まだ風邪やインフルエンザが流行っているようです。今回は風邪の発熱の後にひどく背中が痛んだ患者さんが治ったお話です。2014年4月17日掲載。
☆風邪の後の背中の痛みが1週間で消えました
村田さん(仮名)は40代後半の女性です。一週間前に風邪をひいて発熱、背中が痛くなりました。発熱はしばらくしておさまったものの背中の痛みはとれません。仰向けに寝て背中を圧迫すると痛いとのこと。横向けになってもらい、側臥位で治療しました。1日おきに2回治療したところ当初の痛みを10とすると3~4という状態に落ち着きました。その後もう一度治療すると10とすると0.5というところまで激減、治療開始から1週間がたっていました。4回で背中の痛みはなくなり治療を終了しました。この段階でアンケートをいただきました。
村田さんは持病の喘息もありその後も時々、治療を続けています。背中の痛みの治療中も息苦しさもありそちらもいっしょに治療していました。鍼灸は慢性的なものだけでなく急性の症状にも良く効きます。風邪の後に咳が続くような時もよくききます。
/acupuncture/cold/
◆鍼灸治療の効果を
1.非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。と回答され「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0.3である。」と回答されています。
◆コメント欄には以下のように書かれていました。
大変 痛みがとれ楽になりました。
夜も眠れ助かります。ありがとうございました。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
患者さんは好きで夜、咳をしているわけではありません。
夜になるとひどくなる咳もつらいけれど「なんとかしてくれ」「早く咳を止めてくれ」「うるさくて眠れない」等の言葉が家族から投げかけられるのもつらいもの。咳は緊張でひどくなる側面があります。
中医学では肝気上逆(かんきじょうぎゃく)といいます。咳をとめようとあせればあせるほど、咳はひどくなります。やさしい言葉をかけてあげてください。咳に疲れた患者さんをねぎらってあげてください。患者さんを追い詰めないでください。咳の音で眠れないのは、家族もつらいもの。できれば早めに寝室を別にしてください。そのほうが患者さんも気兼ねせずにすみます。
ほこりは咳をひどくします。
寝具の移動も早めに済ませ、ほこりがおさまってから休むようにしてください。
患者さんの前でタバコを吸うなどとんでもありません。
横に寝てしまうと咳はひどくなりますから、座椅子を使ったり、背中に布団で背もたれをつくったりして半ば座位で眠るよう環境を整えてください。
針灸は咳を止め、肺や気管支を治していきます。
我慢せず早めに治療においでください。
気管支喘息では呼吸がしにくく、息苦しくなります。
風邪をひいてから、一時的に気管支喘息のように呼吸が苦しくなることもあります。喘息ではないけれど喘息のような呼吸困難になるのです。
成人の気管支喘は40歳を超えてからの発症が半数に上るという報告があります。早めに治して慢性化させないように、本当の喘息にならないようにすることが大切です。
50年生きてきたけれど、私もこれで終わりか、と思う苦しさ
10月に50代の女性が来院されました。 数年前の10月に風邪をこじらせひどい咳に苦しんだ方です。
当院に来てからは2回治療して、3日で治ったのですが、それまで1ヶ月、咳に苦しんでいらっしゃいました。
今度は「あんな苦しい思いはごめんだ」と早々に来院されました。
今度は咳ではなく息苦しいという訴え。夜に息苦しくなると「50年生きてきたけれど、私もこれで終わりか」「昔は人生50年といったから、これでいいか」と自分を納得させたこともあったとおっしゃいます。
夜中に息苦しくなることがいかに大変で不安かがよくわかるお話です。
こういう出始めの息苦しさ、呼吸困難はすぐに治せます。「今晩は大丈夫ですよ」といって針灸させていただきました。
1回の治療で息苦しさは出なくなり、2回で治療を終わりました。
呼吸困難におすすめのツボ
30代の男性の方が2週間ほど、呼吸困難に苦しんでいるといって来院されました。
こちらは季節の変わり目には時々、こういう症状が出るという方。気管支喘息と診断されていらっしゃいます。こちらも1回で呼吸困難はなくなりました。
気管支喘息というとひよわなイメージを持つ方が多いでしょうがそうでもありません。
こちらの30代の男性は格闘家。筋骨隆々とした身体です。症状の重い方の場合は1回でという訳にはいきませんが、確実に軽くなります。
喘息様の発作で息苦しくなった時は、だん中というツボがおすすめです。
乳首と乳首を結んだ線と身体のちょうど真ん中の線、おへそと鼻を結んだ線の交わるところにあります。ここを3秒くらいかけてゆっくりと押し、そのまましばらく押し続けてください。これを繰り返します。楽になりますよ。
軽い喘息は症状さえコントロールできれば病気じゃありません
喘息の呼吸困難がどんな症状か知っておきたい方は、映画「モーターサイクルダイアリーズ」イギリス=アメリカ合作2004年作がお勧めです。
どんな映画かというと「23歳の医学生エルネストは、親友アルベルトとともに中古のおんぼろバイクにのって南米大陸を縦断する冒険の旅に出る。それは金も、泊まるあてもなく、好奇心のままに10,000キロを走破する無鉄砲な計画だった」というロードムービー。
医学生エルネストは喘息持ちで、呼吸困難の発作の様子がしっかり描かれています。
医学生エルネストは後にキューバ革命を成功させたチェ・ゲバラの若き日の姿。「軽い喘息は治療して症状をコントロールできるようになれば病気じゃありません。チェ・ゲバラは喘息でしたがジャングルでゲリラ戦を戦い抜くことができました、あなたも大丈夫です」私は時にはこう言って患者さんを励まします。
軽症でも重症でも気管支喘息の治療、コントロールに是非、針灸を活用ください。
治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少しだけ変えている場合があります。ご了承ください。
ひとくちに風邪を治すといっても、針灸の風邪の治療と風邪薬(総合感冒薬)の風邪の治療では大きな違いがあります。
