3年ぶりの来院された患者さんの魚の目がきれいに治っていて、再発もありませんでした。
雛元(仮名)さんは3年前に2回ほど魚の目の治療で来院された20代の女性です。肩こりと手足の冷えの訴えもありました。肩こりはすぐに治り、左の足裏の魚の目は自宅で毎日1回、お灸をするようお願いしました。魚の目に直接お灸をしてもらうのですが、そのやり方も教えました。
1ヶ月くらいお灸を続けたところぽろっと取れてその後再発することもなかったそうです。
アンケートでは以下のコメントをいただきました。
5~6年足の裏のタコ(実際は魚の目でした)に悩んで、色々な皮フ科で治療したんですが、全然 治らず痛みに悩んでいました。そこでお灸はが良い事を知り、こちらでお灸を何度か(2回です)してもらい、家でも1ヵ月程お灸をした所びっくりするくらいきれいにとれて、あれから3年程たった今も再発はしていません。本当にありがとうございます。
アンケート以上
魚の目ができるのは気の流れの悪いところです。お灸をすると痛い魚の目がとれるだけでなく、気の流れがよくなり身体全体の調子を整えることができます。毎日、お灸をするのが効果的ですが、続けて来院してもらうのは時間的にも費用的にも大変なので、自宅でのお灸のやり方をお教えしています。どうぞお試しください。
☆すぐに治った少女の捻挫
鍼灸は捻挫の治療も得意です。とくに子供の捻挫は治りが早い。1~2回で治っていきます。先日10代前半の少女がお母さんに連れられて来院されました。昨日、階段で足を踏み外して転倒してしまい、左足首をひねってしまったという訴えです。足を引きずりながら歩いています。鍼をするとすぐに回復、普通に歩き始めました。翌日はクラブ活動のバスケットボールも再開されたそうです。じつはこの少女、4ヶ月前も来院されています。バスケ中にジャンプした後、着地に失敗、同じ左足首をひねっています。この時は痛みのために左足を地面につくことができず右足でケンケンするように来院されたのが印象的でした。この時も1回で治り、すぐに足がつけるようになりました。
少々腫れが残っていても痛みはなくなり、普通に動けるようになります。腫れがひくのも早くなります。腫れているから痛いというのは思い込みでしかありません。じつは痛みは脳の記憶の面もあります。脳の記憶の情報は鍼の適切な刺激ですっと書き換えることができるのです。みなさんもせっぱ詰まった時はどうぞ鍼灸においでください。
写真のアンケートはお母さんに回答してもらいました。
☆膝の痛みがとれました
40代の女性の膝の痛みです。じつは腰にも問題がありました。しばらく座った後、立ち上がろうとすると痛み、うまく歩けなくなるという症状でした。3回の治療で治りました。娘さんは10歳でしたが、原因不明の頭痛で学校も休みがちでした。登校しても保健室へ直行という状態。こちらは1ヶ月に5回ほど治療し、ずいぶん軽くなりました。保健室へ行くこともなくなりました。
先日、50代の男性の足首の古傷と現在の右ひじの痛みをいっしょに治しました。2つの痛みはつながっていました。
鍼灸の専門家の間では常識ですが、一般の方には不思議な現象のようです。
ある50代の男性が久しぶりに来院されました。右腕を酷使する仕事の方で以前は右ひじの痛みで来院されていました。
今日は朝起きたら左の足首が痛みはじめたとのこと。左の足首を2年前に捻挫、それからは時々痛みが出るようになったと言われます。しびれもあります。右ひじは激しい痛みはなくなっているが、重いものを持ったりするとだるかったり少し痛んだりする様子でした。
左の足首も右ひじの痛みも同じ陽明(ようめい)経という経絡(けいらく)、気の流れの上にあります。左足首の捻挫の後に、しばらくしてから右ひじが痛み始めました。
「今日は左足首の治療をします、そうしたら右ひじの残りかすのような痛みもなくなる筈です。」と申し上げると、きょとんとしたような顔をされました。
左の足首に針をしながら、右手にダンベルを持ち動かしてもらいました。いつもなら右ひじの痛むような動かし方をしても痛みはでません。
驚いている患者さんに「経絡のある流れが、傷ついてうまく流れなくなると、対応する兄弟のような経絡のどこかが痛み始めることはよくあります。古傷を治すと新しい傷もいっしょに治ります。」と説明しました。
一般の方には不思議にみえるかもしれませんが、脳の中に書き込まれた古傷の痛みの情報が、なんらかの回路を通じて別の痛みの情報を書き込むのに影響をあたえている可能性があると考えてみてください。少し納得できないでしょうか。 痛みを感じるのは足首でも肘でもありません。脳だからです。
