やっぱり入浴は素晴らしい!
「ゆっくりお風呂につかってください」患者さんに「自宅で気をつけることは?」と聞かれた時に、よくお願いしていることです。それを裏付けるような研究が2018年11月13日の日経新聞夕刊に掲載されていました。
☆週7入浴 介護リスク減 千葉大など、リラックス効果か
1週間に7回以上湯船につかって入浴する高齢者は、週2回以下の人に比べて要介護認定のリスクが約3割減少するとの調査結果を、千葉大などの研究グループが13日までに発表した。入浴によるリラックス効果が認知機能低下や抑うつの予防につながっている可能性があるという。以上 日経の記事の要約
65歳以上の男女計約1万4千人を対象に3年にわたって実施された調査です。中医学では高齢者は陽の気が不足するとしています。入浴して身体をゆっくり温めれば、陽気を補えます。
身体を落ち着かせる要素。陰が不足して身体が熱い、長くは入浴できないという高齢者の方も まれですがいらっしゃいます。こういう方は不眠でも悩んでいらっしゃいます。中医学的鍼灸で補陰補腎という作用のある治療を受けていただくと、落ち着いてお風呂に入れるようになるし、ゆっくり眠れるようになります。体調がいろいろよくなります。
じつは私は1週間に14回 湯船につかって入浴しています。夜だけでなく朝もお風呂に入っています。早く体温を上げ、脳を活性化させ 朝一番の患者さんから万全の状態で治療できるようにするためです。朝食も必ず 温かいものをとっています。
日経の記事は有料のため、11月12日 NHK千葉放送局の記事を紹介します。2018年11月
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20181112/1080004272.html
世の中には疲れやすい方と疲れにくい方がいます。そして疲れにくい方の中には、本当に疲れにくい方と疲れに気づきにくい方がいます。本当に疲れにくい元気な方はいいのですが、疲れに気づきにくい方の疲労の蓄積が大問題です。うつ病になりやすいタイプのひとつです。
◆疲れに気づきにくい方の自己診断法
疲労感を少ししか感じていない状態が前提です。
1.仕事をしていると疲労感を感じない。休日も外出してばかりいる。じつは休日に自宅にいると身体がだるく感じる。外に出ると楽になる。
2.最近 イライラしていると感じることがある。むしゃくしゃすることが多い。
3.早朝に目が覚めることがある。寝つきが悪いことがある。
4.原因不明の微熱がでたりしたことがある。吹き出物が多い。
5.冷たいものがのみたくなる。のどがかわきやすい。
6.声がかれたり、のどに違和感を感じたり、鼻がつまったりしやすい。
以上のうちの2~3つあてはまる方は要注意です。疲労感を感じにくく体調を崩した患者さんの傾向を私が伝統的中医学の視点から書き出してみました。
人の身体には陰(いん)と陽(よう)があります。陰陽ともにまあまあ調和とれている状態が健康です。陰陽は西医の自律神経に近い考え方です。陰が減るとバランスが崩れ、身体が異常な興奮状態になり疲れを自覚しにくくなります。1は自宅で興奮が収まると、疲労感がわかる状態。2は興奮が怒りに転化している状態。3と4と5と6は陰がへって身体に妙な熱がこもっている状態です。とくに6は免疫系がおかしくなっている可能性があります。
元気なのではなく疲労を感じるセンサーが弱くなっているのです。
意識的に睡眠時間を確保するようにしてください。7割ほど疲れたと感じたときはすでに120%疲労している状態です。早めに休養をとってください。冷たいもののとりすぎは身体をひやします。氷を口に含んで口内をさましてください。
◆鍼灸治療に来ていただければ、疲労を回復し、なおかつ疲れを自覚しにくい状態を正常にもどすことができます。
2014年1月10日掲載
1.体内時計の乱れ