風邪薬(総合感冒薬)は風邪の症状を感じなくさせ、その間に身体のほうの自然治癒力で治ってくれるのを期待するやり方。一方 針灸は自然治癒力そのものを向上させ、治るようにしむけるやり方です。
伝統的中国医学では、『かぜ』の発熱を体内のいい気(正気) と悪い気(邪気) の結果と分析しています。邪気と正気が闘った結果として発熱します。正気のしっかりした人は感染しません。比較的、正気の強い人が感染すると熱を出しますが、早く治ります。お年寄りなど正気の弱い人が感染すると、あまり発熱しませんが、長引きます。発熱らしい発熱をしないからたいしたことはないと考えるのは大間違いです。体のだるさや、場合によっては咳や痰に長いこと苦しむことになります。
「若いときは熱を出したけれど、近頃は熱はでなくなった。だから年取って丈夫になった」と話される患者さんが結構いらっしゃいます。一ヶ月くらい咳が続いて、背中が痛くてしょうがないというのが来院された理由だったりします。
まず正気に細心の注意を払う
私は、患者さんに熱があるからといって、すぐ熱を下げることを考えません。まず、正気の状態に注意を払い、熱は安易には下げません(針灸も その気になれば簡単に熱をさげることができますが)
西洋医学でも最近は解熱剤が問題視されています。発熱はウイルスに対する正常な免疫の反応であり、解熱剤で無理に発熱を抑えることは、免疫の働きを邪魔することにつながります。熱があっても 頭痛がなくて楽な状態にもっていくことに気を配ります。
風邪薬(総合感冒薬)を飲んで 一時的に症状が 軽くなり治ったと錯覚してしまうことが じつは一番 問題だと思っています。治ったと錯覚すると無理して働き、免疫力が低下し 風邪を長引かせることになります。風邪のウイルスや細菌は 症状が軽くなっていても体内で変わらず増殖を続けているのですから。
風邪薬のCMも、治ったと錯覚するように私たちを毎日 洗脳していますから、錯覚するのも無理ありません。休息をとって免疫力を回復させることの大切さを忘れてはいけません。
2003年5月30日には厚生労働省から「一般用かぜ薬による間質性肺炎に係る使用上の注意の改訂について」という発表がありました。間質性肺炎とは別名 肺線維症(はいせんいしょう)正常な肺は、目の細かいスポンジのような構造をしていて、息を吸えば膨らみ、息を吐けば縮むという動きをスムーズに行っています。何らかの原因で、この柔らかい肺に、線維化が起こり、肺が固く縮んでゆき、ついには呼吸ができなくなり、死に到ることもある病気です。こんな副作用は26例とごく少数なのですが、風邪薬の濫用をいましめるものです。
総合感冒薬の分析
総合感冒薬にはどんなものが入っているのでしょう。例えば、CMでよく登場する『プレコール持続性カプセル』をとりあげてみます。『朝と夜だけ飲めばいい』というヤツです。
総合感冒薬の多くは成分的には似たり寄ったりです。解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンやイソプロピルアンチピリン などを配合しています。また、抗ヒスタミン剤です。 さらに麻薬性鎮咳剤のリン酸コデイン や覚醒剤の原料にもなるエフェドリン、カフェイン なども入っています。
総合感冒薬『プレコール持続性カプセル』の成分 | ||
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成分名 | 働き | 副作用 |
イソプロピルアンチピリン | 解熱剤 体温は一過性に平熱よりも下がることがある | 胃腸障害を起こす |
アセトアミノフェン | 解熱剤 頭痛,刺痛,月経痛,筋肉痛など比較的緩和な疼痛に有効 | |
マレイン酸クロルフェニラミン | 抗ヒスタミン剤(くしゃみ、鼻水) 眠気おこる | 眠気 |
リン酸ジヒドロコデイン | アヘン由来の止咳薬(咳止め) | 中毒性あり |
塩酸メチルエフェドリン | 麻黄 由来の気管支拡張薬(咳止め) | |
カンゾウ(甘草)エキス | 甘草由来の消炎剤 | |
無水カフェイン | 頭痛、眠気の除去 大脳皮質に作用する中枢興奮薬 |
このような総合感冒薬を日ごろから平熱35℃ぐらいの人や免疫力の弱っている元気のない人が飲むと、本来、発熱すべき時に発熱しません。
なんだかだるいなあといった状態が続いているうちに、風邪をこじらせる場合もあります。
患者さんが総合感冒薬を飲んで、ちょっとこじらせてから来院された場合
患者さんに針灸治療後に 軽く発熱する場合があることを伝えます。土曜日や日曜日なら良いですが、月曜日や水曜日なら仕事の事情などに注意して、発熱の程度 時期を加減します。この辺が腕のみせどころです(^^;)
発熱すると頭痛に苦しむことが多いのですが、事前にきちんと気の流れを通しているので、頭痛もほとんどおきません。治療して、少し発熱して、一晩は熱っぽく、次の日にすっきりするというのがよくあるパターンです。治っていただいて信頼を得た後に、『総合感冒薬を飲まないで、針灸した方が風邪がきちんと治ります』と伝えます。経験から言っても、最初から結(ゆい)にきてもらったほうが、すっきり早く治ります。
患者さんが総合感冒薬を飲まないで来られた場合
軽く発熱をはじめているときなどは、頭痛を防いだり 咳やのどの痛み ふしぶしの痛みなどを防ぐ治療をします。発熱しにくいタイプの患者さんは 軽く発熱を誘い 同時に免疫力をあげるようにします。いずれにせよ少し発熱して、一晩は熱っぽく、次の日にすっきりするという形をめざします。
風邪薬(総合感冒薬)を悪者といっているわけではないのです。飲むなといっている訳でもありせん。忙しい毎日の中、風邪薬(総合感冒薬)でとにかく症状を抑えて、がんばらなければならない時もあるでしょう。治ったと錯覚しなければ、今日は無理でも 週末には休もうといった感じで、養生を心がけるようになるでしょう。養生の大切さをわかってほしいのです。
風邪薬のCMが、薬で治ったと錯覚するように私たちを毎日洗脳していますから、自然治癒力、自分の免疫力で治っているのだということを小さな声で伝えたいだけなのです。風邪を治すには免疫力を上げること、免疫力を上げるためには休養が一番 大切です。
身体を守る咳!?
