲れて身体が動かないので、とにかく寝てしまう。
2. 2時間ほど寝て、なんとか家事を始める。食事をして食事の後片付けを済まし、お風呂に入る。お風呂から上がってすぐに寝ようとしても眠れないため、夜更かしをしてしまう。
3. 睡眠不足と低体温から寝起きが悪く、午前中はぼおっとして過ごす。

こういう女性には帰宅直後は眠るのではなく、とにかくお風呂に入って体温を上げてみてくださいとお願いしています。うまくいく場合もあります。もちろん結(ゆい)で治療すれば低体温が改善され、仕事から帰ってもすぐに家事ができるようになるのですが。
入浴は眠る直前ではなく、2時間ぐらい前に済ませておき、体温が下がってきて眠気がくるとともに眠るのが理想的です。眠る直前に入る時はぬるめ(37~40度)にしてください。ぬるめの方がリラックスして眠りやすくなるためです。
仕事から帰宅すると疲れて身体が動かないために、お酒に頼るという方もいらっしゃいますが、下手するとキッチンドリンカーになってしまう危険性があります。気をつけてください。


朝がつらい場合 朝は首や肩が痛い、手がこわばる、腰が痛いけれど昼間になると改善してくるという方も、低体温が関係しています。腰や肩をもんだり、鍼をしたりするだけで治りがいまいちの場合は、お灸もしてくれる治療院をさがしてください。
昨年末に30代の男性が来院されました。「近くの鍼灸院にかかっているが首や腰の痛みやこりがちっともよくならない。昔、故郷の鍼灸院で鍼やお灸を受けたときはよくなったのに、そこは鍼しかしない。結(ゆい)はお灸もしてくれると聞いたので来ました」とのこと。
2回ほど鍼灸治療して年明けに様子を聞くと「すっかりよくなりました」とのこと。「半年、他に通ってもぱっとしなかったのが、2回で治るなんて、やっぱりお灸はいいですね」とおっしゃっていました。鍼に加え、温灸や生姜パックで陽気を補ったのが効いたようです。あとの残る熱いお灸ではなくやわらかい温灸で治療しました。

朝がつらい方は朝風呂に入るのもお勧めです。身体が温まって、胃腸もよく動くようになり、下痢や便秘もよくなります。
朝から冷たい牛乳やジュースを飲むのはやめて、温かい飲み物や汁物をとるようにしてください。生物時計のリズムを保つのも大切なので、いつも決まった時間に寝て、決まった時間に起きるようにしてください。


温熱療法というがんの治療法 がんの治療法に温熱療法というやり方があります。
国立がんセンターのHPには以下のように書かれています。

温熱療法は、がん細胞が正常細胞と比べて熱に弱いという性質を利用した、がんの治療法です。顔に発生した肉腫が丹毒(たんどく)による発熱で消失したことや、自然治癒したがんのうちおおよそ1/3で発熱していたという報告等、がんが治ることと発熱の間には、何らかの関連がありそうだと昔からいわれていました。 本格的な研究がはじまったのは、1960年代になってからです。現時点では研究段階の治療で、まだ標準治療とはいえません。この治療法の対象となるのは、通常の治療法では治すことが難しい局所進行がんや再発がんです。
がんに対する効果は41℃以上で得られますが、42.5℃以上で特に強くなることが知られています。 

以上


温熱療法は標準治療とはなっていませんが、がん細胞が正常細胞と比べて熱に弱いという事実は興味深いものです。石原結實医師によるとがん細胞は35度でいちばん増殖するとのこと。低体温を治すことはがん予防につながりそうです。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

顔面神経麻痺の治療開始は早ければ早いほどいい!お医者さんも針灸も

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.228  2009/10/06より

ある朝、起きたら顔の半分が動かなくなっているというのが、顔面神経麻痺です。
顔面神経麻痺は脳梗塞や脳卒中、脳内出血、脳腫瘍などからおこることもあるのですが、ここではそれ以外の顔面神経麻痺について話します。帯状疱疹ウイルスが原因のものはハント症候群と呼ばれます。原因不明のものも多く、こちらはベル麻痺と呼ばれています。

お医者さんはステロイドを使って治していきます。たいていはよくなるのですが、 時に後遺症が残ることがあります。麻痺が3ヶ月以内に治癒した時には後遺症はほとんど出ないといわれているので、早く治すことが大切です。私はお薬と併用で、針灸治療することをお勧めしています。顔面神経麻痺はWHO(世界保健機構)も針灸の適応と認めている病気なのですが、世間で針灸が効くという認識が少ないためか、最初から針灸院を訪れる患者さんは多くはありません。病院の治療が終わり、お医者さんは「後は自然に治るのを待つしかない」というけれど、顔に違和感や若干の麻痺が残っている。なんとかならないだろうかといって針灸院へ来院されるケースがほとんどです。でも実際は、針灸治療の開始は早ければ早いほどいいのです。

0X年3月に30代の男性が来院されました。数年前にうつ病の治療で通院されていた方。うつ病のほうはすっかりよくなっていたのですが、突然、顔の右半分が動かなくなり結(ゆい)に来院されました。病院の方にも行き、治療を開始したところです。最初の数回はぴくりとも動かない状態でしたが、だんだんとよくなり1ヵ月半のうちに12回ほど治療して治りました。 最初からお薬と併用で、針灸治療することで後遺症もなく、早く治ることが期待できます。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

