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コロナ後遺症の30代女性が来院されました。コロナ感染後 約半年たっています。じつはお母さんのコロナ後遺症が結(ゆい)で治ったので、娘さんを連れてこられたのです。
嗅覚障害があります。便のにおいがわかったり わからなかったりする状態でした。コロナの嗅覚障害で最後まで残るのは便のにおいがわからないという症状です。「ある日突然、トイレでうんちの臭いが全くしなくなったらぜひPCR検査を受けてください。」という記述がある小児科のHPにありましたが、同感します。嗅覚障害の治療では「便の匂いが」するかどうかを必ず聞きます。便の匂いがしたら喜び合います。
味覚障害は「だしのうまみがわかりにくい」というものでした。「だしのうまみ」は繊細な味覚ですから、味覚障害の中でも最後の方で治る症状です。
ただ患者さん本人が一番 気にしていたのは「抜け毛」でした。
2回治療すると味覚障害、嗅覚障害がなくなりました。「抜け毛」も減ってきました。「抜け毛」といっても高齢者の頭が薄くなるのとはまったく違います。現代医学ではコロナ後遺症の抜け毛は原因不明でまだ定説はありませんが、私は伝統的中医学でいう虚熱(きょねつ)ではないかと考え治療しています。身体のバランス(陰陽)が崩れ、頭の上の方が熱をもつ状態です。熱といっても体温上昇とは違います。例えばニキビも熱の一種と考えます。
虚熱(きょねつ)は鍼でわりと簡単にとれます。
味覚障害、嗅覚障害がなくなり「抜け毛」も減ってきたので、今度は夜に眠れず、朝はおきれないという症状、睡眠相後退症候群の治療に移行しました。「抜け毛」は虚熱ですが、熱をさますには陰陽の「陰」、身体を落ち着かせる陰が必要で、陰は十分で良質な睡眠で養われます。虚熱の「抜け毛」の再発を防ぐためにもぐっすり眠ることが大切です。
患者さんは8年ほど睡眠薬を使われていました。2カ月 11回の治療で睡眠薬なしで眠れるようになり、朝 起床できるようになりました。それまでは昼頃に起きていらっしゃいました。朝 起きられないので外に働きに出ることはできず、昼頃 起きて家業を2~3時間手伝う暮らしです。少し家業を手伝うとすぐに疲れる状態でしたが、それがコロナ感染後にさらにひどくなっていました。よく眠れて普通に朝に目が覚める生活になると、少々 働いても疲れなくなりました。もともと花粉症をお持ちでしたが、花粉症が発症する時期になっても発症しませんでした。約3か月間に17回治療して終わりました。2023年4月掲載
■コロナ後遺症の鍼灸治療についてはこちらもご覧ください。
https://www.yuisuita.com/acupuncture/covid/