風邪をこじらせるといつまでも咳や痰が残ってしまうことがあります。
咳止めを飲んで 咳がおさまったようにみえても、咳止めをやめたとたんに咳がぶり返したりすることがよくありますね。なぜでしょう。
咳は本来、気管・気管支に入ったほこりやばい菌などの異物を外に出して身体を守るためのもの。風邪のウイルスや細菌を排除するための仕組みなのです。咳止めの薬で咳をとめても、薬をやめれば、すぐに咳がぶり返すのはこういった仕組みを薬で麻痺させているだけだからです。
咳が止まる=治ったではない
麻痺している間に、自然治癒力でウイルスや細菌が撃退されなければ、炎症が静まっていなければ咳がぶりかえすのは当たり前です。咳止めの薬は、咳中枢を神経的に抑制して咳を止めているだけで、身体を治しているわけではないのです。 それでも咳止めの薬を使うのは、ひどい咳は体力をひどく消耗させ、自然治癒力を奪うからです。
1回の咳で約2cal消耗するといわれ、100回咳をしたとすると、ジョギングを30分したのと同じエネルギ-を消耗するといわれています。疲れてしまうと、ウイルスや細菌をやっつける免疫力が低下してしまうから、咳止めを飲むのです。咳が止まったからと、無理な仕事を続けたり、夜更かしして遊んでしまっては、咳止めを飲んで身体を休める効果をなくしてしまいます。免疫力が低下し、風邪が治りにくくなります。
咳止めを飲んで咳がとまったからといって、治ったと勘違いしないようご注意ください。
痰はどんなもの?
そもそも痰はどんなものだと思われますか。風邪をこじらせた時の痰はウイルスや細菌と戦った白血球の死骸と生きたウイルス、細菌の混ざったもので、それを一刻も早く出そうとして咳が出るのです。
針灸すると痰が増える!?
針灸をすると、咳は楽になりますが、痰はかえって量が増えることがよくあります。痰はきれやすくなるのですが、いったん量がふえて、やがて減っていきます。免疫力が上がり、白血球の活動が活発となり、ウイルスや細菌と戦った白血球の死骸も増えるために、痰が増えるのではないかと推測しています。
自然治癒力でばい菌をきちんと退治するせいか、針灸で落ち着いた咳や痰は再発しにくいようです。咳止めの薬で咳をとめても、薬をやめれば、すぐに咳がぶり返すことが多いのとは大きな違いです。
家庭でできる自然療法
家庭でできる自然療法としては、レンコンがあります。レンコンを皮ごとすりおろして、しぼったものにハチミツを加え、お湯を加えて飲みます。レンコンはビタミンCが多く含まれ、風邪の初期にもいいようです。痛んだ粘膜も修復されるためか、咳止めにもなります。ちょっと効用は落ちるかもしれないけれど、我が家では皮ごとレンコンを細く切って、炒めます。ふつうの食事をする中で咳を落ち着かせる献立に気をくばります。 銀杏(ぎんなん)もいいですね。
我が家では 家族のだれかが咳をはじめると、夕食は鍋にします。鍋にたくさんの銀杏を入れ、同じく咳にいい白ねぎや大根をいれて、いただきます。大根おろしをつくって、鍋にかけるのもおいしいですね。風邪の初期であれば、ふうふう鍋をつついて一汗かくだけで治ってしまいますよ。
今年は感染性胃腸炎が例年より大きな流行になりそうです。激しい嘔吐や下痢が収まった後もいつまでもお腹の調子がすっきりしない、身体が重いという方がいらっしゃいます。
結(ゆい)ではこういう方をたくさん治してきました。一週間程度 おなかがもやもやしているという方でも一回程度の鍼灸治療でたいていはすっきり治ります。感染性胃腸炎の後の身体の不調には鍼灸がよく効きますが、ご家庭では生姜をお使いください。
感染性胃腸炎(ノロウイルスによる感染症)の後は生姜が効きます。
生姜には、発汗解表(はっかんかいひょう、汗をだして いっしょに身体の表面の邪気、よくない気を退散させる働き)、温中止嘔(おんちゅうしおう、胃を暖めて機能回復させ吐き気、嘔吐を鎮める)、化痰止咳(かたんしがい、中国医学独特の考えですが、胃腸の働きを活発にして肺の痰をとり、咳を鎮める)の作用があります。
結(ゆい)では生姜灸や生姜パックといって 生姜の上にお灸をしたり、暖めたりして使います。
みなさんは 例えばおろし生姜を、汁やうどんにいれて飲むといった使い方をすればいいでしょう。これも立派な薬膳です。
なんだか風邪ひいたり、咳している人が多いと思いませんか。 冬から春は風邪のシーズンです。 風邪はウイルスという小さな小さなばい菌でかかるもの。 身体の抵抗力が落ちているのです。
熱は適当に出したほうがいい
風邪で発熱したらすぐに解熱剤というのは止めたほうがいいですよ。熱は身体が、自分を守るために出しているもの。 さすがに四十度をこえるような時は、熱を下げたほうがいいけれど、それ以外は自然にまかせるのが一番。熱をあげると身体の抵抗力、免疫力が高まります。身体が一生懸命、風邪のウイルスと闘っているのです。 熱をさげると抵抗力が落ちてしまいます。抵抗力の弱い人はじつは熱も出ない場合があります。
生姜とはちみつ湯を飲みましょう
風邪は最初が肝心、ぞくぞくっときたら、生姜とはちみつを入れた熱いお湯を飲んで、ひと汗かきましょう。ねぎや生姜をたっぷり入れたうどんもいいですね。
ビールの大好きなおとうさん、この日ばかりはビールをやめてください。ビールの苦みは身体を冷やします。それに当たり前のことですが、ビールはたいてい冷たくして飲むので、それだけで身体を冷やします。 ああ、お酒は飲めないのかと嘆かないで!
赤ワインのお澗も効くの!?
焼酎のお湯割や日本酒の熱燗、それから今はやりの赤ワイン(赤ワインも少し燗をつけたほうが効きます)なら 少しだけなら大丈夫。少しだけですよ。
鼻水ばかり出て時々 咳も出るのですが、 これって鼻炎ですか、風邪ですか?
別に、どう考えてもいいですよ。
中医学(伝統的中国医学)からみると、要するに肺の気が、 寒さを受けて、弱ってしまった状態。肺気虚(はいききょ)といいます。
家ではどうすればいいのですか?
ドライヤーの熱風を首の後ろにあてて、暖めてください。 首周りを冷やさないことが大切。 といっても、電車の中とかは暖房で暑いので、外出の時はマフラーとかスカーフを使ったりして上手に調整してください。
暖房で汗をかき、寒い風にあたるのが身体によくありません。
鼻水はほとんど出なくて、 乾いた咳ばかりが出るのですが?