頑固な帯状疱疹後神経痛も治りました

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.226 2009/09/06より

帯状疱疹は痛いものですが、たいていは、皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなります。しかし痛みだけが後遺症として残ることがあり、これが帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。
高齢者では、帯状疱疹の治癒後に痛みが残る事が多く、帯状疱疹後、長期にわたって痛みを訴える患者の70%は60歳以上です。
針灸は帯状疱疹後神経痛によく効きます。先日治療した60代前半の男性の痛みもきれいにとれました。最初に以下のようなメールを娘さんからいただきました。(一部省略)

  父は2年前帯状疱疹ヘルペスにかかり、背中一面に相当ひどいやけどのような症状が出て治療が遅くなったため帯状疱疹後神経痛に悩まされています。痛みが残って2年近くになりますが、全く痛みが取れない状態で、毎日痛みをこらえている父を見ると本当になんとかしてあげたいという気持ちが消えません。 これまで、ただ我慢しているだけでなく、あらゆるブロック注射・麻酔などの西洋的なものを試してきましたが1時間ほど効果があるだけで結局すぐに元に戻ってしまいます。 鍼も父も考えたようなのですが、違う疾患で近くの鍼に長く通っていて、効果が得られなかったと言っていろんなことが疑心暗鬼になっているようです。 ペインクリニックの先生に「もう神経がボロボロだから麻酔や、神経ブロックでは治らない」と言われてしまいました。 もう八方塞がりな状態なのですが、まだあきらめたくありません。どうかお返事いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。 メールは以上

  6月初めから7月中旬まで9回の針灸治療をすると痛みはきれいにとれました。少し歩くと左脚がしびれて歩けなくなるという脊中管狭窄症のような症状もいっしょに治りました。車に乗ったときシートベルトがあたると痛いという状態だったのが3回目の治療ぐらいからとれていきました。まだ現役でしっかり働いていらっしゃる患者さんです。初診の時、「あなたの身体はしっかりしている、これなら治りますよ」と素直に私の感じたままを言うと、半信半疑ながらもちょっと嬉しそうにしていらっしゃいました。針灸といってもいろいろあります。お近くの針灸院で普通に針をして治らなかったとしてもあきらめることはありません。今回は火針という特殊なやり方も使いました。自宅でも毎日、台座灸というセンネン灸のようなお灸をしてもらいました。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)ヘルペスには鍼灸が一番

帯状疱疹って何? 帯状疱疹は子供の頃にかかった水痘(みずぼうそう)のウィルスが何十年も神経細胞のなかで眠っていた後に突然暴れだして起こる病気で、子供の頃に水疱瘡になった事がある人はみんな身体の中にこのウィルスをもっています。このウィルスが神経を通って皮膚に出てくるときに神経痛に似た痛みがあります。水痘のできる範囲も神経の分布領域と一致し、体の片側だけで帯状の配列をとります。

発症は4~5日すると痛みのある部分の皮膚が赤くなってきてその中に次々と小さな水痘(水ぶくれ)がたくさん出てきます。水痘は1~2週間増えつづけこれが破れてただれ、潰瘍となりますがやがて乾燥してかさぶたとなり若い人では2週間、お年寄りでも3週間くらいで治るといわれています。皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなるといわれていますが、実際は水痘のうちから針灸治療をはじめたほうがいいでしょう。潰瘍やかさぶたが消えるよりまでの痛みもつらいもの。潰瘍やかさぶたが消えるより先に針灸治療で激烈な痛みがなくなります。


帯状疱疹は感染しないのですか? 帯状疱疹では水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)は病変部のみに存在しているため、水痘の場合と違って唾液中にウィルスが排泄される事はありません。そのため、帯状疱疹は一般に他人に感染しないものと考えられます。ただし、水痘の既住がない人には水痘内のウィルスが感染し、水痘を発症させる可能性はあります。

治療方法は西洋医学の立場からは以下のように紹介されています

軽い場合は鎮痛剤などを内服するだけで自然に治りますが、ウィルスの増殖を止めてしまう抗ウィルス剤が開発されているので早めに病院へ行き治療することが大切です。とくに目の周りの帯状疱疹や痛みの強い場合、麻痺が見られる場合、汎発疹(はんぱつしん:広範囲に水痘ができる場合)などには抗ウィルス剤による治療が必要です。 いずれにせよ抗ウィルス剤は早期に使わないと意味がないので、早めの治療をおすすめします。 とまあ、紹介されているのですが、鍼灸治療は低下している免疫力を回復させつらい痛みを劇的になくすることができます。抗ウィルス剤との併用をおすすめします。 ただ初期の段階で 鍼灸院にこられる患者さんはあまりいらっしゃいません。私がよく診るのは帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)という状態になってからです。

帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)は西洋医学の立場からは以下のように紹介されています

帯状疱疹は非常に痛い病気ですが、皮膚の発疹が治る頃には痛みもなくなります。しかし痛みだけが後遺症として残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。これは良い治療法がなく、引き裂かれるような、えぐられるような、焼けるような痛みがあるといわれ、鎮痛剤もあまり効果がありません。が、うつ病の患者さんに使われる抗うつ剤という薬が効くことがあります。また、トウガラシの有効成分であるカプサイシンの塗り薬や皮膚の血管を拡張させて血流を良くする貼り薬、カイロやお風呂に入って温めるといたみが軽くなることもあります。帯状疱疹後神経痛の時期にはもうウィルスは活動していないので抗ウィルス剤は効きません。 また、高齢者では、帯状疱疹の治癒後ににいたみが残存する事が多く、帯状疱疹後、長期にわたって痛みを訴える患者の70%は60歳以上です。若年者は免疫能力が高齢者にくらべ高いので、このことが帯状疱疹後神経痛に関与していると考えられています。 といわれているのですが、鍼灸はこの帯状疱疹後神経痛に劇的に効きます。
痛みは消えてもかゆみが残ることもあります。針灸は帯状疱疹後神経痛やかゆみにもよく効きます。