お正月は宵っ張りの朝寝坊になる方が多いようです。仕事や学校が始まっても、夜更かしがなかなか治らず、睡眠時間が短くなりそのためにさまざまな不調がおこります。耳の調子がおかしかった方が再発したり、不眠がひどくなったりします。午前中ぼおっとする症状がひどくなったりします。今度の3連休、平日と同じように起きて体内時計が乱れないようにしてください。もちろん針灸できちんと治せます。
2.おなかがはる、身体が重い、肩がこる
食べすぎで胃腸の調子が悪くなった人、食べすぎて身体に余分な湿邪がたまり身体が重くなった人、湿邪から気の流れが悪くなり肩こりがひどくなった人がいらっしゃいます。腹6分目を心がけてください。生姜を食べてください。もちろん針灸できちんと治せます。
3.とにかくしんどい、身体がだるい、気分がしずむ
独り暮らしの方、家族やお連れ合いと仲の良くない方に時々みられる症状です。吐き気がしたり、訳もなく悲しくなったり、腹がたったりといろいろです。日本は「みんな同じ」で安心する社会、同調圧力の強い社会です。
クリスマスの時はカップルが、正月は家族のきづながマスコミで強調されます。これがこたえる。自分だけがおいてきぼりなったような気持ちになります。家族とうまくやれない自分を責めるのです。無意識のうちに調子が悪くなる人も出てきます。
調子が悪くなるのはあなた1人ではないし、家族と距離をおくことで安定するならそれでいいではないですか。悪いのはあなたではありません。ひとつの価値観を強調しすぎるマスコミに配慮が足りないのです。もちろん針灸で楽になります。
海水浴帰りの患者さんを治療しました。
1日中、海岸にいただけなのに疲れて疲れて仕方がない。肩もこるし頭痛もしてきたということで仕事を早引けして来院されました。
治療して頭痛も肩こりも取れ、ことなきをえたのですが、「次からはサングラスをしてください」とお願いしました。中医学では強い光を見続けると疲れるといわれています。肝血虚(かんけっきょ)という状態の時に顕著ですが、肝血虚でない方も多少の影響はあります。
肝血虚の方は手足がしびれたり、つりやすくなったりします。爪がもろく、変形しやすくなります。目が乾燥したり、目がかすんだり、しょぼしょぼしたりします。光をまぶしく感じます。めまい耳鳴りがおこることもあります。
普通に生活して仕事している人ではそこまでいかなくても、プチ肝血虚のような症状は女性によくみられます。もちろん針灸で治療できます。
お盆が近づいてきました。
久しぶりに孫に会うのを楽しみにされているおじいちゃん、おばあちゃんも多いことでしょう。お孫さんの赤ちゃんのあせも、少しぐらいは大目に見てあげてほしいのです。お孫さんを心配されるお気持ちはよくわかるのですが。
人の汗腺、うまく汗をだす能力は2歳ぐらいまでにつくられると言われています。
赤ちゃんは1日に一度くらいはたっぷり汗を出して汗腺の発達をうながすことが大切です。あせもが少しくらいできるかもしれませんが、暑さにきちんと対処できる身体をつくることの方が大切です。
あせもをつくらない一番のやり方は1日中、低めの冷房の中にいること。でもそれではきちんと汗が出て、暑さに耐えられる身体をつくることができません。
あるお母さんを治療したときのことです。
私「時には外に出て、汗をかかせてあげてください。」
お母さん「でもあせもをつくるとお姑さんにいろいろ言われるんです。」
こんな会話を何人ものお母さんと交わしてきました。
家庭への冷房の普及は70年代後半から80年頃といわれています。20代30代の若い人ほど暑さに弱い人が多いと感じています。弱い人は暑くなるのではなく苦しくなるのです。冷房の普及と関係している可能性は大。
赤ちゃんの時にしっかり汗をかかなかったのかもしれません。
北海道で育ち、成人してから大阪にきて体温調節に苦労されている患者さんもいらっしゃいました。
鍼灸は汗をかけない、熱のこもりやすい、暑さで苦しくなる身体の状態も改善することができますが、まずは赤ちゃんの汗腺の発達に気配りしてください。
もちろん熱中症にも気をつけながら。
冷房は1960年頃からオフィスに入り始めたました。家庭への冷房の普及は70年代後半から80年頃といわれています。