こういう人は暖めても、鼻水ばかりの人ほどはよくならない場合が多いです。
まずは疲れないこと。ゆっくり休んで ください。
咳ぐらいでと思う人が多いけれど、咳はずいぶんと身体を消耗させます。(たとえ咳は治っても、いったん弱った体は すぐには回復しません)咳が続くとそのうち背中が痛くなってきたりします。うちは針灸整骨院ですから、痛みが出始めてから来院される場合が多いですね。
背中が痛いといってこられた患者さんが、実は一ヶ月も咳が続いていたというのはよくある話。この場合は、咳も背中の痛みもいっしょに治していきます。
家ではどうすればいいのですか
ほこりに気をつけてください。部屋を乾燥させないように、お湯をわかして蒸気を出すのも いいですね。
咳がなかなか治らなくて 鍼灸院にいこうと思われる方はあまりいらっしゃらないでしょう。でも当院には咳が長引いたら 来院される患者が結構いらっしゃいます。 あんな咳 こんな咳 鍼灸でなおりましたということになるのかな。
一般には ひどい咳でもけっこう我慢されている方が多いのには驚きます。咳は 身体の不調のシグナルです。咳なんか気にしないという方も時々いらっしゃいますが、咳が我慢できるかどうかという話ではないのです。
咳が続いているということは多くの場合 肺が弱っていっているのです。そして別の悪い状態の呼び水になります。
3例ほど紹介します。
肺気不宣(はいきふせん)の場合 鈴木(仮名)さん。
三十代後半 の男性の方です。2000年4月にいらっしゃいました。
咳がとまらないということで来院されました。
症状は 咳がとまらない。咳は朝がひどいが仕事中も出る。バイクで外回りをしている方です。 咳は 半月ほど前、3月終わりから出ていた。
じつはここ2年ほど、3月終わりから6月頃まで咳が続く。7月になって暑くなると咳がとまる。痰はでない。5時頃、朝早く目が覚める。眠りが浅く、疲れがとれない。という訴えでした。
これは中医学でいう肺気不宣(はいきふせん)です。 肺の働きが弱くなっているのです。
4月中旬から月末まで 5回 鍼灸治療して 咳は出なくなりました。鈴木(仮名)さんは、普段は6月頃まで咳が続くのですが、治療してすっきり治りました。
肺の気陰両虚(きいんりょうきょ)の場合 清水さん(仮名)は61歳の女性。
2000年3月28日にいらっしゃいました。 ぎっくり腰でいらっしゃいました。
左の腰痛です。昨日から前に曲げても、そらしても痛い。じつは二ヶ月ほど咳が続いているとのこと。2年前から右の耳下腺が原因不明で腫れて膿がでる。そのたびに発熱する。抗生物質をのむが、そのたびに食欲不振となるということでした。
ぎっくり腰で来られたと思ったら、ベットでもずっと咳をしていらっしゃいます。聞いてみたら、二ヶ月ほど咳が続いているそうです。身体は非常に痩せていらっしゃいます。頬もこけているし、肌もカサカサしています。3月31日 まで3回 治療し ぎっくり腰は 治りました。
この方は 肺の気陰両虚(きいんりょうきょ)という状態で、たんに肺が 弱っているというよりはもう少しよくない状態です。
消化器系や腎 膀胱系などいろんなところが弱っています。身体のバランスも悪くて上のほうに 中医学でいうところの虚熱(きょねつ)、あまり身体によく作用しない熱がありこのため、耳下腺が腫れるように見受けられました(つまり虚熱をなくせば耳下腺は腫れなくなると予想できます)。
抗生物質を使うたびに お腹を壊し、食欲不振となるというのも考えものです。とくにお年寄りにとってはきちんと食べて 排泄することが大事。抗生物質を使うたびにお腹を壊しているのでは なんのために薬を使っているのかよくわかりません。耳下腺が腫れるたびにだんだん身体が弱っていくというふうにも見受けられました。
そんな状態でも4月3日から13日まで4回治療し 咳も治りました。よかったと安心していたら今度は、5月9日にまた咳が出始めたということで来院されました。
電車の冷房がきつかったのと、お見舞いで行った病院で冷房が寒かったのが原因で 風邪をひかれたようでした。一回の治療で治りましたが 、再び外出され 強い冷房にあい、再び風邪をひかれ16日に来院されました。また治療して治りましたが、今度は「遊びに行くときは冷房対策に上着を持っていって下さい」とお願いしておきました。
3番目は野川さん(仮名) 57歳 女性の方です。
もともと花粉症あり。右腕のしびれも時々あり。顔が熱く、下肢冷えることが多いということで治療されていました。
2000年5月6日は、治療室に入ってきた時から咳が止まらない状態でした。問診すると事故で電車からでた黒煙を吸ってから咳が出るそうです。5月2日に電車の車輌故障で立ち往生している時に電車から黒煙が発生し、30分ほど黒煙を吸ったというのです。5月3日からひどい咳がではじめたとのこと。
ベットに横になると 咳がひどくなるからこういう場合は座った状態で治療します。鍼をうって、そのままの状態にしておくと、10分ぐらいで咳は止まりました。そのまま30分治療を続けました。
この方の場合は 一回の治療で 咳の再発はなくなりました。急性の気管支炎のような状態だったのでしょう。
風邪ひいて おなかの調子がおかしい?
朝の通勤電車に乗るとせきの音が聞こえてくる。1月頃は風邪をひく人が増えてくる。 この季節になると 結(ゆい)には 風邪ひいておなかの調子がおかしいという人がちらほら来院される。 風邪のウイルスが胃腸にきて胃炎 腸炎をおこすというパターンはしばしばみられ、こういうのは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。
別のパターンもある。 風邪だと思い、医者へ行き、薬をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合だ。たいてい抗生物質を処方されている。胃腸薬もいっしょにもらっているが、これが効かないから当院で「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」と訴えることになる。
抗生物質は 細菌も身体の有益な雑菌も全部殺してしまう。トマホークミサイルのようにピンポイント攻撃ができるわけではない。B52のような無差別じゅうたん爆撃だ。人間の体は、さまざまな微生物、雑菌の巣のようなもの。全体のバランスで平和な暮らしを営んでいる。これを無差別じゅうたん爆撃されたらたまったものではない。「どうも胃が重い」「胃が痛い」ということになる。
風邪の犯人は?
それでも悪いことをしている細菌が、抗生物質で死ぬというのならまだ話がわかるが、実は、風邪の原因のほとんどは 細菌ではなく もっと小さなウイルスというもの。ライノウイルスとかアデノウイルスとか呼ばれる種類のものだ。これは抗生物質では死なない。ウイルスの増えるのを防ぐこともできない。
風邪に抗生物質はいるのかという特集記事を朝日新聞で読んだことがある。この記事も限りなく「いらない」という結論に近かったが、日本の医療の現状を配慮してか最後はぼかしてあった。
日本人は安心を飲む?