1月に治療した例を紹介しましょう。 73歳のおばあさんです。12月に膝の痛みでみえられ、数回治療してよくなった後 来院されなくなったので、念のためにアンケートはがきを出したところ1月中旬に電話がかかってきました。
1月初めから 腰の部分の帯状疱疹にかかり、痛みで夜も眠れないとのこと。医者にはかかっているが鎮痛剤が全然効かないというのです。だまされたと思ってでもいいから、鍼にきなさい絶対 痛みをとってあげるからというと その日のうちに来院されました。
3日間 続けて治療して 痛みはなくなりました。
その後 10日ほどしてまた来院されました。激しい痛みはなくなったのだが、夜になると患部を虫が這うような感じがしてチクチクして眠れないというのです。 一日おきに3回 治療して これもきれいに治りました。
10日もおかず、もっと早く来院さればよかったのにと、内心思いました。かかっている医者に、鍼で激痛がなくなったと報告したところ「鍼が帯状疱疹に効くはずがない」といわれたと後で聞きました。そういったことが影響したのかもしれません。
実際は 鍼灸治療は免疫力を高め、帯状疱疹の痛みを劇的に止めることができます。

帯状疱疹後神経痛を残さないようにするには鍼灸が一番ですが、西洋医学の立場からは以下のように紹介されています。

帯状疱疹後神経痛(PHN)は水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)の再活性化によって引き起こされ発症するが、現時点ではVZVの再活性化を防ぐ事は不可能です。しかし、VZVの増殖に伴って神経に炎症が生じておこる痛みは局所麻酔による神経ブロックや鎮痛薬などを用いて、急性期の痛みを徹底的に押さえる事はできます。
痛みが発生する経路は次の通りで、知覚→交感→運動神経→に過剰な緊張を生み、局所の血流を減少させます。この局所の血流低下は神経組織の性質の変化を援護し"痛みの悪循環"を形成します。つまり帯状疱疹後神経痛を防ぐポイントは局所の血流を減少させない事です。血流を改善する基本は交感神経の緊張を緩め、血管を弛緩させることで、神経ブロックはもちろん、入浴が有効です。
とまあ いわれています。鍼灸は局所の血流を増加させ交感神経の緊張を緩めることができますから、効くのは当たり前といったところでしょうか。

血圧を下げる針

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.211 2009/04/20より

先日、退き際のきれいな社長さんの話を耳にしました。
某上場会社の2代目の社長さん 栗本さん(仮名)です。
栗本さんは10数年ほど前、40代後半でお父さんの後を継いで、社長に就任しました。当初から10年ほどしたら降板すると公言した上での登板でした。
カリスマ的だった創業者の個人商店のような会社を近代的な会社に変え、経営陣を育成。次期社長を親族以外から出す形にして、60代初めで降板されました。
血圧を下げる針 関西は中小企業の街。創業者がいつまでも「俺の会社」という意識で、なかなか経営権を渡さない、そのうち認知症の傾向が現れたりして周りが苦労をするという話を耳にすることが時々あるので、栗本さんのような話を聞くとすがすがしい思いがします。
栗本さんは退陣の後、なかなか下がらなかった血圧がきれいに下がったそうです。
お笑い番組をみても初めて腹の底から笑えた気持ちがしたそうです。


血圧を下げる針 血圧は緊張によって上がります。重圧のある仕事は血圧を必要以上にあげてしまいます。針灸は自律神経を調整することで、患者さんを「降板した栗本さん」のような状態にすることができます。緊張が恒常化して、うまく力を抜けない状態を解消します。
末梢の血液循環を改善し血圧を下げます。細かなところまで血がうまくめぐるようになり、血圧が下がっていきます。「血圧が上がってきた。
このままだと降圧剤を使うように医者からいわれている」「降圧剤を使っているのだけどどうもうまくいかない」というような患者さんの血圧を治療で下げることは何度かしてきました。
血圧の調整に苦しんでいる方は一度 お試しください。

※紹介したお話は個人情報保護の観点から、関係者の年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

バリバリ働いていたあなたにもどる 脳を活性化する治療

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.195 ///////// 2008/08/06より

人は自分を基準にものを考えます 大阪は中小企業の街です。
私が治療させていただいている方の中にも、中小企業の社長さんやその家族の方がたくさんいらっしゃいます。

中小企業の社長さんはしっかりした身体の持ち主の方が多いようです。人の2倍3倍働いて会社をつくってきた方々。みなさん立派な方ですが、丈夫なだけに見落としてしまうこともあります。それは従業員がみんな社長ほど丈夫とは限らないという点です。
人間は平等ですが、体力は平等ではありません。
人は自分を基準にものを考えます。
元気な社長の体力を基準に考えれば、従業員は「すぐに音を上げる」「なまけている」「やる気がない」ということになってしまいがちです。


12時間しか働けないので、どうにかしてほしいという社長さん 先日、ある患者さんがいらっしゃいました。
40代はじめの女性、小さな会社の社長さんです。

「12時間働くと疲れてしまうので、どうにかしてほしい」
「寝起きもわるい」
「疲れやすく集中力も続かない」

とおっしゃいます。2年前までは15時間以上働き、終電で帰る日々が続いてもなんともなかったとのこと。
脳を活性化する治療を中心に針灸治療をしてみると、1回で成果がでました。
1週間後に来院されると、

