症状と治療のお話し : 手や肘

9歳の女児のアトピー治療

9歳の女児のアトピー性皮膚炎の治療のお話です。
幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされていました。よくなった時期もあったようですが8歳の時から アトピー性皮膚炎が再発しました。今回は全身ではなく、両手の皮膚炎です。
夏に悪化し 10月に来院されました。
約一か月 8回の治療で きれいになくなり治療を終了しました。
 
アンケートはお母さんに書いていただきました。
 
「非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。」とされた上でコメントをいただきました。
 
少し痛い治療もあったようですが、日に日に良くなっていき 本当に有難く思っております。治療前に説明もていねいにしていただいたので不安なくお世話になれました。ありがとうございました。コメント以上。自筆のアンケートは以下からどうぞ。
http://yuisuita.sblo.jp/archives/20211212-1.html
 
◆考察
小児には 刺さない鍼 小児鍼を使う時もあるのですが この時は 刺す鍼を使いました。非常に細い鍼で痛みはほとんどありません。
「少し痛い治療もあったようですが」と書かれているのは当院の独特の治療、「接触火鍼」のことです。鍼先を火で焼いて、チョンと皮膚に触る治療法です。痕にはなりません。ちくっとしますが、それほど痛いものではありません。かゆみがとれジクジクした肌が乾いていきます。女児も目に見えて変化していくので、納得していました。
ただし刺激の感受性は人によって大きく違います。「これぐらい我慢できますか」といつも患者さんと対話しながら治療しています。同じ患者さんでも変化します。たいていは良くなっていくと、刺激を強く感じるようになります。そうなると鍼を細くしたりして適切な刺激に調整していきます。
弱い刺激にこだわる先生もいらっしゃいますが、私は違います。私がこだわるのは あくまで治ることです。2021年12月

心身症?じっとしていても痛い 右ひじの痛みがなんとか治った

世の中には災難というか運が悪いとしかいいようのないことがあります。
野口(仮名)さんは30代初めの働く女性です。調子がちょっと悪くなると結(ゆい)に来院され、治るとしばらく遠ざかるといった調子で通院されていました。
 
○○年5月に来院されました。自宅近くを夜 歩いていると突然 見知らぬ女性に右ひじを足蹴りされました。一言も発せず、突然 蹴られ、そのまま逃げて行ったというのです。通り魔のような犯罪です。一週間たっても強烈な痛みがおさまりません。じんじんと痛みます。診断書をとり警察に訴えても、とりあげてくれません。
 
一週間もたっているので右ひじに腫れも熱もありません。内出血の後もありません。でも じんじんと痛みます。普通の打撲の痛みはここまでひどくなりません。怒りと恐怖と実際の痛みが結びついてしまった痛みです。早く治さないと長引く慢性痛、いやな痛みの記憶になってしまうと考えました。
4週間 8回 治療したところで「当初の痛みを10とすれば今は2である」というところまで回復しアンケートをいただきました。
 
◆アンケート回答
 
非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない、総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は2であるという回答があり以下のようにコメントされました。
 
最初は物を持つだけでも痛く、生活にも支障があったが1週間に2回を3週間続けると生活に問題がなくなるまで良くなった。また利き手だっただけに1ヵ月中には痛くなくなって良かった。まだ重い物を持ったりはしていないのでもう少し様子をみながら治療を続けたいと思います。
 
◆自筆のコメントはこちらから
http://yuisuita.sblo.jp/article/184238369.html
 
◆考察
 
普通はここで3日もすれば治るのですが、野口さんはさらに一ヶ月 4回かかりました。心身症がらみの打撲といえるでしょう。いろいろ工夫して治療しました。右ひじだけでなく脳のまちがった痛みの情報を変化させるようなアプローチも多方面からさせていただきました。
 
◆治療家 医療関係者のみなさまに一言 
野口さんのような痛みに「おかしいな なんでそんなに痛むんだろう」「レントゲンではなんの異常もみられません」「どこにも異常はありません」などと決して発言しないでください。症状がよけいにひどくなる可能性があります。医原病をつくらないでください。
現在の診断技術では異常が発見できないだけなのですから。2018/08/23
 