アメリカの健康保険組合は日本でいえば 民間の生命保険会社のようなもの。当然治療費を安くあげようとする。標準的な治療方法も設定されている(日本は学閥によって 病気の治療法が違う)アメリカでは風邪にファーストチョイスで抗生物質を処方することはまずない。
薬剤師の知り合いがいた。彼の現代医学、西洋医学の薬の知識は、当然にも私よりずっと豊富だ。ウイルスに抗生物質が効かないことも知っている。あるとき彼は 風邪をひき 医者に行き薬をもらった。抗生物質も含まれている。彼はどうしたか。なんと彼はきちんと全部の薬を飲んでいたのだ。
身体に必要もない時に抗生物質で無差別じゅうたん爆撃をかけると、当然自然治癒力は落ちる。それでも彼は飲んだ。おそらく彼が飲んだのは「みんなと一緒」という安心感や「医学の権威」といったものなのだろう。まあ不安感も病気を悪くするから それも選択のひとつだ。
私はどうする
ところで 抗生物質をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合も、たいていは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。やっかいなのは抗生物質をまた飲むと、「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」が再発することがままあること。 一介の鍼灸師が医者の出した抗生物質に文句をつけるのは大変だ。下手すると患者さんとお医者様の信頼関係にひびを入れかねない。
抗生物質の副作用よりいきつけの医者との信頼関係にひびが入るほうが、患者さんにデメリットが大きいと思うのだ。結(ゆい)との信頼関係にひびをいれてしまうこともあるかもしれない。だからたいていは何もいわない。副作用を黙々と治療する。そしてインターネットのかたすみに駄文を書く。
抗生物質は悪者ではない
誤解しないでほしい。抗生物質は悪者ではない。必要なときにはどんどん使う必要がある。場合によっては 症状がおさまっても 病気の原因となっている細菌を殺すためには 一定期間 投与し続けなければならないそうだ。実は、徹底的にどんどん使うという点でも日本はあいまいだ。不思議な国だ。
追記
2003年12月8日付け朝日新聞夕刊の一面に <風邪に抗生物質「無効」やっと指針、>という記事が載りました。
一部抜粋すると
「風邪に抗生物質は効くと思いますか?答えは「ノー」だ。ところが、ただの風邪に抗生物質を出している医師は少なくない。こういった乱用が、どんな抗生物質にも抵抗力を持ってしまう耐性菌の出現を招き、深刻な院内感染を引き起こすと指摘されている。しかし、最近まで学会や国も注意を促してこなかった。なぜ放置されてきたのだろう。」
「厚生省は96年、院内感染の問題を受けて抗生物質の診療手引を作成。だが、風邪の項目に「対症療法と二次細菌感染の予防が主体」として、使うべき抗生物質の名前を列挙している。
01年には日本感染症学会などに新たな手引の作成を委託した。が、ここにも抗生物質のリストが残った。手引をまとめた東京慈恵会医科大の柴孝也教授は「細菌性の風邪もあるので、一律に抗生物質を使うなとは書けなかった」と説明する。ようやく、来年5月に出す改訂版に「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」との文章が入る。
12月8日付け朝日新聞夕刊の一面に<風邪に抗生物質「無効」やっと指針>という記事が載りました。 http://www.asahi.com/science/update/1208/002.html 一部抜粋すると
「風邪に抗生物質は効くと思いますか? 答えは「ノー」だ。ところが、ただの風邪に抗生物質を出している医師は少なくない。こういった乱用が、どんな抗生物質にも抵抗力を持ってしまう耐性菌の出現を招き、深刻な院内感染を引き起こすと指摘されている。しかし、最近まで学会や国も注意を促してこなかった。なぜ放置されてきたのだろう。」
「厚生省は96年、院内感染の問題を受けて抗生物質の診療手引を作成。だが、風邪の項目に「対症療法と二次細菌感染の予防が主体」として、使うべき抗生物質の名前を列挙している。
01年には日本感染症学会などに新たな手引の作成を委託した。が、ここにも抗生物質のリストが残った。手引をまとめた東京慈恵会医科大の柴孝也教授は「細菌性の風邪もあるので、一律に抗生物質を使うなとは書けなかった」と説明する。ようやく、来年5月に出す改訂版に「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」との文章が入る。
以上
ほっとしました。
朝日の記事は耐性菌の出現を問題にしています。それも重大なことですが、毎日、生身の患者さんを治療する私としては抗生物質の使用が減ることで風邪や気管支炎の針灸治療がやりやすくなることに、ほっとしたのです。どういうことか。2002年1月10日に発行した結(ゆい)通信1号から一部抜粋してみます。
☆不思議な国の不思議なかぜの治し方☆
◆風邪ひいて おなかの調子がおかしい?◆
朝の通勤電車に乗るとせきの音が聞こえてくる。1月頃は風邪をひく人が増えてくる。この季節になると、結(ゆい)には風邪ひいて、おなかの調子がおかしいという人がちらほら来院される。風邪のウイルスが胃腸にきて胃炎、腸炎をおこすというパターンはしばしばみられ、こういうのは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。
別のパターンもある。風邪だと思い 医者へ行き 薬をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合だ。たいてい抗生物質を処方されている。胃腸薬もいっしょにもらっているが、これが効かないから 当院で「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」と訴えることになる。
抗生物質は 細菌も身体の有益な雑菌も全部 殺してしまう。トマホークミサイルのようにピンポイント攻撃ができるわけではない。B52のような無差別じゅうたん爆撃だ。人間の体は さまざまな微生物、雑菌の巣のようなもの。全体のバランスで平和な暮らしを営んでいる。これを無差別じゅうたん爆撃されたらたまったものではない。「どうも胃が重い」「胃が痛い」ということになる。
ところで 抗生物質をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合も、たいていは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。やっかいなのは抗生物質をまた飲むと、「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」が再発することがままあること。