「朝起きるのに30分以上かかっていたのがすぐに起きられるようになった」
「食事がおいしい」
とのこと。終電まで働いてもなんともなかったそうです。今も一週間に一度くらいのペースで脳を活性化する治療を続けています。
恵まれた体力をお持ちの社長さん、調子を崩してからは自分ほどには働けないスタッフの気持ちがわかるようになったそうです。いよいよ優秀な経営者になられることでしょう。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの名前を仮名としているほか、年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。

冷えのぼせの対処法

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.186 ///////// 2008/01/29より

今回は冷えのぼせの方の対処法です。もちろん針灸は冷えのぼせによく効きます。

アイスノン 冷え対策にお風呂にゆっくり入るように指導しても、冷えのぼせの方はたいてい「ほてるから」と嫌がります。
湯船に入ってもごく短時間、シャワーだけという方もいらっしゃいます。
アイスノンで頭を冷やしながら入ったらどうですか、と提案しています。


足湯、ただし何かしながら アイスノンも嫌がる方がいらっしゃいます。
そもそも冷えのぼせの方の一部は、ぼおーとするのが苦手の方が多いようです。お風呂でぼおーとしているのがもったいないと考えてしまうのです。

じつは冷えのぼせという状態が精神を気ぜわしくさせています。こういう方には部屋での足湯がお勧めです。テレビをみたり、本を読んだり、何かしながらやってください。
本当はぽわんとしながら、ゆったり足湯するのがお勧めですが、できないことを求めても仕方ありません。そのうちゆったりしてきます。


足の裏をたたく 木槌でもかなづちでもかまいません。足の裏を軽くたたいて刺激してください。
足湯と組み合わせるともっと効果的です。


レッグウォーマーを使う 足は冷たいけれど靴下をはくのは嫌という方も、冷えのぼせの方の中にいらっしゃいます。じつは足裏が少しだけ熱をもっているためです。
足の甲や足首は冷えています。レッグウォーマーや靴下の先を切って、足首だけ暖めるようにするといいです。
こういうちょっと不思議な冷えのタイプの治療法も針灸にはあります。


ホットカーペット、足温器を使う ほてるからといって寒いのを我慢し、その我慢が緊張を誘い、交感神経優位の状態となっている方がいらっしゃいます。
血流も気のめぐりも悪くなります。肩もこります。

ホットカーペットや足温器を使ってください。
電磁波のことを考えると、本当は足だけを暖める足温器がお勧めです。電磁波は少し離すだけで弱まります。脳や生殖器に近いところ、つまり腰や頭を電磁波の発生源に長いこと密着させるのはあまりお勧めできません。
一番のお勧めはお湯で温める床暖房です。

冷え性の治し方

結(ゆい)通信No.185 ///////// 2008/01/27より

手足が冷える、とくに足先が冷えるという女性は多いですね。
足の冷えを訴える男性も結構いらっしゃいます。


冷えは気滞(きたい)から 冷えの原因はいろいろありますが、気滞(きたい)気がうまく身体を流れなくなるためにおこる冷えも多いようです。西洋医学的には交感神経優位の状態です。

仕事の時にある程度緊張するのは大切ですが、必要以上に緊張させていると、血の流れが悪くなり、手足が冷えます。仕事が終わってもうまくリラックスできない方も多いようです。
交感神経優位の状態が続いてしまうと内臓の動きも低下してしまいます。腸の働きも低下し便秘になりやすくなります。ちょっとしたことでもイライラするようになります。
うまくリラックスすると、血の流れがよくなり、冷えもとれ、内臓も活発に動いてくれます。便秘も解消します。ほがらかになります。

緊張とリラックスの切り替えがうまくいかなくなっている患者さんは「どう力をぬいたらいいかわからない」とよくおっしゃいます。つぼに針をすると、気がめぐり、リラックスしていきます。手足の冷えがとれていきます。
針灸すると、緊張とリラックスの切り替えがうまくいくようになります。

気滞(きたい)の患者さんには足湯をよくすすめるのですが、たんに足を暖めることだけが目的ではありません。
足の周辺のツボを刺激し、気の流れをよくしてリラックスしてもらうためなのです。


慢性的な肩こりといっしょに冷えがなくなる 昨年10月に30代の女性を治療しました。
慢性的な肩こりだったが、最近ひどくなって、右肩を動かすだけで痛くなった。腰も股関節も痛くなってきたという方。手足もひどく冷えます。気滞(きたい)タイプです。

10月に4回ほど治療してすっかりよくなりました。冷えもとれました。次にいらっしゃったのは12月の初め。肩こりがなくなっていたが、近頃になって少し肩がこり始めたから、予防をかねて来たとのこと。
開口一番「今年の冬は暖かいですね」とおっしゃいます。
これには驚きました。めっきり寒くなってきた頃だったからです。
冷えがとれて気がめぐるようになり、以前ほど寒さを感じなくなっていたのです。手足も暖かでした。

気滞(きたい)の方の中には、上実下虚(じょうじつかきょ)俗に言う冷えのぼせの方が多くみられます。冷えのぼせの対処法は冷えのぼせの対処法をご覧ください。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。