ヒートアイランドと化した都市で冷房の必要なことは自明ですが、一方ほとんどの時間を冷房の中で過ごすことで体温調節機能の退化がはじまっているのではないかと危惧する学者さんもいらっしゃいます。
6月29日発行の結(ゆい)通信No.313で暑さに慣れる暑熱順化について書きましたが、発汗生理学や環境生理学が専門の愛知医科大学の菅屋潤壹教授は「夏季にはエアコンディショニングが常識化したため、夏季に自然に生じる暑熱順化は起こりにくくなっていると言われる。事実だとすれば、熱射病の予防にとっては大きな脅威となる。」と警鐘を鳴らされています。
臨床に携わっていて、20代30代の若い人ほど暑さに弱い人が多いと感じています。弱い人は暑くなるのではなく苦しくなるのです。
70年代後半から80年頃の冷房の普及と関係している可能性は大。
時には戸外で運動し、汗をかくのもいいしゆっくりお風呂に入るのもお勧めです。ただ運動できないほど疲労している人が多いのも事実。
過労の人に運動はさらなる疲労をもたらすだけという面もあります。お風呂に入ってものぼせてしまう場合もあります。浴室をしっかり換気すること、アイスノン等を頭にのせて、頭を冷やしながら浴槽につかってください。
鍼灸は重い、だるい、しんどいを治すだけではありません。
汗をかけない、熱のこもりやすい、暑さで苦しくなる身体の状態も改善することができます。
快適にしていいんです
前号では関西電力管内の電力不足は8月の昼間ピーク時のみの3時間の節電でのりきれます、世間の雰囲気に過剰反応して、エアコンを自粛しすぎる必要はありませんと書きました。その後「気兼ねなくエアコンを使えるようになった」「身体をこわしてまで節電するのはおかしいですよね」といった声を患者さんたちから聞くことができました。
じつはエアコンの自粛で私が危惧していたのは高齢者の熱中症だけではありません。パニック障害、自律神経失調症の患者さんたちの症状悪化です。
6月だというのに急激に暑くなった気候はパニック発作やさまざまな不調をもたらします。鍼灸治療に加え、適切にエアコンを使い体調管理することが必要です。しかしパニック障害や自律神経失調症の患者さんは周りを気にしすぎる方が多く、世間の雰囲気に影響を受けやすい。エアコンのスイッチを入れることを躊躇してしまうのです。 「快適にしていいんです」「エアコンを使ってください」最近は毎日患者さんに呼びかけています。
暑熱順化、暑さに慣れる
「今からエアコンを使ってしまったら、8月は耐えられなくなるんじゃないですか」と患者さんからいわれることもあります。 「大丈夫、人の身体は暑さに慣れることができるんです」とお答えしています。 暑くなって10日~14日程度たつと暑さで急に体温が上昇しすぎたりすることが減ってきます。暑くなったばかりの時期、今がしんどいのです。
やがて春より汗をたくさんかけるようになり、暑さに耐えられるようになっていきます。たくさんかけるようになった汗の塩分濃度は低下します。 身体から大切な塩分がなくなっていくのを防いでいるのです。血液の塩分濃度が低下すると足や腕や腹の筋肉が痛んだり、けいれんしたりします。それを防ぎます。 また塩分が薄くなった汗の方が蒸発しやすく、気化熱で暑さを逃がしやすくなります。
暑さに慣れることを暑熱順化といいます。ただエアコンの中ばかりにいると暑熱順化がおこりにくくなるのも事実ですから、エアコンで一息つきながらも時には戸外で汗をかきましょう。どの程度、暑い環境に身をおくかは個人によって違います。 鍼灸は汗をかけない、熱のこもりやすい身体の状態を改善することができます。
気温が上がってきました。暑くなってくると意外に増えるのが寒湿(かんしつ)の痛みやこり、冷えと湿気から気のめぐりが悪くなります。首が回らなくなったり、腰が痛くなったりするのです。
暑がりは冷やす
自称「暑がり」の方、中でも身体の熱が上の方、頭の方に偏っている方に多いのが特徴です。 本人は薄着でちょうどいいのだけれど、じつは腰が冷えすぎていた。ちょっと腰をひねったら突然痛み始めたというような事例が増えます。ぎっくり腰です。予防には腹巻をお勧めします。