一介の鍼灸師が医者の出した抗生物質に文句をつけるのは大変だ。下手すると患者さんとお医者様の信頼関係にひびを入れかねない。抗生物質の副作用よりいきつけの医者との信頼関係にひびが入るほうが、患者さんにデメリットが大きいと思うのだ。結(ゆい)との信頼関係にひびをいれてしまうこともあるかもしれない。だからたいていは何もいわない。副作用を黙々と治療する。そしてインターネットのかたすみに駄文を書く。
以上
どうですか、私がほっとした理由が理解していただけたでしょうか。副作用ばかりの抗生物質はいらないとはっきり患者さんに言いやすくなりました。風邪や気管支炎の針灸治療がやりやすくなりました。
読者の皆さんも、風邪でお医者さんから薬をいただくとき、どんな薬かはっきり質問するようにしてくださいね。厚生省関係の抗生物質の診療手引が改訂されても、昔からのやり方を変えないお医者さんはいらっしゃるでしょうから。
最近、吹田では声が出なくなり、それからひどい咳に変わっていく風邪がはやっているようです。人によって微妙に差はありますが、痰のあまり出ない、ひどい咳が特徴です。夜に咳き込むようになると苦しいものです。熱もでます。
中国伝統医学では、秋の温病(うんびょう)、秋温(しゅううん)と呼びます。ある種のウイルスのせいなのでしょうが、中国伝統医学では秋に時ならぬ暖かい気候が続いたために温病(うんびょう)が流行ったと考えています。ある種のウイルスが流行りやすい状態を気温と季節、人の身体の状態から考えるのです。伝統的に秋温(しゅううん)には秋温(しゅううん)の独特の治療法があります。風邪一般に同じ治療というわけではありません。
ひき始めのすごし方が大切
ひき始めのすごし方が大切です。痰のあまり出ない、ひどい咳が続くようになった場合、なかなか 治りにくく大変です(針灸で早く、きちんと治すことはできるのですが)。
ひき始めにゆっくり休み、ひどい咳が続く状態までもっていかないことが大切です。
市販の風邪薬はあまりお勧めできませんが、やむをえず飲んで、いったん症状が楽になった場合も養生を忘れないようにしてください。症状を抑えているだけで、風邪を本当に治しているわけではないからです。風邪を治すのはあなたの自然治癒力です。風邪薬をやめたとたん咳が出始めたりすることがよくあります。
家族の誰かが風邪にかかった時はうつるのを防ぐ方法があります。お酢と水を半々程度にまぜ、わかして、酢の蒸気をだします。やかんをストーブにかけてもいいし、台所でガスの火にかけてもいいし、要するに酢のにおいが部屋にたちこめるようにします。のども楽になりますよ。
インフルエンザに はりきゅうは効きます
でも実際は高熱で、外出もできないような状態になるので、当院に来られるのは、インフルエンザの激しい症状が、落ち着いた後、いつまでも咳が続くとか身体の疲労感、だるさがとれないという状態になってからの場合が多いようです。いつまでも咳が続くとか身体の疲労感、だるさがとれないという状態は肺気虚、つまり肺が弱っています。 はりきゅうで元気になります。
2009年5月20日改訂
中医学的インフルエンザの予防法
足三里 大椎というつぼにお灸
足三里 大椎にお灸をすれば感染予防効果があります。
中国の六枝特区人民医院では68年の香港風邪(新型インフルエンザの一種)の流行時、80例の患者さんに、大椎の鍼と灸等を用いて、80例に効果がありました。上海でも1万例を実験して、足三里の灸は、インフルエンザや風邪に予防効果があると報告されています。お灸は温和な熱の、あとのつかないものを使います。患者さん個人個人に適応するツボを組み合わせるとより効果的です。やり方は針灸治療を受けに来ていただいた時に、当院で指導します。
大椎(だいつい)は首を前に倒した時に襟首のところに飛び出る骨の下にあるツボです。
足三里は膝の外側 膝のおさらの下に手をあてて小指の付近。
押して 痛いとかおもだるいとか感じるところあるツボです。
お灸はよもぎの葉を精製したものです。お灸の煙は除菌、抗ウイルス作用を持っているといわれています。中国で新型肺炎(SARS、サーズ)が流行したときも予防にお灸の煙が用いられました。お灸の煙に感染を防止する効果があります。家でお灸をすると身体の免疫力をあげる効果と煙で感染予防をする効果で一石二鳥です。最近は後のつかない、やわらかい熱感のお灸が市販されています。当院でも扱っています。
足三里 大椎というつぼにお灸
お酢と水を半々程度にまぜ、わかして、酢の蒸気をだします。
やかんをストーブにかけても、いいし台所でガスの火にかけてもいいし、要するに 酢のにおいが部屋にたちこめる ようにします。加湿器に酢をいれるのもいいやり方です。 とくに家族の誰かがインフルエンザにかかった時は絶対におすすめ。うつるのを防ぎます。のども楽になります。
酢でうがいをする
水道水もいいけれど、酢のうがいもききます。口もさっぱりして気持ちいいですよ。
子どもが発熱した時、高熱をさげるやり方
冷水につけて硬くしぼったタオルで、背中の背骨の両わきを上から下へまさつする。乾布まさつの要領ですが、上から下へ一方通行に行います。きつめにやや力をいれて何回か行います。背中が赤くなるまでやります。
こちらも大切!一般的予防法
1.手洗い
しっかり頻繁に手洗いしてください。できれば顔や髪の毛も頻繁に洗ったほうが効果的です。手の皮膚が荒れていないこと、傷がないことが一番大切です。薬用石鹸を使って肌荒れがおこるようなら逆効果。消毒薬を使って肌荒れがおこるようなら使わないでください。
2.うがい
効果は手洗いほどには確認されていません。手洗いは各国で奨励され効果が確認されていますが、うがいは日本で好まれるやり方です。うがい薬は必要ありません。うがい薬と水道水(消毒用塩素が微量に入っています)を比較すると水道水の方に軍配が上がっています。うがい薬がのどの粘膜を傷つける場合があるのが関係しているのかもしれません。
3.マスク
普通のマスクでは風邪やインフルエンザにかかってしまった人が他の人に移さない効果は確認されていますが、感染予防の効果は確認されていません。過信は禁物です。マスクをするなら1日に何回も取り替えてください。マスク表面にウイルスが付着している可能性が高いので、マスク表面はさわらないこと。ひもを持ってはずしてください。使用済みのマスクはふたつきの容器に捨てるか、ビニール袋に密閉して捨ててください。
4.メガネ
普通のメガネでも目の粘膜からのウイルスの侵入をある程度防ぐことはできます。仰々しいゴーグルをつけるのは、はばかられても伊達メガネならOKでしょう。ウイルスは目と鼻と口から侵入してきます。目をこするくせはやめましょう。
5.部屋を別にする
インフルエンザにかかった家族を別室に隔離します。食事も別室でとってもらい家族内感染を防ぎます。別室は時々換気をしてください。かかってしまった家族とは必要最小限の接触にとどめるため、家の中で携帯電話をつかうのもひとつの方法です(ふつうの風邪の時はそこまで気を使わなくてもいいでしょうが)使ったティッシユ等はふたのついたゴミ箱か、ビニール袋に入れて密封するようにしてください。