寒さもストレス

結(ゆい)通信No.184 ///////// 2008/01/20より

今週は寒い一週間でした。
寒さのために体調を崩される患者さんがちらほらいらっしゃいました。どんなふうになるのでしょう。

寒さも自律神経の不調に関係します。ぶるっと寒さを感じると血管は収縮し、熱を外に逃がさないようにします。交感神経優位という状態になります。
身体と精神を緊張させます。
寒い部屋の中で我慢していると、緊張状態が続きリラックスできなくなり、疲れもとれなくなります。
日頃から緊張気味の人、がんばりすぎる傾向にある人が寒い中でがんばっているとよけいに具合悪くなります。
自律神経の働きが乱れ、ホルモン分泌の具合が悪くなる場合もあります。

伝統的中医学では寒が気の流れを滞らせるといいます。
すべて寒さだけが原因というわけではありませんが、寒さが大いに関係していると思われる今週の事例をお話します。


パニック障害があったけれど、すっかり治っていた20代女性の場合 「一度 夜に息苦しさを感じました。こんなこと久しぶり。すっかり治っていた肩も今日はこっています」

いつもは暖かい環境で仕事していた方が、寒い場所であまり動かない作業量の少ない仕事を3日続けた後のことです。


パニック障害が快方に向かっていた30代後半女性の場合 「電車に乗っているのがつらくて何回か降りてしまいました」

緊張を強いるような仕事上のイベントが近づいているという事情もあったのですが、ご自宅の部屋も寒く、12日土曜あたりからの寒波がこたえたようでした。


背中全体が痛くなった70代の女性 「夜中に寒くて眼が覚めてしまった夜がありました」
「そういえば背中全体が痛くなったのは、その夜の翌朝からです」

いつもは首や肩のこりだけの人が、背中全体が痛くなりひどい疲労感に苦しみました。


いずれの場合もご自身では寒さとの関連は気づかれてはいませんでした。
私の方で指摘しました。暖房のやり方等、適切な対処法を話し合いました。仕事のストレスは避けることはむずかしいけれど寒さからくるストレスはその気になれば改善できます。我慢のしすぎは身体をこわします。


※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。

夜も眠れないかゆみ

結(ゆい)通信No.164 ///////// 2007/06/25より

暑くなると出てくる不調のひとつにかゆみがあります。今回はかゆみのお話です。

針灸は痛みに効くことはよく知られていますが、かゆみに効くことはあまり知られていません。

6月初め、70代の女性が身体がかゆいといって来院されました。
例年、5月になると身体がかゆくなる。いつもは1週間もすると収まるのに今回は続いていて、医者にいっても治らない。かゆみで夜も眠れない。とおっしゃいます。

皮膚にめだった湿疹があるわけでもありません。 西医的には老人性皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)と診断されそうな状態です。
高齢者では皮脂や水分の分泌が低下するため皮膚が乾燥してかゆみを感じることが多いのです。
2~3日おきに3回ほど治療したらかゆみも収まり、夜もぐっすり眠れるようになりました。

かゆみはしつこいものと思われていますが、針灸ではあっさりと治ることも多いのです。
アトピー性皮膚炎のかゆみにもよく効きます。


まずは保湿剤から 皮膚が乾燥しやすいのは老人にかぎりません。

梅雨の時期でもエアコンで皮膚がかわきやすくなったりします(逆にあせもができてかゆくなったりもしますが)皮膚掻痒症のかゆみの対処法はきちんと保湿剤を使うことです。

市販のかゆみ止めをすぐに使う方が多いのですが、いったんかゆみが収まり、もう大丈夫だろうと塗るのをやめたとたん再度 かゆみが襲ってきた。塗ってはやめ、塗ってはやめを繰り返しているうちにかゆみがひどくなってきたという話をよく聞きます。
まずは皮膚への水分補給、保湿剤からはじめてみてください。それだけで収まるかゆみも多いのです。
最初からステロイド系の薬を使ってしまうと、薬がきれたとたんかゆみが再発することが多いようです。


食べ物も大切 あせもやアトピーのかゆみも含め、かゆみ一般にいえるのですが、辛いもの、味の濃いものはかゆみがあるときはよくないですね。
お酒も同様です。
伝統的中医学では清と淡の二文字からイメージされる食生活を送るように言われています。

ある患者さんの頭が突然かゆくなった。
よくよく聞くと、いただき物のキムチを一週間食べ続けていたということもありました。
伝統的中医学では海老やカニも控えるようにいわれています。少しの量なら問題ないでしょうが、カニづくしといったものはやめた方がいいでしょう。

生物時計、規則正しく暮らすことが、養生の基本

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.99 2005/10/20より

生物時計という言葉を聞いたことがありますか。人間には1日24時間をほぼ正確に刻むシステムが備わっています。この時計を狂わせないように大切にして規則正しく暮らすことが、養生への早道です。

伝統的中国医学、中医学では季節によって早寝早起きをすすめたり、早寝してもちょっとだけ遅く起きることをすすめたりと養生法が微妙に変化するのですが、いずれにせよ規則正しく暮らすことが、養生の基本と説いています。
ちなみに秋は「鶏のように、早寝早起きすべき」と説かれています。分子生物学の分野で生物時計の研究がすすみ、規則正しく暮らすことが、養生の基本という昔からの知恵が、科学的に実証されています。


朝の光でしゃきっと 熊本大学発生医学研究センター 粂 和彦(くめかずひこ)助教授 によると「明け方から午前中の時間帯に光が当たると、生物時計をすすませる効果があります。外部=朝7時、生物時計=朝7時だとします。ここで、強い光に10分当たって生物時計を1時間、早めるとすると、外部=朝7時10分、生物時計=朝8時10分となり、なんと、10分で1時間10分、体中の時計が進むことにより、起きてから10分しか経っていないのに、もう体がばりばり動ける状態になります。」というのです。