2011年9月の日本中医学会では「中医学の科学的エビデンスを得るために」として鍼灸や漢方薬の作用を光計測によって客観的に証明するための試みが紹介されていました。赤外線計測によって人間の心理状態を計測する方法もありました。経絡の作用を脳の観察から客観的に証明するような研究が出てくることを望んでいます。
☆フラメンコを踊れるようになった
的確な治療ありがとうございました。最近は以前のような極端な夜更かしはなく なり、1日のスタートも早くなりました。捻挫でいった針灸院ですが、これをき っかけに体調がよくなり、災い転じて福になったと思っております。
☆足首を治すために身体も治す、動きながら治す。 50代の女性が足首の捻挫の痛みがなんとかならないかと来院されました。階段を踏み外して傷めたが、1ヶ月たっても治らない、あと1ヶ月後にフラメンコの大会があるのに痛くて練習もできないという訴え。近所の整骨院で治療は受けられていました。 足を踏み鳴らして踊るフラメンコ、当然普通に歩くよりも足首に負荷はかかりますが、踊る時に痛まないようにしないと意味がありません。2回目の治療の時は、フラメンコ用の靴をはいてもらい、足を踏み鳴らして足首に負荷をかけながら、鍼治療をしました。動きながら治すやり方です。靴はタップの音を出すためにかかととつま先に鉄の鋲をうってあるハイヒール。結(ゆい)の木の床が軽やかに鳴りました。痛みはその場でとれ、その晩から練習が始まりました。練習の後、足首は多少重くなりましたがはげしい痛みは出ません。「1ヶ月も安静にしていたのですから、筋力も落ちます。練習を続けていれば筋力も回復し治りますよ。」と励ましながら治療を続け、無事大会を終わりました。 じつはこの女性、「肩がこっていない日はない。」「昼間はぼおっとしてなかなか仕事にかかれない。そのためついつい夜更かしして仕事を片付けてしまう。」といった状態だったのですが、肩こりもとれ、朝にちゃんと起床しすぐに仕事にとりかかれるようになりました。足首の捻挫といっしょに身体全体を治していったからです。じつを言うと身体全体の気のめぐりが悪い時に足首だけを治そうとしてもうまくいきません。身体全体の気がしっかりめぐれば早くきちんと治るのです。☆膝の痛みがとれました
40代の女性の膝の痛みです。じつは腰にも問題がありました。しばらく座った後、立ち上がろうとすると痛み、うまく歩けなくなるという症状でした。3回の治療で治りました。娘さんは10歳でしたが、原因不明の頭痛で学校も休みがちでした。登校しても保健室へ直行という状態。こちらは1ヶ月に5回ほど治療し、ずいぶん軽くなりました。保健室へ行くこともなくなりました。
言葉で病気を治すこともひどくすることもできます
医療関係者たるもの患者さんへの言動には細心の注意を払いたいもの。今回は自戒の気持ちをこめて書きました。
「一週間前に捻挫したんだけど、10日後の発表会に出られますか。整形外科に連れて行ったけど安静にと言われるばかりで。」時々、結(ゆい)に治療に来られるお母さんがすがるような声で電話をかけてこられました。11歳になる娘さんが足関節を捻挫したけれど、10日後にダンスの発表会がある、なんとかならないかという訴えです。
来院された娘さんの足にはまだ内出血の痕が残っています。ただ腫れはそれほどでもない。足をひきずっていかにも痛そうですが、聞いてみると「歩く時の痛みはさほどない。」とのこと。
冷えきった足をあたためながら、針灸治療をしてみると軽快に歩き出しました。「ジャンプしてください。」というとジャンプもできます。「大丈夫!もう治ったよ。ダンスをやってみてください。もし痛くなってもまた治してあげるから。」と治療を終了しました。
すぐに練習を開始。発表会でも元気に踊ったとお母さんから報告をうけました。
いかにも針が効いたかのような話ですが、私は来院された時点でじつはほとんど治っていたと考えています。足のひきずり方から推測していました。治したのは娘さんの「ジャンブしたらこわいのではないか」という恐怖心です。整形外科で安静を言い渡され、発表会の出場も絶対無理と宣告されていました。娘さんも出場は絶対無理と思い込み、痛みへの恐怖にとらわれていました。子どもさんにはよくあることです。暗示を受けやすいのです。
整形外科でX線検査を受け「首の骨に問題がある」といわれた後から頚部の痛みがひどくなった患者さんもいらっしゃいました。