患者さんから「インフルエンザの予防接種、やっぱりした方がいいんでしょうか」と聞かれることがあります。
「どちらともいえません。賛成も反対もできません」と答えています。
1994年にインフルエンザの予防接種を学童に集団接種するのは廃止されました。今もそのままです。副作用ばかりでインフルエンザの予防に役立っているかどうかわからなかったから集団接種は廃止されました。
数年前からインフルエンザの脅威が大々的にマスコミで騒がれるようになり、インフルエンザの予防接種も復権。学童への集団接種廃止のことは触れられることもなく大々的な予防接種キャンペーンが繰り広げられるようになりました。少数の反対意見は94年頃と違い、マスコミに取り上げられることはありません。学術的議論よりも、不安をあおる扇情的なキャンペーンが先行する状況です。入所しているお年寄りに予防接種をさせなかった特別養護老人ホームの管理者は、マスコミから人殺しのように攻撃されました。
こういう状況の中で インフルエンザの予防接種の是非は、私には判断できません。私自身は今のところやりませんが、個々人の責任で判断していただきたいと考えています。
インフルエンザの予防接種、やるなら体調のいい時にしてください。と患者さんには言っています。なんといってもワクチンです。弱い毒(インフルエンザの場合は死んだインフルエンザウイルス)を入れて免疫をつくり、強い毒に備えようというものですから、徹夜明けにやるものではありません。
抵抗力の弱いお年寄りの場合は、なおさらです。日々の臨床の中で、予防接種をした後、発熱したお年寄りの話はちらほら聞きます。たいていの場合、発熱したことをお年寄りは、お医者さんにいいません。どういうわけか私におっしゃいます。「お医者さんにいうと悪い、せっかく一生懸命やってくださっているのだから」といった風に考えられているようです。
みなさんも、インフルエンザの予防接種、やるなら体調のいい時にしてください。
インフルエンザについては、風邪や咳などの話と治療のコーナーで「インフルエンザ 特効薬なくてもたいしたことはない」、「インフルエンザ、病みあがりの養生が大切」「インフルエンザの話」として掲載しています。
まずは頭を冷やそう
インフルエンザが大流行といわれている。マスコミが「どこどこの特養で何人 死亡!」と書き立てれば なんだか、ずいぶん死亡しているような印象を持つが、インフルエンザの死亡者が本当に増えているのだろうか。特別養護老人ホームや老人保健施設で老人が死亡するのは、毎年のことだ。寒い時期に年寄りが死んで、葬式が増えるのも昔から 変わらない。
インフルエンザをそうこわがることはない。たいていの人は3~4日で治ってしまう。インフルエンザ、病みあがりの養生が大切でも書いたが、後の養生が大切だ。
「インフルエンザの特効薬が品薄になっている」と報道されているが
ないといわれれば 欲しくなるのが人情だが、特効薬といわれるほど効くものだろうか。
まず考えてみよう。特効薬とされるアマンタジン(商品名シンメトリル)は99年11月A型インフルエンザ用の抗ウイルス剤として認められた。遅れてオセタミビル(商品名タミフル)が2001年2月より、健康保険の適応となり、2002年4月からは小児用のドライシロップも出た。
オセタミビル(商品名タミフル)は資料によると次のように書かれている
このお薬は、インフルエンザウイルスに直接作用し、ウイルスの増殖をおさえます。感染初期に使用することで、症状の軽減と、治りが1~2日早くなることが期待できます。
国内で、プラセボ(にせ薬)を対照とした二重盲検比較試験(252人)がおこなわれています。この薬を飲んでいた人(122人)の症状がよくなった日の平均はおおよそ3日目(70時間)でした。一方、プラセボを飲んでいた人(130人)では、平均して4日 (93時間)かかりました。この薬の服用により、治りが平均で1日ほど早くなることが示されました。 おもな副作用は、吐き気、腹痛、下痢などの胃腸症状です。
さて治りが1日、早くなることで、特効薬と呼べるかどうかは読者の判断まかせる。発症して48時間以内に飲まないと効かない薬だ。症状の軽減については、どうやってわかるのだろう。インフルエンザ、病みあがりの養生が大切で書いたように、最近は40度近い高熱をだす患者さんは少ないから、「タミフルを飲んだおかげで、高熱が出なかった」と考える人が出てもおかしくはない。副作用で、吐き気、腹痛、下痢なんかが出てくるとそれはそれで結構しんどい気もするのだが。
新薬、最初は夢の薬?
だいたい新薬が世に出ると、最初は夢の薬のように宣伝されるものだ。製薬会社の力は大きい。多国籍企業も多い。マスコミの大スポンサーでもある。新薬登場後、数年して、いろいろ実際の患者に使ってみて評価が定着してくる。思わぬ副作用が発見される場合もあるし、効果なしとして退場する薬もある。痴呆に効くとされ広く使われたが、結局 効果なしとされ健康保険からはずされた一部の脳代謝賦活剤の例もある。
インフルエンザ薬、アマンタジン(商品名シンメトリル)は耐性ウイルスをつくってしまう。「シンメトレルを3日間使うと熱が下がってくるが、そこで耐性ウイルスが現われてまた熱が上がるという例が少なくない」という報告があるそうだ。2種類のインフルエンザにかかってしまうのは 願い下げだ。この薬も出始めの頃はもてはやされた。
不安感は免疫力をさげる。アマンタジンやオセタミビルを飲まなくても大丈夫。読者のみなさんも何度かインフルエンザを経験されたはず。何日か布団をかぶって、寝て治したはず。マスコミ報道に踊らされることはない。
はじめに
インフルエンザが流行っているようだ。今年から診断キットが一般化したから、患者さんの方で「私はA型にかかった」「息子もA香港型だった」とか言っている。
高熱をだしてうんうんうなっている時に、結(ゆい)針灸整骨院にいらっしゃる方は あまりいらっしゃらないが、熱が下がった後に「どうも身体のだるさがとれない」「眠くて仕方がない」とか「鼻がいつまでもくずつく」「咳が続いて仕方がない」といって来院される方は多い。
※診断キットには誤差がある。偽陽性と偽陰性が、それぞれ約10%ほどはあるようだ。インフルエンザと判定されても実は違ったり、本当はインフルエンザなのに違うと判定される場合がある。インフルエンザワクチンを接種した後だと、本当のインフルエンザでも「陰性」に出ることもあるようだ
「39℃以上の発熱」というのは実態からずれ
診断キットができて インフルエンザが診断しやすくなったが、40度近い高熱が出たという話はあまり聞かない。知人の鍼灸師や医者に聞いても、最近は40度近い高熱をだす患者さんは少ないという感触を持っているようだ。
国立感染症研究所感染症情報センターのHPでは「インフルエンザの場合は39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。」と紹介しているが、「39℃以上の発熱」というのは実態からずれてきている気がする。
さて熱があがらなくなったのは、いいことか?