夕方の光は生物時計を遅らせる働きがあり、昼間の光では影響はありません。つまり朝、普通に起きたほうが、しゃきっとしてすぐに働けるようになるけれど、昼前におきたのではすぐに活動状態に入れないということです。朝の光をあびない状態、昼前に起きて、夕方の光だけをあびると生物時計が遅くなります。当然 眠くなる時間も遅れます。日曜日、昼前に起きて、睡眠時間は足りているはずなのになんだか身体がだるいという経験をお持ちの方は多いはず。生物時計が朝の光で進まないので、寝起きがわるいのです。「睡眠時間は十分なはずなのに、なんとなくダルイ」という読者の方で、遅く起きて、遅く寝るという習慣の方はいらっしゃいませんか。


12時前には寝る 寝る時間、起きる時間がばらばらという場合も当然、生物時間が狂いやすくなります。生物時間が眠る時間まで来ていないのに、無理やり眠ろうとしてもうまくはいきません。逆に眠い時に眠らないで我慢してしまい、眠気がなくなった頃に無理やり眠ろうとして、「眠れない、不眠だ」と訴えられる場合もあります。鍼灸の臨床ではこっちのほうが多いですね。

「朝起きてもぼおっとして、午前中がつらい」「集中力がない」「首や肩がこる」「身体がだるい」「眠れない。寝つきが悪い」という女性を最近、治療しました。2回ほどの治療で、「眠れない。寝つきが悪い」という症状以外は治りました。あらためて聞くと「深夜12時ごろ、猛烈に眠くなるのだけれど、やることがあるからがまんして起きている。午前2時3時に眠ろうとしたら、寝つきが悪い」とおっしゃるのです。「やることを朝に回してもらえませんか。都合に身体をあわせるのでなく、身体に都合をあわせるように工夫していただけませんか」とお願いしたところです。12時前に寝たほうが、寝つきはいいです。
伝統的中国医学、中医学では夜の12時を過ぎると陽の気が起こり始めるといわれています。陰の気が満ちている12時前の方が安らかに眠りにつけます

生物時計とうつ病

結(ゆい)通信No.106  2006/01/12より

分子生物学の分野で生物時計の研究がすすみ、規則正しく暮らすことが、養生の基本という昔からの知恵が、科学的に実証されているということを以前、書きました。規則正しく暮らすことは不眠症に関係するだけでなく、じつはうつ病の発症にもかかわっています。

脳の神経伝達物質のひとつセロトニンは、うつ病と関係するといわれています。精神を安定させる作用があり、これが不足するとうつ状態や情緒不安定になります。針灸もつぼを使って神経伝達物質の調整をしていると考えられます(人の複雑なうつ症状をセロトニンだけのせいにするのは無理があると考えていますが)

脳の活性化にとって大切なセロトニンは体が浴びる光線量が多いとたくさん分泌されるようになります。とくに朝日を浴びることは大切です。蛋白質の構成成分である必須アミノ酸、トリプトファンから、セロトニンを経て作られる、物質がメラトニンといい、これが眠気を誘います。夕方になるとセロトニンが変化したメラトニンが分泌されるようになり、真夜中はピークに達します。
セロトニンとメラトニンはいわばポジとネガのような関係。脳を安定させ活性化させる物質と眠気を誘う物質がうまくまわっていくことと、朝の光を浴びて起床し、夜になったら寝るという規則正しい生活は結びついているのです。中医学的には陰陽のバランスのとれた状態です。

私が以前、東京で招かれた青山のドイツ人のマンションが、びっくりするほど薄暗い間接照明だったことを思い出します。一般に欧米人の方が間接照明をよく使うと言われています。日本人も昭和30年代までは電球の明かりの下で、ちゃぶ台を囲み、今よりずっと薄暗い夜を過ごしていました。高度経済成長とともに家庭にこうこうと蛍光灯がともり始めました。今や成熟期に達した日本。夜は少々薄暗くして落ち着いた時を過ごし、心地よい眠りを誘うほうがいいかも知れませんね。

そのケガ、冷やすか暖めるか! 炎症を「防御反応」といいかえてみよう

メルマガ78と133から

90日の風呂なし生活 2006年8月中旬、ある中年男性がいらっしゃいました
。 6月下旬に階段で転倒して腰を打撲して以来、腰が痛いのが治らない。職場近くの整骨院にかかっていたが一向によくならないので結(ゆい)に来た。
そこでは「絶対に暖めるな」と指導されているので、お風呂も入らず、シャワーを浴びる生活を続けているとおっしゃいます。
まずはゆっくりお風呂に入ってくださいとお願いしました。針灸はちょっとこわいという患者さん本人の希望もあって、針灸はしないで、一般的な整骨院の治療をして患部を温めました。それだけでも、翌日いらっしゃるとずいぶん楽になっていました。
お盆休みの後、再度いらっしゃいました。
今度は針灸をご希望です。週末のゴルフが気になっていらっしゃるようでした。針灸の後 腰痛はきれいに消失、腰を気にせずにゴルフコースを回れました。

8月下旬には完治しました。 炎症というと「冷やすもの」と思い込んでいる人は多いようです。打撲=炎症=「絶対に暖めるな」という図式です。一般の方の思い込みは仕方がないけれど、治療家の思い込みは患者さんの苦痛を長引かせてしまいます。約90日の風呂なし生活も大変だったでしょう。