言葉で病気を治すこともひどくすることもできます。友人の鍼灸師が医療関係者の不用意な言動で患者さんの症状がわるくなることを「呪いをかけられる。」と表現していました。みなさんも呪いをかけられないようご注意ください。私も気をつけます。
NHK朝のテレビ小説、「てるてる家族」。結(ゆい)の位置する吹田市のすぐ近くの池田市が舞台になっています。「昭和30年・40年代の大阪を舞台に、パン屋を営みながら4人の娘たちを見事に育てていく肝っ玉母さんと家族の夢と笑いと涙で描いたホームドラマ」とHPでは紹介されています。夫 岸谷五郎 妻 浅野ゆう子に四人姉妹、これに岸谷五郎の祖母という家族ですが、祖母 藤村志保 は針灸院をやっているという設定で、ちょっと気になって観ています。
浅野ゆう子がスケート場でころんで打撲。さっそく針灸院に運び込まれたところで、浅野ゆう子が「打ち身に針うってもろうてもしぁあないんと違いますか」の言うと藤村志保は「針灸をなめてもろうたら困る。大体のものは治るんやで」と決然と応じ、針をうっていきます。「そのとおり!」とテレビの前で叫びたくなりました。打撲や捻挫に針はよく効くのですが、意外と知られていません。新鮮な打撲、捻挫のズキズキする痛みをとり、腫れをひかせ治りを早くします。
温めてみたらどうですか
時間のたった打ち身 打撲 捻挫にいつまでも冷シップをしている方がいらっしゃいますが、ちょっと考えものです。
ズキズキする痛みがなくなり、さわってみて患部の熱い感じがなくなったら 今度は温めたほうが早く治る場合が多いですよ。
古い捻挫の治し方、とくにスポーツで痛む時
第56号でやってしまったばかりの捻挫治療について紹介したところ古い傷はどう治すのかという質問をいただきました。スポーツで痛めてしまい、いったん治ったようにみえてもスポーツをした時に痛む捻挫をどうするのかという質問です。日常生活程度では支障はないが、なかなか治らない、スポーツがうまくできないから困るというのです。
自宅では生姜(しょうが)療法をお試しください
自分でできるやり方としては、生姜(しょうが)療法をおすすめしました。すりおろした生姜を市販のお茶パック、麦茶を煮出すときに使ったりするパックにいれて、温めます。電子レンジを使ってもいいし、フリーザーパックにいれてそのままお湯の中に入れて温めてもいいです。適当にあたたまった生姜(しょうが)パックを患部につけてサランラップをまきます。さらにその上からタオルをまいて熱を逃がさないようにして暖めます。そのまま15分程度おきます。最初の熱がさめても生姜(しょうが)の効果でポカポカしてきます。
ただし、生姜(しょうが)療法は患部がいつまでも熱をもっているような場合にはお勧めできません。お風呂に入った後にかえって痛むような捻挫にはお勧めできません。
針をしたまま走る
針灸は古い捻挫によく効きます。しかも早い。足首や足の指の捻挫がいつまでも治らないということが多いのですが、この場合はたいてい1~2回で治ります。針はふつうベッドに横になったり、イスに座ったりして受けるものと思われていますが、面白い治療法を使う場合もあります。あるつぼに針をしたままスポーツと同じ動きをしてもらうのです。たとえば足関節を捻挫して、歩くぶんにはなんともないが、走ったら痛いという場合、手のあるつぼに針をして走ってもらいます。
結(ゆい)の中は狭いので、その辺を走ってきてもらいます。患者さんは最初けげんそうな顔をして出て行かれますか、帰ってきたときはうれしそうな顔に変わっています。走っても痛くなかったからです。あるつぼに針をしたままスポーツと同じ動きをしてもらうという治療法は捻挫に限らず、運動で傷めた関節によく用いるやり方で、よく効きます。
見えやすいものに原因があるとは限らないのです
頚部が痛い、足のかかとが痛い 骨はたいてい関係ありません
頚部が痛いとか 凝るとかいって来院される患者さんたちの 多くがこんなことをおっしゃいます。
「レントゲンをとったら骨に異常があるといわれました」不安そうにこうつけ加える方もいらっしゃいます。
「治らないんでしょうか」
私はたいていこんなふうに答えます。
「大丈夫 治ります。骨の異常は治らないけれど、つらい症状はとれます」「だいたい骨の変形が その痛みの原因かどうかもわかりません」
足のかかとが痛いといって来院される方もいらっしゃいます。最初は、朝歩き始めが痛いといった症状からはじまります。ほおっておくと、だんだんひどくなり、いつも痛いといった状態になります。たいていは、ここまで状態が悪化されてから 来院されます(早めに治療を開始するほうが治りやすいのはいうまでもありません)