免疫力の強い丈夫な人は、そもそもインフルエンザにかかりにくいし、かかったとしても「軽い風邪かな?」という感じくらいで治ってしまう。一方、高齢の衰弱したお年寄りも、症状は激しくない。たいして発熱しない。「ちょっと風邪かな」、「なんかしんどいな」といった感じで、咳などこんこんやっているうちに肺炎を併発したりしている。
熱があがるのは、体温をあげて免疫力を高めるため。ウイルスを殺す薬はないから、この免疫力をいかに高めるかが大切だ。もともと免疫力の強い丈夫な人は、たいして発熱しなくても治ってしまう。衰弱したお年寄りは、非常に免疫力が弱い、体温をあげて免疫力を強めることができない。
肺気虚(はいききょ)という状態に陥ることが多い
インフルエンザにかかって、37~38度の発熱になる人(日本人の中では、比率的には一番、多いのではという気がしているが)は免疫力がちょっと弱めの場合が多いのではと伝統的中国医学では考えている。こういう人は、発熱して頭痛、関節痛、筋肉痛などが落ち着いた後、伝統的中国医学でいう肺気虚(はいききょ)という状態に陥ることが多い。
鼻がいつまでもくずついたり、咳が続いたりするのだ。身体のだるさも続く。インフルエンザの激しい症状がなくなったからといって、すぐにばりばり動くこと、働くこと遊ぶことを考えず、まずは養生。病みあがりで疲弊した身体をゆっくり休めてあげることが大切だ。
鶏肉 卵、私は食べています
鶏肉や卵を食べても、人が鳥インフルエンザにかかることはありません。昨夜も鶏肉のシチューを食べたところです。人が鳥インフルエンザにかかるのは、病気の鳥と近距離で接触した場合、またはそれらの内臓や排泄物に接触するなどした場合が多いといわれています。1997年香港においてH5鳥インフルエンザに18名が感染、6名が死亡していますが、人から人にうつりはしませんでした。鶏から人にも、うつりにくいといわれています。ふつうにスーパーで鶏肉を買って、調理して食べるぶんには大丈夫です。
ウイルスは加熱すれば死にます。食品の中心温度を70℃に達するよう加熱すれば大丈夫です。いつものように煮るなり焼くなりすれば大丈夫というわけです。鶏肉は、補気補陽(ほきほよう)、身体を元気にしたり、暖めたりする作用のある食品です。むやみに不安がって遠ざけることはありません。
鳥インフルエンザ 結局 何がこわいのか
鶏肉 卵は心配ないとすると、これだけ世界が大騒ぎするのは、結局 何がこわいからなのでしょう。
インフルエンザウイルスは突然変異を起こしやすいものです。ウイルスが突然変異して人間へ感染するようになることを世界は恐れているのです。人間や豚の体内で、普通のインフルエンザウイルスと鳥インフルエンザのウイルスが交じり合い、新型インフルエンザウイルスができてしまうことを恐れているのです。新型インフルエンザは大流行する可能性があるといわれています。 食肉産業への打撃もさることながら、将来の危険の芽をつむために、周囲を立ち入り禁止にしたり 鶏や卵を出荷停止にしたりしているのです。
戦時下で大流行したスペイン風邪
インフルエンザといっても免疫力を保っている人にとっては そう恐れるものではありません。結(ゆい)通信No.19と20あたりで書いています。
ところが肝腎の免疫力の低下した状態で、感染しやすい環境にいて、感染力の強い新型インフルエンザに遭遇してしまうとひどいことになります。1918年大正7年の春から翌年にかけ、世界中で猛威をふるったインフルエンザをスペイン風邪といいます。
当時は第一次世界大戦のまっ最中、1914年7月に始まった戦争は当初クリスマスまでに終わると考えられていましたが、結局1918年11月まで続きました。ヨーロッパ西部戦線では、泥水につかった塹壕でにらみ合い、殺しあう膠着状態が続いていました。兵士たちが疲労困憊の極にあった1918年3月、アメリカ軍の兵営で発生した新型インフルエンザはたちまち大流行。ヨーロッパから世界に広がり、全世界で2500万人が死亡しました。日本でも2500万人が感染し、38万人が死亡しました。
戦場の兵士たちは疲労し、食べ物も乏しく、免疫力は極度に低下していました。そして不潔な場所に集団で生活するという最も感染しやすい環境にいました。そこに感染力の強い新型インフルエンザが発生してしまったのです。
結局は免疫力
新型インフルエンザが現代に発生してしまったら、どうすればいいのでしょう。予防接種は無効です。新種のウイルスに対し、ワクチンをつくっている間に大流行してしまうでしょう。間に合いません。インフルエンザウイルスは変わり身が早く、現在のインフルエンザについてさえ、予防接種の有効性に疑問の声があがっている状況です。
私は第一次世界大戦がなかったらスペイン風邪もあれほどの猛威を振るわなかったと考えています。戦場の兵士たちのように暮らさなければ まずは身を守れます。疲労困憊せず、栄養あるものを適度にとって規則正しい生活をおくり、免疫力を保つ。ウイルスに対抗するのは結局、おのおのの自然治癒力、免疫力です。
足三里というつぼに針灸することで、免疫力をあげることもできます。やたらと不安がって、精神的に落ち込み、免疫力を下げないようにすることも大切です。
養生を心がけ、その日その日を大切に生き、楽しむことも忘れない。戦争はしない。これらのことを守れば免疫力を保てるでしょう。