朝起きたら首の左側が痛み、首を動かせなくなったということもおこります。寝違いです。左側にある窓を開けて寝ていたとか、エアコンの位置が左だったとかいう場合が多くみられます。窓を開けたいときは天気予報をみて最低気温や風の強さを考えてください。 エアコンは設定温度や動作時間を考えてください。暑くて寝付けない時はアイスノン等で頭を冷やすことをお勧めします。しばらくしたらさめてくるからです。 いつまでも冷たいままだと寒湿(かんしつ)で気が滞ってしまいます。じめじめ梅雨、冷やし方も工夫してください。
当院には高いスキルを持ち、しっかり仕事をこなす方々が、多数患者さんとして 来院されています。優秀な方々に共通するのは集中力の強さです。
「ちょっと夢中になっていたらすぐに夜中の0時を回っています」「仕事中は痛くなかったけれど、その後に夜になって痛みはじめ、眠れませんでした」技術系の仕事をされている40代の男性は1日中、バソコンの前に座っていらっしゃいます。夜の腰の痛みは2回の鍼灸治療でなくなり、男性はさらに仕事に励まれています。 「携帯のタイマー機能等を使って音を鳴らし、1時間に1回程度立ち上がって軽い運動をしてください」とお願いしておきました。 集中力の強い方は時間を忘れて仕事を続けることができます。鍼灸治療は集中力をさらに高め、気の流れをよくすることで、首や肩、腰の痛みを予防できます。 でも途中、1分でも軽く身体を動かしてもらえばもっといいのです。もっと気がめぐります。 別の腰痛の40代の男性の患者さんは、「腰が治っただけでなく、肩もこらなくなった。これで仕事がもっとできる」と喜ばれました。個人事務所を構えるこの方は体調がよければ、深夜までパソコンで仕事を続けられます。
「よくなったらよくなった分だけお仕事なさるのは結構ですが、1時間に1回程度、タイマーを鳴らして身体を動かしてください。数分の休憩で腰痛をさらに予防で きます」とお願いしました。集中力のある方は休憩や身体を動かすことを忘れがちです。携帯のタイマー機能、音やバイブをうまく使ってください。身体を動か し、気をめぐらせてください。1分でも30秒でもいいです。お願いします。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
2004年6月は気温も上がったり下がったりで、大変です。 夏に出やすい症状と対処法をいくつか紹介します。
昔からの定番。下痢 やわらかい便
夏は暑い。暑いと冷たいものがほしくなる。冷たいものを飲みすぎる。 下痢 やわらかい便になり、おなかがはってくる。腹痛になる時もある。 ということで、下痢 やわらかい便は昔からの夏の定番といっていいものです。
おへそを暖めてください。
こんにゃくを煮て、タオルを巻き おへそを暖めるといいですよ。 食欲不振にも効きます。
夏風邪もおへそを暖めて
おへそを暖める治療法は 夏風邪にも効きます。 ちょっと意外な気がしますが、試してみてください。
冷房と暑い外を いったりきたり することを「逆気」といいます
夏なのに 突然 寒い日があったり、冬なのに突然あったかい日々 が続いたりする気候の状態を 古代の中国人たちは「逆気」と呼ん で警戒しました。いろんな病気、とくに風邪をひきやすくなるからです。 さて大阪の夏はどうでしょう。 冷房と暑い外を いったりきたりするのはまさに「逆気」です。 汗をかいたまま急に冷房の強いところに入り、涼しいなという感覚の後に、 汗が冷えて急にぞくぞくしてきたという体験はありませんか。
汗をきちんと拭くこと、できれば着替えることがいいですね。 それから、首筋を冷やさないように注意してください。 スカーフや上着を上手に使って下さい。
首がまわらない
当院では 夏になると首がまわらないという患者さんが増えます。 寝違いです。当院の鍼灸の場合は ほとんど一回の治療で治ります。 とくに暑くなった時期に増えます。下痢とちがい最近の現象です。