足のかかとが痛いという場合、整形外科に最初にかかられ、物足りなさから結(ゆい)にいらっしゃるといったケースも多いのですが、レントゲンを撮ると、足のかかとの骨にとげのようなものができている時があります。患者さんはびっくり!「治らないんでしょうか」ときます。
私の回答は頚部の時とほぼいっしょです。
「大丈夫 治ります。骨のとげ(骨棘、こつきょく)は治らないけれど、つらい症状はとれます」「だいたい骨の変形が、その痛みの原因かどうかもわかりません。痛みが出やすい状態の時に、骨のとげもできやすいのかもしれませんね」
頚部の痛みが治っても、骨の変形に変化なし。かかとの痛みがとれても、骨のとげは変わらずというのは、専門家の間ではよく知られている事実です。
痛みをおこしている身体全体の状態に注目
伝統的中国医学では、こういった痛みを痛い場所で気の流れが滞っているため、気滞(きたい)のためにおこると考えます。
気の流れが滞っている状態を助長するのが 湿邪(しつじゃ)と呼ばれる身体内の過剰な水だったり、お血と呼ばれる行き場を失った古い血だったりします。
気が消耗して、流れる勢いをなくすこともよくあります。疲れたときに、どこかが痛みだした経験ありませんか。
痛い場所だけに注目しない。痛みをおこしている身体全体の状態に注目するというのが伝統的中国医学による針灸の大きな特徴です。気を補って、蓄積した疲労をとったり、新陳代謝を活発にしたり、おしっこをよく出るようにして湿邪(しつじゃ)をとったりといろんな方向から身体に働きかけます。
痛み止めの薬でとにかく痛みを感じにくい状態にもっていき、そのうち身体の方で勝手に治ってくれるのを待つのとは 大きな違いです。
思い切ってお医者さんに質問を
見えやすいもの、わかりやすいものに原因があるとは限りません。骨の形はたいてい年をとると変形してくるもの。しわがよるようなものです。骨の変形があるからと悲観しないでください。
患者さんのおっしゃることをよく聞くと、医者が「骨の変形は治らない」と言ったのを「この痛みはなおらない」と誤解なさっている場合が多いようです。お医者さんに質問したり、問い返したりするのがなかなかできないという方は まだまだ多いようです。
後でいろいろと思い悩むよりは 思い切ってお医者さんに質問するようにしませんか。
くよくよすると痛みはよけいひどく感ずるようにもなるのです。
「膝の水は抜くとくせになる」とおっしゃる患者さんが結構いらっしゃいます。
実際はどうなのでしょう。
関節にたまる水は 膝に炎症があると出てくるものです。炎症が治らないといつまでも出てきます。整形外科で膝の水を抜いて、痛み止めを飲んで痛みを感じなくさせると、確かに一時的に楽にはなります。でも膝の炎症が治っているわけではないので、また動いていると、膝に水がたまります。痛み止めを飲んで痛みを感じなくなると、膝が悲鳴をあげているのにも気づかず動き回ります。炎症が悪化し、水がたまります。
これでは膝の炎症はいつまでたっても治りません。だから「膝の水は抜くとくせになる」といわれるのです。水を抜くこと自身がくせになるわけではありませんが、ひどくなったら水を抜いて、痛み止めを飲んで治ったと錯覚してしまうことが、結局は長引かせているのです。一時的な楽を求めて、ごまかしを続けている状態です。
それに痛み止めは 鎮痛解熱剤です。鎮痛解熱剤(非ステロイド性抗炎症薬)には胃腸障害や腎障害、肝障害などの副作用もあります。とくに胃壁に悪影響があり、胃潰瘍や消化管出血の原因となります。
最近はインドメタシンなど鎮痛解熱剤と同じ薬を使った塗り薬、シップなども市販されています。一時的に使うのならとにかく、長期に漫然と使うのはお勧めできません。飲まないでも皮膚から吸収されますから、胃腸障害や腎障害、肝障害などの副作用も同じです。飲み薬には神経質でも 貼薬には無頓着な方が多いですね。病院に行って山のようにシップをもらうのはいいのですが、インドメタシンなどを含むものかどうか 一度確認されたほうがいいでしょう。
針灸で治療していると、膝の水はゆっくりとひいていきます。水がほどほどに引くのと、いっしょに膝の痛みやこわばりもとれていきます。膝の炎症を直接 治していくから水が再びたまることもありません。全身を調整し、膝の周りの筋肉も強くします。
炎症というと「冷やしたほうがいいのですか」とすぐに聞かれますが、そうでもありません。暖めたほうが楽になることも多いのです。暖めたほうが楽な時はあたためてください。