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
 

耳のつまりとドライマウスがいっしょに治った話 シェーグレン症候群に効く鍼灸

杉沢(仮名)さんは50代の女性です。フルタイムで働かれています。1年前から右耳が詰まった感じが続いていると来院されました。耳鼻科の薬は飲んでいるが、症状が改善しないそうです。
肩こりもひどく、右ひじや右ひざも痛みます。杉沢さんはシェーグレン症候群のため6年前から舌も痛く、口も渇きます。味もちゃんと感じることができません。

治療開始して3ヶ月で耳が治ったのでアンケートをいただきました。右ひじや右ひざも治り、肩こりも以前ほどではなくなりました。
舌の痛みもなくなり、口の渇き等のドライマウスも楽になったので、喜んでいただけました。食べ物もおいしく感じるようになったとのことです。シェーグレン症候群が鍼灸でよくなるとは期待されていなかったようです。

残念ながらシェーグレン症候群は良くはなってもなかなか完治とはいきません。肩こりの治療も兼ねて、時々通院されています。

※シェーグレン症候群とは、自己免疫疾患の一種です。涙腺の涙分泌や唾液腺の唾液分泌がうまくいかなくなる病気です。40~60歳の中年女性に好発し、男女比は1対14といわれています。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【1】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント
初めてうかがったときは右耳がほとんどつまったような感じで聞き取りにくく困っていたが今はほぼ完治した。時々以前のようなつまり感を感じる事はあるがすぐに戻るので問題ありません。
お医者さんの薬だけで半年以上かかってもなかなか改善しなかったのが2.3ヶ月の治療をしていただいて改善したのでもっと早く通院させていただければよかったと思っております。ありがとうございました。

◆自筆アンケートは以下から
http://yuisuita.sblo.jp/article/129235084.html
※治療効果には個人差があります。みなさんが同じように治るわけではありません。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

手が動かない、足が動かない。

結(ゆい)通信No.159 2007/05/25より

ギブスをはずした後、手や肘、肩の関節がうまく動かなくなり困っていませんか

手が動かない、足が動かない。
原因が脳にない時はもっと効きます。

脳卒中の後の後遺症、手が動かない、足が動かない、しゃべりにくい等々の治療に針灸はよく効きますと前号のメルマガに書いたら、「原因が脳卒中以外の時はどうなのですか」と患者さんに聞かれました。
「原因が脳にない時はもっと効きます」とお答えしました。

原因が脳にない時はもっと簡単に動くようになります。
たとえば骨折してギブスで固定した。ギブスをはずしてみたら手の指が動かない。その後ある程度は動くようになったけれど、きちんと伸びない、または握れないという時。
五十肩をそのままにしておいたら、肩があがらなくなって電車のつり革ももてなくなったという時。そういう時は針灸が最適です。

たとえば手の指は、たいてい1回できちんと伸びるようになります(ただし1回で完治というわけではありません。何回が治療して伸びる状態を維持できるようにする必要があります)関節の動く範囲はしっかり広がります。電車のつり革も持てるようになります。

骨の成長を促す鍼灸

針灸が病院のリハビリの中にきちんと組み入れられていればいいのですが、現状はそうはなっていません。ギブスをはずした後、手や肘、肩の関節がうまく動かなくなり困っていらっしゃる方はお近くの信頼できる鍼灸院にご相談ください。

使わない筋肉は簡単にやせていきます。硬くなって動きにくくなります。早めに治すにほうがいいのです。
一番理想的なのはギブスをしている時から治療して、骨のつきをよくすることです。鍼灸で骨折した骨の成長を促すことができます。

結(ゆい)では骨のつきが悪いお年寄りの患者さん中心に時々やっています。ギブスで覆われた部分の皮膚のかゆみも軽くなるので、なかなか好評です。

自分でできること

自分でできることもあります。

ギブスで固められているといっても運動はできます。動かせなくても患部の筋肉に力を入れたり、ぬいたりを繰り返せば血行もよくなります。
骨のつきが違ってきますから是非ためしてみてください。

次に理想的なのはギブスをはずした直後から鍼をして関節が動きやすくすることです。結(ゆい)ではこちらの治療のほうが多いですね。すぐに仕事ができる、家事ができると好評です。
鍼灸をすることで筋肉の再生も早めることができます。