エアコンや扇風機の使い過ぎが原因。エアコンの冷気や扇風機の風が 寝ている間に 身体の「気」の流れを滞らせてしまうのです。 素人療法がさらに事態を悪化させます。なんとか治そうと強い力で もみすぎる方が多いのですが、 たいてい「もみ返し」のような状態となり、 もっと痛みはじめます。
お家でなんとかしようという場合はまず 、朝からでも、お風呂にゆっくり はいってみてください。お湯のシャワーを患部や背中にあててみるのも いいでしょう。決してぐいぐいともまないでください。 大阪の夏の夜は暑い。エアコンを使うなとはいいません。 設定温度に気をつけてください。扇風機の風は眠る時は 直接 身体にあてず 壁かなにかで反射させるようにしてください。直接は体温を奪いすぎます。
男の人に一言。
たいていの場合 女性の方がエアコンの寒さを敏感に感じます。 女性の方の感覚にあわせてあげてください。そのほうが結局 あなた(男)の身体にもいいのですから。
キーワードは湿邪(しつじゃ)
今年の秋から冬にかけての、身体にあらわれやすい不調について書いてみます。ちょっと思い当たるふしのある読者の方がいらっしゃるかもしれません。キーワードは体内の余分な水分=湿邪(しつじゃ)です。
今年は春から雨の多い天気が続きました。雨が多く、湿度が高いと、身体も影響を受けます。外に水が多いと、中の水もふえます。体内の余分な水分(湿邪)が増え、気の流れる道、経絡(けいらく)をつまらせ、気のめぐりが悪くなるのです。おもい、だるい、こるといった感覚が強まります。
水が熱をもつ?
やっと寒くなってきましたが、秋から冬にかけては気温があまり下がらず、湿邪が湿鬱化熱(しつうつかねつ)=とどこおった湿邪が熱をもつといったことがよくおこるようになりました。 水が熱をもつというのは一見 変な考え方ですが、たとえば湿気の多いところは皮膚病、皮膚炎がおきやすいといった現実からイメージしてください。赤みをおびた皮膚炎を中国伝統医学では湿邪と熱が、結びついたものと考えます。大小便をよく出るようにして水と熱をきちんと身体から出して皮膚炎が治るのを助ける治療法もあるくらいです。水が熱をもつといっても原因である余分な水をきちんと出せば熱をなくせるわけで、身体を活性化させるためにお灸でつぼを暖めたりもします。
冷えのぼせ、頭痛
熱は上のほうに上がりやすいので、頭が熱をもちやすく、冷えのぼせがおきやすいようです(氷で冷やせばいいというものではありません)こうなると頭痛、歯痛、めまい、耳鳴り、目のかすみ、目の奥の痛み、不眠などが出てきます。
風邪の後、しんどい咳が続くといった患者さんもよくみられました。痰は少なく黄色い色をしています。気管支炎です。中国伝統医学ではこんなとき、肺に熱があるといいます。夜に咳き込んで眠れないことが多く患者さんにはつらい症状です。もちろん針灸できちんと治療できます。
湿邪は下に
湿邪がおなかにくると食欲不振、倦怠感、軟便下痢となります。風邪のウイルスが胃腸にきて、胃腸炎をおこすといったこともよくみられます。 湿邪は 水ですから下にたまりやすく、腰から下にたまると腰痛、坐骨神経痛、膝関節痛、下肢のむくみとなります。今年もいろいろと治療しました。
一番の予防は冷食を控えること
読者の皆さんが、普通の生活の中で体内の余分な水分=湿邪(しつじゃ)をためない秘訣はなんでしょうか。ずばり冷食、冷たいもの、身体を冷やすものを控えることです。生ものも身体を冷やしますから、お刺身はほどほどになさってください。生野菜のサラダもほどほどに。温野菜をこころがけてください。外食のときは、出される水に氷を入れないように注文してください。 2003年ももう少し、なにかと気ぜわしい毎日ですが、お体 お気をつけください。
10月になって、寝つきがわるくなった、夜中に目が覚めるようになったという患者さんがちらほら来院されるようになりました。私が秋を実感するときです。