炎症を「防御反応」といいかえてみよう 打撲の程度にもよりますが、普通は冷やすのは最初のうちだけです。 ある現象に名前をつけると名前の意味が 勝手に一人歩きしてしまうことがあります。 「炎症」は炎=ほのお だから「冷やすもの」という具合です。炎症というのは、病気やケガで身体の細胞が破壊された時に、異物を排除したり、死んだ細胞などを取り除いたりして治そうとする身体の「防御反応」です。血液の中の白血球が異物を排除したりして治すのに 都合のよい状態にするために赤く腫れ、熱をもって痛むのです。血流も盛んになります。赤く腫れて熱をもつのが炎=ほのおに似ているので「炎症」となったわけです。炎症は大切な「防御反応」です。 そうはいっても耐えられないような痛みもつらいので、最初は適当に冷やして「防御反応」をほどほどに制御します。炎症を冷やしたり 暖めたりするのは「防御反応」を制御したり促進したりする意味があります。赤く腫れ、熱をもつのも、治すには必要なことなのです。打撲がいつまでも治らないのは、「防御反応」がとまり自然治癒力が衰えているからです。暖めるのは自然治癒力を活性化させるためです。
針灸は、痛みを和らげながら必要な「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。打撲したら、すぐに針をしてくださいとお勧めしています。


鎮痛剤が「防御反応」を止める 歯医者さんで、歯を抜いた後なんかに「痛み止めのお薬はできるだけ飲まないでくださいね」と指導されるのは、鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまう働きを持っているからです。
痛まなくなるのはいいけれど、治らなくなるのは困るから鎮痛剤はほんの少し、最初だけ短期間だけというわけです。 鎮痛剤が「防御反応」を止めてしまうのと違い 針灸は、痛みを和らげながら「防御反応」は止めない、促進させるという優れた特長を持っています。時には熱をもって痛む膝にお灸をすることもあります。「防御反応」を注意深く、痛みを出さないように促進させていく治療テクニックです。膝の炎症が治り、膝の熱もとれていきます。もちろん痛みもなくなります。


☆ 実際はケースバイケース☆ 炎症を冷やす=「防御反応」を止めるという訳でもありません。少しだけ冷やすと反射的に暖かくなる場合もあるのはご存知でしょう。冷やしたり温めたりして血行をよくし、「防御反応」を促進するやり方はよく知られていますね。

炎症を冷やしたほうがいいのか暖めたほうがいいのかは、実際はケースバイケースです。 炎症の状態によって変わってきます。個人差、年齢差もあります。少し時間のたった炎症は、たいてい暖めて「防御反応」を促進させてあげたほうがよくなります。

疲れもたまると年をとる

半健康人から脱出!結(ゆい)通信No.65 より 2004/02/19

近頃は 元気のない人が増えているようですね。元気がなくなる原因のひとつに働きすぎがあります。働きすぎも、長くなると疲労感だけでなくいろんな症状を起こすようになります。
足腰がだるい。疲れる。物忘れがひどい。べつに腰に負担をかけるような仕事をしなくても腰がだるいと感じるようになります。

「疲れをためると、だんだんとお年寄りみたいになるんですよ。もちろん治療すれば 若返ります。年相応に戻ります。治療して元気になった後、できたらもう少しだけゆっくり仕事ができませんかね」私が時々 腎虚(じんきょ)のみられる患者さんにお願いする言葉です。

疲れをためて お年寄りみたいな症状が出ている状態を腎虚(じんきょ)といいます。身体を滋養する要素、陰(いん)も身体を活発に動かす要素、陽(よう)もそれぞれ減少しています。

身体を活発に動かす要素、陽(よう)が主に減ったときは寒がりになります。
動悸がしたり、すぐに息が切れるようになったりします。やる気がなくなります。SEXする意欲もなくなり、男性はうまく勃起しなくなります。

身体を滋養する要素、陰(いん)が主に減ったときは めまいがしたり耳鳴りがしたりすることが多くなります。眠れなくなります。明け方に身体が熱くなり、目が覚めることもあります。視力も落ちます。いらいらしてきます。SEXする意欲は変わらないか 妙に欲望が強くなるときもありますが、男性の場合は早漏になったりします。ひどいときは普通の時に精液が漏れたりします。女性は月経が止まってしまったり、逆にいつまでも出血が続いたりすることがあります。

腎虚はお年寄りみたいな症状ですから、夜 頻繁におしっこに行きたくなったり、おしっこが終わったと思っても たらたらと漏れてきたりします。

まずはゆっくりと休むことです。陽(よう)が主に減ったときは休んだり、治療を受けたりしようという方に気が向きますが、陰(いん)が主に減ったときは ゆっくり休む方に意識がいきませんから注意が必要です。お近くの針灸院を受診されることをお勧めします。陽(よう)が主に減ったと感じる方は鶏肉、陰(いん)が主に減ったと感じる方は豚肉がいいですよ。ごまを食べるのは両方に効きます。

にきびと便秘と、足の冷えと痛み、全部セットの話

こんなメール相談がきました(メール掲載にあたっては、当たり前ですがご本人に承諾をいただいております。またプライバシー保護のため、一部内容を変更しています)20代後半の女性からです。

こんにちは 初めてメールします。
気になる症状があるので聞いて頂きたいのですが。
舌とほっぺたと足のむくみと足の血管が痛いのと(静脈瘤?浮いてはいません) <注>後日、「足の血管が痛い」という表現は要するに足が痛く、その付近に静脈が 青く目立つので「血管が痛い」と表現されたことがわかりました。
便秘でお腹が張ってガスが溜まってそのせいで胃が痛くなります。
それから冷え性でニキビ肌荒れも酷いです。
これらは全部セットでついてまわるものなんでしょうか?
針灸で治りますか?
どこが原因でこういう風になってるのかが良く分かりません。
お返事お願いいたします。
中村 律子(仮名)

足のむくみと足の血管が痛いのと(静脈瘤?浮いてはいません) 便秘でお腹が張ってガスが溜まってそのせいで胃が痛くなります。 それから冷え性でニキビ肌荒れも酷いです。 これらは全部セットでついてまわるものなんでしょうか?