中国伝統医学では秋は収める時期です。作物が収穫の時を迎えるように、人の身体も冬に向かって収斂(しゅうれん)していきます。身体が気を大切に保ちながら静まっていきます。人の身体は陰と陽でバランスを保っていますが、収斂させていく時期には陰の要素がより必要とされてきます。鍼灸治療では、秋は陰を補う作用のあるつぼを使い、患者さんの身体が健やかに冬を迎えることができるように手助けしています。患者さんの訴える症状と直接の関係は薄くても、秋には隠し味のように陰を補う作用のあるつぼを使い、患者さんの身体の陰陽のバランスをとっていきます。
陰の要素が足りないとどうなる
日頃から陰の要素、あるいは陰の要素に似た働きをする血の少ない方(西洋医学の貧血のことではありません)に症状が出ます。陰がたくさん求められている秋だからこそ、陰の足りないためにおこる症状が出てくるのです。陰の要素の足りないためにおこる症状の代表的なものが不眠です。明け方、身体が熱くなり寝汗をかいて目が覚めることもあります。
ほかにはめまい、目や口やのどの乾燥、便秘、午後から夜にかけての熱がでてくるなどです。腰がだるくなる場合もあります。
人によっては妙に臆病になったり、逆にイライラしてちょっとしたことでひどくおこるようになったりする場合もあります。じつは精神疾患の発症する季節的な第一のピークは春ですが、第二のピークは秋です。 陰の要素に似た働きをする血の少ない方の場合は、手足がしびれる場合もあります。
眠らない生活を続けていると眠りにくくなる
眠りは陰の要素を養うもの。眠れないといよいよ陰が足りなくなり、陰の要素の足りない状態=陰虚(いんきょ)が悪化していきます。季節が変わり楽になればいいのですが、悪循環から悪化する場合もあります。
眠りは陰の要素を養うものですから、日頃から陰虚(いんきょ)の方でなくても睡眠時間を削った生活を続けていれば、陰虚(いんきょ)となり不眠をはじめとする諸症状に苦しむ場合もあります。眠らない生活を続けていると眠りにくくなるのです。十分な睡眠時間を確保されるよう気をつけてください。
陰を補う作用のある食べ物
陰を補う作用のある食べ物をいくつか紹介しておきます。
黒ゴマ、黒大豆、きくらげ、いか、牡蠣(かき)、貝柱、豚肉、かも肉などです。おいしく食べて、ぐっすり眠りましょう。
春から梅雨!?
大阪は今年、雨が多いようです。ここのところは晴れた日が続いていますが、突然の雷雨が襲ってくるときもあります。
私は、患者さんに「今年は春から梅雨ですね」と話しています。5月といえば、からっとして爽やかな日が多いはずなのに、梅雨がきたみたいです。「おもい、だるい」がキーワードです。倦怠感です。何をする気もおきなくなります。雨が多く、湿度が高いと身体の中の代謝しきれない水分、湿邪(しつじゃ)も増えます。
「外湿(がいしつ)が多いと、内湿(ないしつ)、身体の中の湿邪(しつじゃ)も増える」と中医学ではいいます。 湿邪(しつじゃ)は水で、水は下にさがりますから、足も冷え、下腹部もぽこっと出てきて、おなかが張ってきます。ひどくなると下痢をします。みょうに口がかわき、冷たいものが飲みたくなる気持ちになることもあります。 からっと乾燥したところにゆっくりと旅行でもできれば、結構元気になるのですが、なかなかそうもいかないでしょう。
「おもい、だるい」を治すには
自分でできる「おもい、だるい」、倦怠感、湿邪(しつじゃ)への対処法は、まず暖かい食事をすることです。おもくて、だるくて食事をきちんと作る気がしないからといって、簡単に食べられる刺身とか生野菜のサラダのようなものばかり食べていると、ますます「おもい、だるい」になります。身体を冷やし、湿邪(しつじゃ)を追い出すことができなくなります。 新陳代謝をたかめる暖かい食事をとることが大切です。冷たいビール、発泡酒もほどほどにしてください。焼酎はロックよりお湯割りです。
針灸が湿邪(しつじゃ)を追い出し、「おもい、だるい」、倦怠感をなくすることができるのはいうまでもありません。
伊達の薄着はやめてください
2004年の春は雨が多く寒暖の差が激しいですね。雨が多く、湿邪(しつじゃ)、余分な水が身体に たまりやすくなっています。寒暖の差が激しくいつまでも寒く感じられます。湿邪(しつじゃ)多く、身体が重くだるく感じます。身体の陽の気が十分に身体をめぐることができず、頭痛が出たり首や肩が痛んだりします。腰も痛くなったりします。
寒暖の差が激しく、寒さにやられて風邪をひいたり、おなかを冷やして下痢をしたり、おなかの動きがとまって腹痛が出たり、食欲がなくなったりします。便秘に苦しむこともあります。急に暖かくなって、そこから頭痛やめまいに苦しむ人もいます。こまめに服装をかえて調整してください。春なのだからと伊達の薄着はやめましょう。
湿邪をとり、身体の陽の気を十分にめぐらせるには自宅でお灸するのもいいですね。自宅でするお灸のつぼも、実際は個人個人にあったものが大切です。また同じ人でも、身体の状態の変化によって適切なつぼも変わります。
当院では自宅でお灸する意欲のある方には針灸治療と並行してつぼの場所を指導しています。
自律神経のバランスを崩す方が増えそう
中医学の考えでは 2004年の春は、例年よりも胸が苦しくなったり、吐き気がしたり、息がしにくい感じがしたりする方や、自律神経のバランスを崩し神経症やうつ病を発症する方が増えそうです。ゆったりと暮らし、規則正しく寝起きする毎日をお送りください。早寝早起きが理想的ですが、遅く寝て遅く起きるというのでもかまいません。睡眠のリズムを守ることを心がけてください。つらいときは早めに治療におこしください。気力でのりきろうとかいうのはほどほどに。じつは、うつ病になるのは、「気力でのりきる」とやたらがんばる方に多いのです。初期のうつ病は、朝早く目が覚めるとか午前中ぼおっとするとか身体がだるいとか、無理すればがんばれる程度の症状です。無理はほどほどになさってください。
眼精疲労 目の疲れ
は 眼の疲れを訴える人が多くなってきます。 眼の充血やなみだ目、眼のかすみ、眼の痛み等です。進行すると目の周囲の圧迫感や痛みを感じるようになり、身体がだるくなり、集中力がなくなってきます。そして頭痛や肩こりといった、症状もでてきます。 じつは目の疲れも、中医学(中国の伝統医学)では、肝血虚(かんけっきょ)という、全身的な血の不足と血の流れの悪さが関係していると考えています。とくに二月から四月にかけては、目の奥の痛みや、眼の充血やなみだ目がおきやすくなっています。
はりきゅうやマッサージの治療を受けてください。そのほかのつらい症状もいつのまにか消えていますよ。
こんな症状にお困りではないですか?
全部 春の季節におきやすい症状です。人の身体も植物と同じ面があります。中医学(中国の伝統医学)の考えでは、春になると、冬の間は静まっていた人間の身体の「気」が動き出します。「気」の流れる道、経絡に故障があると、いろいろと困った症状が出てくるのです。
残念ながら夏になったらきれいに治るというものでもありません。早めに鍼灸で「気」の流れる道、経絡の調整をして治してあげましょう。自分では ゆったりとした気持ちで散歩をしたり軽く体操をしたりするといいですね。
春に関連して、こむら返りもあります。
たかがこむら返り、されどこむら返り
こむら返りはつらいですね。突然脚がつる。不意におそってくる『こむら返り』。その痛さに思わず歯を食いしばった経験、一度や二度ではないと思います。
『こむら返り』はふくらはぎの腓腹筋や神経が異常な緊張を起こし、筋肉がちぢんだままゆるまない状態になり、痛みを伴う症状です。立ち仕事の人やお年寄りに多く見られます。
静脈のうっ血、筋肉の過労、筋肉への酸素供給の不足と老廃物の排除が不十分となり筋肉のけいれんが 起きるものです。
スポーツの後におこるものをのぞけば、中医学(中国の伝統医学)では「けいれん」は、肝血虚(かんけっきょ)という、全身的な血の不足と血の流れの悪さからおこると考えています。脚はとくにおこりやすいところです。全身的に身体を整えるのは、当院のような専門のところでないと無理ですが、お家では脚をお湯につけたりして予防できます。足湯です。
起こったときどうするか
足の親指を引っ張るようにし、ふくらはぎを伸ばします。後は安静にしておいてください。