というご質問ですが、はい セットでついてまわるものです。
例えば゜肝胃不和(かんいふわ)という状態ではおなかがはり、胃痛があります。 要するに消化器系に異常のある状態です。水の代謝もわるくなります。

水は低いところにたまりますから、足がむくんできたり下腹部が ぽこんと出てきたりします。水がたまると気の流れもとどこおり 痛みが出やすくなります。 からだにたまる余分な水のことを、中医学では湿と呼びます。湿邪 ともいいます。
水は冷やしますから 冷え性になります。 足は冷えていても 身体の上のほうは 熱をもちやすい人もいて、この場合 湿は熱とむすびついて 湿熱になります。湿熱は各種の皮膚病をおこします。 にきびもそのひとつです。 鍼灸は 根本の肝胃不和(かんいふわ)を治し、水の代謝も改善させます。 鍼灸で各種症状は治ります。 身体全体がよくなります。
あなたは肝胃不和(かんいふわ)という状態ではないかと推測しています。

というふうにメールで回答しました。

中村さんは、 治療にいらっしゃることになり2000年6月いっぱい9回の鍼灸治療を行いました。今も健康維持の観点から週に1回から2週間に1回いらっしゃっています。

結局、一ヶ月で足の痛み、胃痛、便秘は治りました。一日中冷房の効きすぎる場所で仕事をするという職場環境なのですが、冷え性も改善しています。にきびは以前よりましにはなっていますが、まだ完治というところまではいっていません。 じつは顎関節症があって口が開けずらかったのですが、これも治りました。
鍼灸治療が身体全体の状態を改善していく治療だということが、この症例からもわかっていただけると思います。

下痢の話

2000.2.22

古い友人からこんなメールがきました。

ホームページの開設おめでとうございます。 さっそく飛んでいってみました。
POPな感じで好きですね、こういうページ。
風邪とインフルエンザの解説も役に立ちました。
年齢とともに大きな風邪はひかなくなりました。
たぶん、若い頃のように無理をしなくなったからでしょう。(友人は男性で40代です)
「体調が悪いな」と気が付いたら事前に休養を取るようにしていますから。
しかし、先日(節分の日)、スーパーから買ってきた太巻きを食べたら直後から悪寒がして下痢になりました。
最初は、風邪だと 思っていたのですが、よく考えてみると、これは食中毒なのかもしれません。......しかし、この前ラジオで、今年の風邪は下痢が続くものがあると言っていたので、やっぱり風邪だったのかな。

回答

風邪かもしれませんね。ただ食あたりでも風邪でも 犯人さがしに それほど意味はありません。 原因か゛風邪のウイルスとわかっても、ウイルスに効く薬はないからです(抗生物質はウイルスには効きません) 原因をやっつけるのでなく、結果 つまり下痢に対処する薬やツボへの治療ということになります。 ウイルスか細菌が腸まで行って、炎症(えんしょう)をおこした、つまりは腫れ上がってしまって下痢をしたのでしょう。
炎症(えんしょう)がおきれば 悪寒もします。けがをしても 悪寒する場合があります。
家庭でできる療法としては、こんにゃくを煮て、タオルにくるんで おへそにあててください。

伝統的中国医学では下痢も外からの邪(じゃ)による場合(外邪/がいじゃ/つまりウイルスや細菌の身体に与える影響の仕方によってさらに寒湿/かんしつ/とか湿熱/しつねつ/とかに分類されている)、情志失調(つまりストレス)の場合、脾胃虚弱(ひいきょじゃく)の場合、腎陽虚(じんようきょ)の場合それから以上の複合形態(実際にはこれが一番多い)と細かに分類されていて、それぞれに治療法も微妙に違ってきますが お家では まずおへそをあたためてください。

疲れやすい女性からの相談

こんにちわ!御相談します。
4月の末 家族でハイキングにでかけました。
ちょっとした歩きで、大した距離ではありませんが なんだか とっても疲れて だるくてしかたありません。
40歳をすぎたころより 疲れやすく直ぐ身体を横にしたくなります。 今 45歳です。夫はただの怠け者になっただけだと言うのですが 私はそんな事ではないと思うのです。
病院に定期的に内科検診を受けにいってみても、 どこも異常はありません。 45歳でただのなまけものと言われたままでは 納得できないと思っていたところ このHPに行き当たり ぜひ針灸でなんとかできないものかと 御相談させていただきました。よろしくお願いします。

回答

検診でどこにも異常がなくても 疲れやすい人はたくさん いらっしゃいます。
今の検診が 異常をみつけられないだけなのです。

ある時、ある少女の顔色や脈、舌の具合をみて 「これではしんどいでしょう」といったら、つきそって おられたお母さんが、「いままで、どこにも異常がないと 言われつづけた。ここでやっとわかってもらえた。」と 感激されたことがありました。私は中医学の診断法に基ずき オーソドックスに診ただけでしたから、かえって驚いて しまいました。
今の検診が 異常をみつけられない、もう少しつっこんでいえば 近代医学の分野であまり有効な治療法がないだけです。
私は慢性疲労症候群と診断された方の治療もしました。 疲れやすい体質は針灸で改善できます。